2025/11/23 (日) 12:00 6
netkeirinをご覧の皆さんこんにちは、金子貴志です。今回は10月に佐世保競輪の開催に参加してきたときのことについて書いていきます。レース終わりには寄り道をして、佐世保の街を楽しみました。
10月22日から佐世保競輪に参加しました。初日は思うような結果が出ませんでしたが、2日目の一般戦では1着を取ることができました。ラインを組んだのは兵庫の中村美千隆君、後ろは服部竜二さん。年齢は中村君が49歳、私が50歳、服部さんが54歳。3人合わせて153歳のトリオで見事ワンツースリーを決めました。
レースは3分戦で、別線の先頭はともに20代の若手でした。中村君は「後方になったら厳しいから前で勝負したい」と言ってくれました。スタートから強気の先行策で「先行職人」の本領を発揮。私も服部さんも、その走りに応えるようにラインで勝負することができました。
中村君とは昔、同じ自力型で戦っていたので、ラインを組むのは不思議な感覚でした。彼は若いころから自力にこだわり続けていて、今もその姿勢を貫いています。久々に一緒に走って、「気持ちが強い選手だ」と改めて感じました。
前検日には偶然にも、ほぼ同じタイミングで会場に到着。実は私たち、どちらもハイエースに乗っているんです。私の車にも中村君の車にもベッドキットが組まれていて、車中泊ができるようになっています。
私も車で移動することが多いので、レースの合間に車の話をできるのは楽しいですね。
佐世保競輪場は私にとって特別な場所です。2004年の「ふるさとダービー」で初のビッグタイトルを獲った思い出のバンクなのです。
そのふるさとダービー最終日、東京の川口満宏さんとのエピソードがあります。川口さんは、私がゲン担ぎで毎日同じローラーに乗っていたのを見てくれていて「ここ乗るか?」と譲ってくれました。その縁がきっかけで、川口さんとは開催で会うと話すようになりました。今回、佐世保で久々にお会いして「本当にあのとき優勝してくれてよかったよ」と言ってもらい、21年という月日の早さを実感しました。
川口さんはS級昇格が決まっています。年齢を重ねても向上心を忘れず戦い続ける姿には頭が下がります。川口さんは還暦レーサーの宮倉勇さんと同期で、宮倉さんもまた情熱にあふれる方です。宮倉さんは川口さんに「60歳間近でS級はすごいな」「俺も行くからな」と熱く声をかけたそうです。
宮倉さんとは先日奈良でお会いしました。勝負師の目をしていて、話しているとこちらまで気が引き締まるすごい方です。私も宮倉さんのような熱い気持ちを失いたくはないと感じました。
競輪場の宿舎から見える佐世保港の景色は圧巻です。港には軍艦が停泊し、その横には豪華客船が並び、屋上にプールやウォータースライダーが見えました。
まるで映画のワンシーンのような光景に胸が高鳴りました。ある選手が「豪華客船の旅をしたことがある」と話してくれて、想像するだけでわくわくしました。限りある時間をゆったり過ごすーーそんな旅にもいつか出てみたいです。
レース後には佐世保港のまわりを散歩しました。子どもたちが演奏会を鑑賞していたり、外国人のヨット乗りが日焼けをしていたりと、日常と非日常が入り混じるのどかな時間が流れていました。まるで異国に来たような感覚で、佐世保という街の奥深さを改めて知りました。
モーニング開催だったのでレース後に時間があり、念願の佐世保バーガーを食べに行きました。 地元の記者さんおすすめの店に向かうと、香ばしい香りが漂っていて、出来立てを頬張ると肉の旨みとソースの甘辛さが絶妙。思わず笑顔になりました。
実は私は大のハンバーガー好きで、前回の函館でも「ラッキーピエロ」に触れています。今回は1軒では満足できず、同期で引退した白銀直喜さんに教えてもらった「ヒカリ」と「Kaya」の2軒をはしごしました。
佐世保港に面する「ヒカリ」はロケーションも抜群で、海を眺めながら食べるバーガーは格別。外で食べる開放感と土地の空気が、味をさらに引き立ててくれました。テイクアウトした「Kaya」のバーガーはサイズが大きく、味の個性も全く違います。どちらも美味しく、店ごとの特徴が面白かったです。ハンバーガーと皮付きポテトをコーラで流し込むのは最高でした。
今回の佐世保遠征では、懐かしい出会いと新しい発見がありました。
以前はレースが終わるとすぐ帰っていましたが、こうして少し足を延ばしてみると、まだ知らない世界に出会えることを実感します。
競輪も現地で観ると迫力が全然違うように、実際に“体験する”ことでしかわからないことがあります。今回の港の景色や佐世保バーガーの味も、映像や噂では伝わらないリアルな魅力でした。
いろんな場所に行き、いろんな人と話し、今まで関心がなかったことにも興味がわくようになってきました。これからも新しい経験をしながら、世界を少しずつ広げていけたらと思います。
金子貴志
Kaneko Takashi
愛知県豊橋市出身。日本競輪学校75期卒。2013年には寛仁親王牌と競輪祭を制し、同年のKEIRINグランプリでも頂点に。通算勝利数は500を超え、さらには自転車競技スプリント種目でも国内外で輝かしい成績を収めている。またYoutubeをはじめSNSでの発信を精力的に行い、キッチンカーと選手でコラボするなどホームバンクの盛り上げにも貢献。ファンを楽しませることを念頭に置き、レース外でも活発に動く中部地区の兄貴的存在。
