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松浦悠士の“真っ向勝負!”

【松浦悠士の近況報告】落車が続き理想には遠い現実…新しく生まれ変わった広島バンクで“今できること”を諦めずに!

2025/11/15 (土) 18:00 9

満身創痍の中で寛仁親王牌に臨んだ松浦悠士(写真提供:チャリ・ロト)

 netkeirinをご覧のみなさん、松浦悠士です。寛仁親王牌は理事長杯に繰り上がりましたが落車してしまい、2日目に当日欠場となってしまいました。いろいろな意味で“痛い”結果に…。今年は落車が4回で骨折が3回。なかなか思い通りにいきませんが、日程は待ってはくれません。今年最後のGI競輪祭に向けて試行錯誤しながら頑張っているところです。地元の広島競輪場が使えるようになったのは大きく、それをレースでも生かせたらと思っています。それでは1走で終わってしまった寛仁親王牌、その後の四日市記念を振り返ります。

残念でならない寛仁親王牌

 まずは寛仁親王牌から書いていきます。繰り上がりで乗ることができた理事長杯、単騎の選択に迷いはなかったです。眞杉君が脇本さんに“フタをする”のに時間をかけていたので、僕は自分で斬って、眞杉君がすかさず来たらそこを追走するか、番手を狙うか、という感じでした。

 しかし全然来なかったため、「ここだったら新山君は単騎でも逃げるだろう」というポイントで出させたつもりでしたが、新山君に付いてきていた郡司君のアタリを受け切れず落車となってしまいました。

赤板周回に入り、新山響平の後位に狙いを定めた(写真提供:チャリ・ロト)

 落車した当初は肋骨部分に痛みがありましたが、折れているような痛みは感じなかったので、打撲だろうと考えていました。下半身の方は大したケガではなかったので、自転車をまたいだ感じで、多少の肋骨の痛みならば翌日も走ろうと判断していました。

 ただ、宿舎に帰ってから、肋骨がゴリっと動いた感じがあって、その時に折れてしまったんだと思います。そこからどんどん痛みが増していき、2日目の当日欠場を決めざるを得ませんでした…。欠場後に地元へ帰ってから病院に行きました。

2日目に向けて明るく振舞っていたが、事態は宿舎で急変してしまった(写真:チャリ・ロト)

 親王牌決勝は中四国から5人が決勝に乗ったので期待して見ていましたが、優勝者が出なかったのは残念でした。僕自身も「4日間しっかり走りたい」と思って参加しているので、最後まで走れずに悔いが残りました。“デキ”という意味ではわからないものの、ドームとあって走りやすさもありましたし、復帰した京王閣記念よりも良い感覚があった分、残念です。

理想とは程遠いことを実感したシリーズ

 その後、四日市記念に出走しましたが、落車から時間も空いておらず、やはりコンディションは悪かったです。シリーズは初日特選と準決勝が犬伏君、二次予選と最終日は佐々木豪君に任せることになりました。

 犬伏君とは前検日に親王牌決勝について思うことを話しました。四日市では疲れがたまっていると話をしていましたし、犬伏君も本来の状態ではなかったと思います。初日は少し悪い部分が出てしまったかなという印象で、僕が思う抑えるタイミングとは誤差がありました。最初のアクションが遅かったかな?と振り返っています。犬伏君と連係した初日も準決勝も今後に繋げていくため、しっかりと話をしました。

犬伏湧也と対話して課題をすり合わせた(撮影:北山宏一)

 二次予選は深谷さんの駆け方がすごく上手だったんですが、豪ちゃんも2コーナーから仕掛けてくれて、しっかりとチャンスメイクをしてくれましたね。止められはしましたけど、僕も勝負圏内に連れて行ってくれました。僕が追走の仕方やゴールを考えた時の踏み方だったりというのをもう少しうまくできたら、連には絡めたレースだったのではと振り返っています。シリーズを通じて、このレースだけは“自分が思った以上”に走れた感覚がありました。

 準決勝は危ないシーンもあったので、「無事にゴールできて良かった…」というのが正直な感想です。自分に余裕があれば犬伏君が止まった時に、外を踏んだり、内に行ったりできたかもしれませんが、追走ですでにかなりキツい部分もありました…。このレースで状態的には悪化してしまった感も否めません。

準決勝最終4コーナー、接触もあり危うい場面も(写真提供:チャリ・ロト)

 自転車の乗り方は変わっていないんですが、ケガの影響で普段と同じ体の使い方ができていないので、理想とは程遠い走りであると実感することになりました。最終日も、「今の状態ならここまでなんだ」と思わざるを得なかったですね。良い状態なら突き抜けられるような展開でしたし、まだまだと感じました。

広島競輪場が使えるようになりました!

 次は競輪祭なんですが、現状は痛みがかなり強い状態です。自分がやりたい練習、今必要なことができていない苦しい状況にいます。ただ、練習の質は落としたくないし、今できる範囲のことを考えながら練習しています。とにかく今やれることをやるしかない感じですね。GIを諦めているわけではまったくないので、できる練習をしっかりやって、どうにか戦うために試行錯誤しながらシリーズに向かっています。

2024年競輪祭は4連勝で決勝進出を果たした(撮影:北山宏一)

 厳しい状況ですが、嬉しいこともあります。四日市から帰った翌日から、新しく使えるようになった広島競輪場で練習しています。ケガをしているときって、街道練習だとどうしても道路の凹凸が衝撃として響いてしまうのですが、新しく綺麗な走路で痛みを感じることも少ないです。何より地元バンクを走れるのは気持ち的にも違いますね。

地元広島を愛している松浦悠士、写真は2021年「ひろしまピースカップ」完全優勝達成時のもの(photo by Shimajoe)

 新しいバンクですが、前よりもちょっとコース取りが難しいかなっていう印象がありますね。スタンドがなくなったので風の影響も大きくなったかなと思います。感触的には前よりも軽く感じますね。バンクの形状自体は一緒みたいですが、個人的には若干、走りにくい感覚もまだあります。あとは色が変わったり、独特の匂いがなくなっていたり。「新しく生まれ変わったんだな」と実感しています。

 本当に素晴らしい施設を作っていただいたと思いますし、道場もすごく良い環境になりました。もう感謝しかないですね。新しいバンクが使えるようになり、今の自分にはすごくプラスになっています。

 ケガから復帰して、レースもまだまだですが、現地に観に来て欲しいです。特に新しい競輪場に生まれ変わった広島を観に来てほしいと思っています。すでに練習でも多くのお客さんが観に来てくれているので、刺激になっています。月末の30日から開催が始まりますので、ぜひ足を運んでいただけると嬉しいです。

読者の方から寄せられた質問に答えます

 それでは今月も質問に答えていきたいと思います!

ーー欠場中など自分が出ていないレースを見るとき、同地区の選手を応援するような気持ちで見るのか、「自分ならこう走る」など考えて見るのか、選手の特徴やレース展開を予想っぽく見るのか、どんな感じ見るものでしょうか?

 同地区の選手を応援する気持ちで見るのが一番ですね。それと自分だったらこう走ったなっていうのもありますね。“予想っぽく”っていうのはないかな? でも人気を見て、「1番人気になっているラインは来なさそうだな」と思いながら見たりはします。コンディションもそうですし、メンバー構成を見て相性みたいなものも感じます。選手同士の考え方も影響しますしね。「このラインとこのラインは消耗し合いそうだな」とか思ったり。そういう時はだいたい1番人気では決まらないですね。

一番は同地区選手活躍への期待(撮影:北山宏一)

ーー勝ち上がりルートが複数ある競走について質問です。例えば二次予選Aや二次予選B、オールスター競輪の準々決勝A、準々決勝Bなどがありますが、「メンバーはキツいが勝ち上がり条件が緩い」、「メンバーはキツくないが勝ち上がり条件が厳しい」のようになっている気がします。以前から見ていて「これならAよりBの方がいいじゃん」と見ていて思ったことがあるのですが、当事者である選手たちはどのように感じていますか?

 オールスター競輪は走っていないので答えにくいですが…。でも正直わかりにくい勝ち上がり方法だったのかな?とは感じましたね。選手も戸惑いながらというか、しっかり把握できていたのかなと疑問は残っていますね。

 ただ、親王牌に関して言えば、僕は理事長杯に繰り上がれたのは「良かった」と捉えました。メンバーはもちろん濃くなりますけど、5着でもローズカップへ進めます。特選だと確定板に入れてもローズカップは2着までです。GIシリーズになれば、そこまでメンバーも落ちるわけではないっていうのもありますね。

 ですが、自力選手だと相手が強いとやりたいレースがしにくくなるっていうのはあると思います。「自分が一番強い」という構図の方がやりたいレースができる確率が高くなります。勝っても負けても納得いくレースがしやすいという意味で。自力選手にとっては自分よりも格下の方が戦いやすいっていう選手もいるかもしれませんね。

 でも、そうは言っても、結局選手自身はどこに勝ち上がりたいとかまでは考えていないと思いますよ。目の前のレースに対して、「どうやったら勝てるか」、「どうやったら自分のレースができるか」を考えて走ることに集中しています。

ーーいよいよ広島競輪の再開が近くなってきて楽しみです!競輪場近くのおすすめスポットがあれば知りたいです!

 周辺ではないですけど、僕がよく行くお好み焼き屋さんの「ひらの」さんとか、あとは海の方へ道路を渡ったらおしゃれなカフェとか家具屋さんもあったりします。海も見えるいいところです。ぜひ競輪場とあわせて行ってみてくださいね!

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松浦悠士の“真っ向勝負!”

松浦悠士

Matuura Yuji

広島県広島市出身。日本競輪学校第98期卒。2010年7月熊本競輪場でレースデビュー。2019年の競輪祭でGI初優勝を飾り、翌2020年のオールスター競輪では脇本雄太との死闘を制し優勝、自身2つ目のGIタイトルを獲得した。その翌年2021年には日本選手権競輪を“有言実行”で優勝。3つ目のGIタイトルを獲得し、グランドスラムへの意識を高めた。2023年はGI優勝こそなかったが、賞金順位でKEIRINグランプリの出場権利を獲得。広島カラーを象徴する3番車で挑んだ大一番は最終直線で渾身の差し切り勝ちを決め、見事グランプリ王者となった。チャンピオンとして臨んだ2024年は度重なる怪我に苛まれてS班の座を明け渡すことになったが、グランドスラムを目指す気持ちには一点の曇りなし。中国地区の大エースとしてさらなる飛躍を目論む。

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