2025/10/16 (木) 18:00 10
先月の岐阜記念で今年2度目のV。しかも弟子の初優勝と同日優勝と思い出の1日に。しかし、GII共同通信社杯は準決勝で、京王閣記念は二次予選で敗退。今回の清水裕友コラム「猪突猛進」は、なかなか波に乗りきれない現状に迫ります。プライベートでは野球の話題も。最後は恒例のお便りコーナーもあります。
ーー9月の岐阜記念、初日特選は徳島勢(犬伏湧也-小倉竜二)とは別線勝負で、村田雅一選手との連係でした。村田選手とは過去にありましたか?
たぶん、初めてだったと思います。
ーー普段は連係することも多い犬伏選手との対戦にもなりました。
位置的には3番手が取れて、そこから犬伏君を捲れるかどうかだったんですけど。力及ばずって感じでしたね。
ーー敵で戦ってみて、あらためて強さを感じましたか?
感じました。
ーー二次予選は小倉選手との連係で、捲り届かずの2着でした。
前がインをしゃくって、さばいたりさばかれたりとかなって。そういうのを見ていたら仕掛けが遅くなってしまった。最近はそういうのを見ちゃう癖がありますね。
ーーいい時だと見てしまわずに反応ができる?
そうですね、はい。
ーーここのところずっと、という?
それは感じます。
ーー準決勝は西田優大選手との連係でした。西田選手とは?
去年の向日町の二次予選で連係して以来の2回目でした。彼も頑張ってくれて、なんとか1着を取ることができました。
ーー地元の岐阜勢も二段駆け可能な布陣で、激しいレースになりました。
青野君もいて、決着がつく前に来ていたので。すごいレースでしたね。
ーーあぁなってしまう(叩かれて内に詰まる)と、もう自分で仕掛けていかないと、という流れに。
どこかジャン過ぎに川口さんあたり飛ばして迎え入れたりできるかなって思っていたけど、もうその外に3車併走みたいな感じになっていたので…。その辺は冷静に見ることができていました。
ーー3日目あたりまでで前走の松戸記念との違いは感じていましたか?
調子自体はオールスターが終わってすぐだった松戸よりは良かったですかね。ちょっと時間もあったので。まぁ良かったかなっていうのはありました。
ーー何かを変えたとかありましたか?
自転車を最近ちょっといろいろと試してはいます。
ーー岐阜はいい方向に?
はい。
ーー自転車は開催中も替えたりしますか?
岐阜では同じ自転車で。部品を替えたりしました。
ーー自転車は松戸とは違うもの?
そうですね。
ーー決勝は犬伏選手との連係でした。
すごく強かった。優勝できて嬉しい反面、力の差をまざまざと見せられて、いろいろと思うところはありましたね。
ーー以前もありましたが、太田海也選手しかり、犬伏選手しかり、前の選手がハンパない強さ。
はい。
ーー犬伏選手もあぁいう力を出し切る流れになると、とてつもない強さになりますか?
強かった。破壊力ありますね。
ーー後ろに付いていて、太田選手と犬伏選手の違いって何を感じますか?
なんて言えばいいのか、難しい。加速の仕方がなんかちょっと違いますかね。海也は踏んだ瞬間に2、3歩行く感じで、犬伏はそこからの伸びが凄いっていう感覚ですかね。自分のゾーンにはまったら伸びていく。
ーー高知記念に続く今年2度目の優勝になりました。
優勝はできたんですけど…。なんか思うものは多いですね。手放しで喜べる感じではないです。
ーー脚力差を感じてしまう?
そうですね。なんか勝ててもあまり嬉しいって感じにならない。最近は。仮に1着を取れても自力選手としての違いをすごく感じてしまう。
ーー高知記念も岐阜記念も犬伏選手と決勝でワンツーでした。
本当にもう犬伏さまさまって感じです。
ーーそして、この日は弟子の原田峻治選手が防府で、デビュー初優勝した日でもありました。同じ日に優勝、しかも弟子の初Vと同じ日に記念Vとはなかなかでしたね!
そんなんです。実は全然知らなくて。
ーー見てなかったんですか?
テレビで防府が全然映らなくて。新聞にも出てなかったかな。走ってることも知らなかった。
ーーまさかの! いつ知ったんですか?
終わって、LINEとか見たら、なんかそういう風な。で、あ、走っとったんや、って。その後にレースを見ましたけど。
ーー原田選手も力をつけているんじゃないですか?
そうですね、嬉しいですね。優勝もできてますし。来期からもう2班なのかな? 同期とか周りに特進してる人もいると思うけど、その人にはその人なりの速度があると思うので。一歩一歩頑張ってほしいですね。
ーー原田選手は自転車を始めたのも遅いですからね。
そうですね、その分伸びシロもあると思うので。
ーー時間が合えば練習は一緒に?
そうです。
ーー練習の中でも成長を感じますか?
ぼちぼち。はい。
ーー原田選手と祝勝会みたいなのものはありましたか?
祝勝会というか、この前國村(洋)さんと3人でご飯には行きました。お祝いってわけではないですけどね。
ーーそれにしても同じ日に、っていうのは偶然にもほどがあります。
そういうのってあんまりないでしょうし。峻治の初優勝ってその1回なんだから、偶然っていうのはあるもんなんですね。
ーー原田選手の同期では角宗哉選手がS級に特別昇級を果たしました。強いですね。
強いですね。馬力があるので練習でも強い。しかもバック9本で特進。上に上がれば苦労すると思うけど、とりあえずは今の戦法を続けてほしいです。すごいいいレースをしているので楽しみですね。続けてほしいです。S級でもどんな相手だろうと。それが一番GIで勝ち上がる近道だと思うので。
ーー続く共同通信社杯ですが、あまり流れも良くなかったかな、という形になってしまいました。
そうですね、ピリッとしなかったですね。そういうのが最近続いてますね。
ーー共同通信社杯の決勝は見ましたか?
見ました、はい。
ーー近畿勢が5車結束して優位に運びました。
ですね、海也が中国1人で…。そういうところに(自分が)いないのが情けないですし、ちょっといろいろと考えないといけないかなって思いますね。地区的にもやっぱり。盛り上がっているところは盛り上がってますけど、ちょっと中国は…。中堅どころ、自分ぐらいの年齢の選手がしっかりしないことには、ですかね。
ーーウィナーズカップの前に地区合宿をされていた報道もありました。
最近はやれていないので、そういうのも考えていきたいですね。
ーーそして京王閣記念、これまた流れも悪かったのかな、と思います。
それも含めて今の実力って感じです。初日とかも淡泊になって…。負けるときに淡泊なってますね。それで自分で流れを悪くしちゃってますかね。
ーー二次予選も接触があったり…。
内に来る人なので警戒しておかなければいけなかった。(内を)空けていた方が悪いので。
ーー車体故障でしたか?
後輪が車体故障でした。
ーー3日目以降は2勝を挙げて。
初連係の川口(雄太)君の頑張りだったりとかで、なんとかまぁ1着で締められて終わりましたけど。
ーー地元のウィナーズカップに向けても大きい2勝だったと思います。
そうですね、でもまぁそれを考えても仕方ないといえば仕方ない。まぁ一戦一戦やるしかないですね。
ーー最終日の対戦相手で2着に逃げ粘ったのが22歳の福田稔希選手でした。
若いですね〜。
ーー年齢を感じたりすることってありますか?
年齢は感じないです。思ったようにいかないレースは増えてるかな。
ーー最近は体調はどうですか?
悪くないですけどね。メンタル的に乗ってこないところがちょっとありますかね。ピリッとしないですね。
ーー何かきっかけとかあればいいのですが…。
見つけるしかないですね。
ーー以前は乗り方の話もしていました。
乗り方はここ何年かずっとわかっていない。その辺で見つかれば。いいフォームを常に続けられたら成績も良くなってくると思うんですけど…。最近は日ごとに違ったりもするので。探り探りやっていますけど。そういう意味ではなかなか安定はしないですよね。乗り方で言えば、ここ何年も満足するものはないですね。
ーー次走は前橋の寛仁親王牌です。以前は結果を出していて、舞台としては悪くないのかなと思います。
前橋自体は好きなので。
ーーそういうところで、何かいいきっかけがあるといいですね。
そうですね。
ーーレースとは遠ざかりますが、中川誠一郎選手にコラムに名前も登場していました。コラムはご覧になられますか?
そうですね、コラムは見てますね。
ーーあの発言が話題になっていました。
冗談ですけど。成績も悪かったんで。バイトでもした方がいいかなって。でも考えてみると、あまりしゃべるのが好きじゃないですし。
ーー今年はなかなか、このコラムで野球界に触れられませんでした。プロ野球はクライマックスシリーズが始まり、メジャーリーグはポストシーズンが盛り上がっています。中日ドラゴンズは井上新監督1年目のシーズンが終わりました。
(バンテリンドームの)最終戦を観に行きました。行った時に勝ってくれたらそれでいいかな。山崎航が中日ファンなんで、一緒に行ってきました。
ーー彼は元からドラゴンズファン?
そうです、そうです。奇跡ですよ、防府に2人も。
ーーしかも試合は5対2で勝利。
ドームで飲むビールが一番旨いですね。
ーー何杯くらい飲むんですか。
えー、でも…。何杯くらいですかね。
ーー結構行くんですか?
そうですね。5、6杯かな。
ーー終盤のバンテリンドームでのドラゴンズ戦はほとんどチケットが完売と耳にしていました。
なんとか取れました。強い時より弱い時の方がお客さんが多いんですよね。デビューしてすぐの頃は簡単に取れていたんですけどね。当日でも取れちゃうくらいな。今年がナゴヤドームの歴代で一番入ったらしいです。たしか250万人を突破したって、セレモニーで言ってました。
ーーメジャーリーグは見ていますか?
ちょこちょこ見てます。ドジャース対フィリーズは面白かったですね。今年フィラデルフィアまでフィリーズを観に行ったので、フィリーズを応援してましたが…。
ーーホームでの連敗が痛かったですね。それでも1、2戦のフィラデルフィアの熱気はテレビを通してもすさまじかったです。
あれを味わいたいですね。今度はポストシーズンのフィラデルフィアに行きたいですね!
ーー最後になりますが、寛仁親王牌を前に、自転車は定まってきていますか?
ですね、どうするか悩んでいるところです。
【読者から届いた質問コーナー】
ーー今年の夏は何か夏らしいことはしましたか?(ゲスト)
夏ですか…。夏らしいことが嫌いなので。海とか好きじゃないので、夏らしいことはしていないですね。
ーー京王閣記念は強力なメンバーが揃っていましたが、強い選手が多いと嫌だなと思うのか、それとも逆に燃えるのか、清水選手はどちらのタイプですか?(ゲスト)
正直どっちでもいいって感じですね。あまり… はい。上がり立ての頃はやっぱり強いメンバーとやる方が良かったですね。
ーーやっぱり燃えましたか?
そうですね。今はあんまり良くないので、そういう気持ちで行ってればいいんでしょうが…。
ーー番手を回るときは自力選手と細かく話し合いをしますか? それとも自力選手にお任せする感じですか?(ゲスト)
まぁお任せですね。あまり作戦を立てて走る方じゃないので。基本、走りたいように走ってほしいって思いはありますかね。
ーーいつも練習を拝見させて頂いてます。頑張ってるなぁって。山原選手は夜遅くまで雨の中をモガいてました。昔は山口県は競輪王国でした。是非復活させて頂きたいと思います。弟子とかは取らないのでしょうか? また練習場は競輪場でなく街道も利用されてるのでしょうか?(匿名)
街道とかは行ったりしますね。最近はちょっと増やしてますね。モガきも街道でやったりとか、ちょっと刺激を変えながらやったりしてます。
ーー原田選手に続くお弟子さんは?
考えてないですね。峻治には誘ったのが自分だったからっていうのもありますからね。
ーーいつも前々に行って思い切りの良いレーススタイルが好きです。ただ最近は持ち味の「ねじこみ捲り」が影を潜めている感じがします。(ゲスト)
その感じは自分もあるのでなんとかしたいですね。淡泊になってるので。淡泊にならないようにはしたいですね。
ーーメンタル面が一番?
そうですね。
(取材・構成=netkeirin編集部)
清水裕友
Hiroto Shimizu
清水裕友(しみずひろと)。山口県防府市出身。105期。日本競輪選手会山口支部所属。師匠は國村洋。ビックレースはGI「読売新聞社杯全日本選抜競輪」(2020年)、GII「サマーナイトフェスティバル」(2020年)、GII「ウィナーズカップ」(2021年)。