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ほろ酔い放談 -競輪の因数分解-

【競輪偏差値70の男】中川誠一郎がアノ話題に嫉妬!?「あんなになったのは…加藤氏に責任が…」♯49

2025/06/05 (木) 18:00 39

5月は25年の選手生活でもっとも多忙で過酷な日々だったと消沈。心のスキマを埋めたのは先輩や友人たちと過ごしたプライベートな時間だった。平原康多氏の電撃引退をはじめとした激動の1か月を話せる範囲で振り返ります。【構成=塩次洋太(九州スポーツ)】

ーー5月は大垣FI、宇都宮記念、青森全プロ記念競輪と競技大会を走りました。4月末の玉野を含めてかなりタイトな日程でした。

 4月の川崎から中4日で玉野、中5日で大垣、中3日で宇都宮ですか。死ぬほど忙しかったです。1か月でほぼ5本ですよ。だから、もう、すげえ気持ちがわかりました。

ーー唐突に何を言っているのでしょうか。

 5月病で会社を辞める人の気持ちですよ。テレビで退職代行の特集を見たんです。モームリって会社だったんですけど、頼りたくなるのは本当にわかる。こんなに忙しくて新人の人たちは辞めていくんだ、と。

ーー選手生活25年目ですよね。

 彼らは入社したものの、条件が違ったとか職場が合わなかったとかでしょうが、こっちも成績が良かったらいいけど成績は悪いときもずっと、ひたすら走り続けなきゃいけないでしょ。気持ちが滅入るという意味では似ていると思うんです。

ーーそんなに滅入っていたのですか。

 この2、3場所は完全に。気持ちが滅入って記憶が飛んでいるから、レースのことを聞かれてもどこで何をしたとか誰と走ったとかほとんど覚えていないんです。今年は1〜5月まで休まず走りっぱなし。こんなの選手生活25年で初めてですよ。

ーー休んで立直すとか考えなかったのですか。

 オレらの仕事は休みたいときに休むことができるのがメリットだけど、1週間休んだらどうなります? 結局、練習不足で自分に返ってくるだけ。だから休まずにやるしかないし、ボロボロの中をひたすら走って。早く終わって欲しいって気持ちばかりで乗らなかったですね。

ーーかなり愚痴っぽいです。

 忘れたいことばかりでしたよ。それでも心があたたまることもいくつかあったんです。

ーー気持ちが高ぶるイベントとかですか。

 青森の全プロ記念の最終日の晩、荒井(崇博)さんとメシに行ったんです。走るステージが違いますから、超久しぶりに会いました。噂でしか聞かない人だ〜って体を触ってきました。

ーー盛り上がりましたか。

 ですね。このコラムの話題も出ましたが、どうやら奥さんが愛読者らしいと判明しました。

ーーと、いうことは荒井選手も読んでいる可能性が…。

 あります、あります。荒井さんのところには周りの友達から色々と情報が入ってくるみたいで、去年の競輪祭決勝のあとの不機嫌な動画とか阿部英斗君にキックをしているコラ動画とかぜんぶ見ているようです(笑)。

ーーこのコラムもそろそろ怒られるのではないでしょうか。

 荒井さんはこんな小さいことじゃ怒りませんよ。それはさておき、荒井さんに関していいたいことがあるんです。

荒井崇博(撮影:北山宏一)

ーーどうしましたか。

 オールスターファン投票の途中経過が発表されたじゃないですか。なんと、オレより上に荒井さんの名前があったんですよ。

ーーGI戦線のレギュラーで実際に結果も出しており、当然といえば当然と思いますが。

 思わず二度見しましたもん。オレより5個上とかにいてビックリですよ。これは絶対にオレと加藤氏(なぜか中川は加藤慎平氏のことを「加藤氏」と呼ぶ)がいじりすぎたせいです。

ーーいじりすぎたのが逆効果になってしまった、と。

 あの暴君のキャラが市民権を持ってしまったんです。あんなに人気が無いとかいじり倒していたのに、まさか逆転現象が起こるとは。あんなになったのは、すべてオレや加藤氏に責任があります。

ーー荒井選手の反応は。

 荒井さんはどのみち競走得点で出場できるから途中経過を見ていませんでした。「お前らのせいで『荒井ちゃん〜』とか声援が飛ぶ。あれは困る」とか言っていたけど、酒が進んでくると「(ダービーに)あと5年連続出たら30回になる。まずはそこだな」とか前のめりになりだした。

ーー5月の名古屋ダービーでは25回連続選出ということで表彰されていました。

 究極の目標は40回だそうです。でも、そのとき62歳ですよ。現実的じゃないけど、それぐらいの目標設定を持つほど前向きじゃないと上で戦えないのか、と勉強になりました。

ーーどん欲さが足りない、と。久しぶりの荒井選手と刺激のある会でしたね。

 荒井さんの会は(阪本)和也と梅ちゃん(梅崎隆介)とで、そのあとに熊本の若手を中心とした九州勢と合流しました。

ーー全プロの熊本勢は多かったです。けっこうな大人数になったのではないですか。

 大盛り上がりでした。荒井さんはいつも「熊本の若いやつらは誠一郎には気を遣うのに、オレの扱いが雑」とか文句を言うんですよ。実際にそのとおりで、みんな荒井さんのところへグラスを片手にからみにいくんです。

ーーそういうとき荒井選手はぜんぶ受けるのですか。

 そりゃ、総大将ですから。荒井さんってああ見えて後輩に飲め、飲めって感じはなくて超紳士なんです。ほかのパワハラはひどいけど(笑)。若手らは意気揚々と荒井狩りに行くんですけど、荒井さんは酒がムチャクチャ強いので、みんな返り討ちにあっていました。

ーー若い選手たちも元気そうです。

 みんな元気でしたね。青柳(靖起)がしくじって荒井さんの機嫌が悪くなったり、途中で脱落者も出たりして阿鼻叫喚の飲み会でしたが、親睦は深まったと思います。

麻雀プロから競輪選手まで勢揃いした親睦大会

ーー競輪以外の話題は何かありますか。

 青森の翌日、ワッキー(脇本雄太)主催の麻雀大会がありました。いつも呼んでもらっているやつです。

ーー選手や麻雀プロの方々が参加する親睦麻雀大会ですね。

 熊本からは(嘉永)泰斗とタツ(松岡辰泰)の3人で参加してきました。あとは(佐藤)慎太郎さんやヨシタク(吉田拓矢)とか。Mリーガーの方も多く参加されていましたね。

岸田剛、二階堂亜樹プロ、e-SHINBUN山口社長と

ーー何かエピソードがあれば。

 そうですね…自分のことというよりも、岸田(剛)君に悪いことをしてしまったんです。

ーー岸田選手は脇本選手のお弟子さんですよね。接点があったのですか。

 半チャンを計4回やったんですけど、3回戦で同卓になったんです。そこで、オレにハネマンを振り込んだんですよ。

ーー別に悪いことではなく、普通の話ではないですか。

 オレは待ち牌が1種類だけだと思い込んでいたら実は他に2種類あったらしく、上家の岸田君が切ったとき、それを見逃したんです。その瞬間にたまたま後ろを通りがかった木原(翼)君が「先生、それロンですよ」って教えてくれたんです。

ーー岸田選手も災難ですね。

 多面待ちがわからないほどの素人に。しかも、岸田君はトップを何回か取っていて総合成績で4位だったかな。3回戦だけマイナスだったから、振り込みが無ければ確定板(3位以内)はあったんですよ。いやー、申し訳なかった(笑)。

滝沢和典プロと

ーー他の方たちとの交流は。

 タッキーさん(滝沢和典プロ)とも同卓して、初めてサインをもらいました。

ーーミーハーですね。

 プロが持ち寄ったグッズのプレゼントがあったんです。そこにタッキーさんの書籍があったので、せっかくだからサインをもらったんです。

ーー滝沢プロも今さら戸惑ったのではないですか。

 宛名を入れてもらうとき“誠一郎さんへ”とお願いしたら、タッキーさんが考え込んだんです。何か首をかしげて結局“中川先生へ”になりました。その本は入門書みたいなもので、けっこう勉強になるんです。

ーーこの局面で何を切ればいい、とかそういうものも乗っているのですか。

 そうです。1章を読んでいたら、章の最後に何を切るともっとも待ちが良くなるか、みたいなクイズがあったんです。これがわかるようになったら次章に進めるってやつで、たしか4問あったのかな。

ーー1章ならば基礎的なものですよね。わかりましたか。

 それが4問中の1問目で外れてしまってとん挫(笑)。あれじゃ、まだまだダメだな。タッキーさんには「(待ちを)覚えるには、ちょうどいいと思いますよ」って言われたけど、1問目で振り出しに戻りました。

滝沢和典プロ、嘉永泰斗、Mリーグ公式レポーター松本圭世さんの背後になぜか八日市屋浩之

ーーおや、こちらの写真には八日市屋(浩之)選手がいますね。

 八日市屋さんは、いわば「Mリーグファン代表枠」でした(笑)。菅原千瑛プロと写真を撮りたいがためにわざわざ来たそうで、みんなからチェキは有料で1枚、1万円ですとかいじられていました。選手では参加最年長なのに。

ーー何かホッコリする話です。

 大会の前、グループLINEに事前アンケートがあったんです。打ち上げ参加の有無とか同卓希望者はあるか、とか。だけど、みんな同卓希望とかリクエストしないんですよ。打てるだけで楽しいから。それなのに八日市屋さんだけ「菅原プロ、お願いします」ってオーダーが入っていた。おいおい、ファンすぎるだろって。

ーー意外な一面ですね。

 運営側がちゃんとツーショットを撮影して、八日市屋さんは大変、満足されていたのですが、何かの不手際があってデジカメにその写真だけうまく保存できていなかったようです。八日市屋さん、グループLINEそれを知って泣いていました(笑)。

ーーそんなオチがあったとは…。

 (三谷)将太にも慰められていましたね(笑)。まあ、モームリに登録する寸前まで行ったオレの心を慰めてくれたのは、荒井さんとの飲み会と麻雀大会でした。楽しかったしもう少し前向きになれそうです。

平原康多氏(撮影:北山宏一)

ーー最後になりますが、5月に競輪界を賑わせたあの件について、やはり中川選手にうかがわなければなりません。

 あっ… えっ… これは…(狼狽する)。

ーー最近、競輪業界はあの話題で持ち切りでした。

 これ…… 話していいのかな。

ーーどうしましたか。全プロ競輪の前検日に平原康多氏の電撃引退の報が入りました。中川選手はnetkeirinのコラムを通して平原氏と接点がありましたね。

 ああ、そっちか。よかった。てっきり、また誰かの疑惑に関しての…。

ーー引退の話はいつ知りましたか。

 競輪好きの友人からのメールです。ニュースが出たのが夜中だったでしょ。朝起きたら「平原引退って衝撃すぎる」って内容だったから、コイツは何を言っているんだと。

ーー信じられなかったのですね。

 ガセニュースってあるじゃないですか。それを真に受けて連絡してきたと思ったんです。そうしたら事実でした。

ーーどう受け止めましたか。

 一番、思ったのは切磋琢磨してきた年下の選手が先に引退するっていうところですね。平原のように同じステージを一緒に戦ってきた選手がここで身を引くのかっていう。ショックを受けました。

ーーこのコラムでも平原アレルギーという言葉をしきりに話していました。

 もう現役の前半8割はもろにアレルギー。同じレースを走ると何をしても勝てないので、嫌いというか苦手だったんです。

ーー好敵手、という言葉が合いますね。

 いや、好敵手じゃ相性が悪すぎる。ゲームでいうとこっちが火だとしたらあっちは水みたいなもんで。属性が違い過ぎるから、こっちの攻撃が一切効かないんですよ。

ーー水と油ではなく水と火ですか。

 反発しあうとかじゃなく、オレの攻撃が消えちゃうんです。ヨコまで並べないし、前にいられないしでオレの良さがことごとく消火されてしまうんです。

ーーたまに勝つときもありましたよね。

 競輪には展開のアヤってものがありますから。反動でめちゃくちゃ嬉しいんですよ。オレが5着、平原が6着でも(松岡)貴久に自慢していたぐらいですから。

ーーそんな関係性だったのに最後は交換日記をする間柄になりました。

 選手生活の晩年は仲が良かったと、オレは勝手に思っています。度重なる誘いには一切乗ってこなかったですけど(笑)。勝てるものがないし、せめて、コラムの連載回数だけは超えたいですね。

ーー今後については、競輪とつながりを持ちたい、というような話をしていましたし、またどこかで再会できるといいですね。

 平原なら引っ張りだこでしょうね。「コーちゃんねる」とかできればゲストで呼んでほしいな。「コーちゃんねる」っていうか、ペーちゃんねるも色々と盛り上がっていましたね。加藤氏の不…。

「コーちゃんねる」より「ぺーちゃんねる」だと言わんばかりの加藤慎平氏と

ーー今月も質問が届いておりますのでお答えください。

Q、平原選手の引退、驚きました。車券を買って裏切られたときは正直「中川はまだ引退しないのか」とか思うこともありましたが、平原選手の引退の報に触れるとやっぱり引退するって寂しいなと思いました。中川選手にもまだまだ頑張って欲しいですが、あと10年くらいは続けてくれますよね?? (愛知県/30代/男性)

Q、現役は何歳くらいまでやれますか? 君のお陰で10年程前に車券取らせてもらいました。君はGIを3つ取りましたね。あの頃が最強だったかなぁ。(京都府/60代以上/男性)

 2つとも似たようなご質問なのでまとめて回答いたします。10年ですか…これこそモームリ、ですよ。いつまでやるかとなりますと、ひとつの目安があります。来年、地元で行われる「全日本選抜競輪」に出場できたら、もう少しやれるって気がします。もしも、紫の上下の服を着ていたら、カウントダウンだと思ってください。そうならないように抗いたいですね。出られなかった場合は、熊本のガイダンスコーナーかミッドナイトの中継でお会いましょうか。緒方(浩一)さんや森内(章之)さんの分も頑張っちゃおうかなあ。

Q、脇本選手と大の仲良しの中川選手。もしも福井に移籍したら3回目のグランプリが現実的になると思いますが、移籍の可能性は1%もないですか? 今後も応援しています。(熊本県/40代/男性)

 これは、すごい提案(笑)。1000000%ありませんが、もしも移籍したとしましょう。でもワッキーの番手を回れる可能性は極めて低いです。ポッと出の福井を主張されてもダメだと言って(三谷)将太が回してくれないでしょう。アイツは麻雀ではポッと出ですけど、競輪じゃ厳しいですから(笑)。

Q、4月の久留米F1で荒井選手が自力で頑張っていました。その話題が出てくるまでの流れさすがでした(笑)。あれは僕も3日間追っていて「おい、50近いオッサンがまくりで勝つとかどこかのチャレンジ戦と間違ってへんか? 」となりましたよ(笑)。(栃木県/30代/男性)

 この質問というかご感想は、さっき62歳までダービーに出るって話とシンクロします。62歳って佐々木浩三さんぐらいの年齢ですよ。現役でやるなら余裕でしょうけど、いくら荒井さんとはいえ絶対に無理。その話をしたら、普段こっちの意見にうなずかない荒井さんがさすがにうなずいていました。

Q、彼女との結婚を考えていますが、いつしたらいいか分かりません。中川選手の結婚の決め手を教えてください! また、その時、結婚して良かったことや後悔はありますか? (群馬県/30代/男性)

 珍しくマジメな人生相談がきましたね。そりゃ、タイミングですよ。時期ってあるじゃないですか。いつがいいのかわからないならまだしない方がいいと思います。ワタクシの決め手は中割りして授かったので所帯を持とうとなりました。中割りはいい着も取れるし、いいタイミングじゃないでしょうか。

Q、中川選手こんにちは! ミッドナイト競輪のルールが甘いのはなぜなのでしょうか? それともう一つ。二日酔いのままレースを走るとかはないのですか? (静岡県/40代/男性)

 ミッドナイトはあまり走らないし、その時間は酒を飲んでいるのであまり見ないからわからないですね。二日酔いは無いですね。昔は宿舎で飲めましたが今は現地では一切、飲めないんですよ。飲んでいないのに、二日酔いみたいできつかったレースは間々ありますが、それはご愛嬌。

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中川誠一郎

Seiichiro Nakagawa

中川誠一郎(ナカガワセイイチロウ)。熊本県熊本市出身。日本競輪学校第85期卒業。日本競輪選手会熊本支部所属。師匠は従兄の瀬口慶一郎。 実妹の中川諒子は女子競輪選手、義弟の吉成晃一も競輪選手。2000年8月15日、ホームバンクの熊本競輪場でデビューし1着。後2日間も勝利し、デビュー場所で完全優勝。2016年日本選手権競輪(静岡)、2019年読売新聞社杯全日本選抜競輪(別府)、高松宮記念杯競輪(岸和田)を優勝している。好きな食べ物は寿司。

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