2025/05/16 (金) 18:00 10
今年最初のガールズGI「オールガールズクラシック」は大盛況の中で行われ、佐藤水菜選手の優勝で幕を閉じました。元ガールズケイリン選手・高木真備さんの目にはどう映ったのか。また日本選手権についての感想や今後の真備さんの予定についても語ってもらいます。
ーー今月のコラムはまず、オールガールズクラシックの振り返りからお願いします。大会を通してどう感じましたか。
とにかくガールズケイリンの盛り上がりというのを改めて感じました。GIじゃない前半のシリーズ戦にも、魅力的で今後が楽しみな選手がたくさん出てきていましたし、層もすごく厚くなったんだなと感慨深いものがありました。
ーー場内も多くのファンでとてもにぎわっていましたね。
ガールズだけの開催で、あれだけ多くのお客様が集まったというのはすごく嬉しかったです。またオールガールズにも直後のダービー(日本選手権競輪)にも現地に行かせていただいたのですが、ダービーの時とガールズの時とでは、ファン層がだいぶ違うな、というのも強く感じました。以前は男子の競輪を見ていた方が「ガールズケイリンも見てみようかな」というような感じでガールズケイリンに興味を持つようになった方が多かったと思うのですが、最近は逆に「ガールズケイリンから覚え始めたので、まだ男子の競輪には詳しくないです」というような方が増えてきているようで、そういった変化も感じられました。
ーー今年最初のガールズGI覇者は佐藤水菜選手となりました。
やっぱり強かったですね。さすがだなと思ったのは、準決勝で敗れてしまったあとの修正力と気持ちの強さです。あの準決勝は(児玉)碧衣ちゃんの得意パターンの展開でもあったと思うんです。サトミナはまくりがきかず2着でした。私も経験があるのですがまくりが届かなかった翌日は、また合わされちゃうんじゃないか、って仕掛けるのが怖くなったりネガティブになってしまって小さいレースになりがちなんです。でもサトミナは決勝で、逆にスケールの大きい走りで勝負しました。確かに脚質的にもサトミナは長距離を踏める選手で、先行も得意戦法ではあるはずなんですけど“まくりがダメなら先行で”とスケールの大きい方へと考え方を持っていける気持ちの強さが勝因のひとつだったのかなって思いました。
ーー準優勝の児玉碧衣選手についてはいかがでしょう。
碧衣ちゃんは自信をもって走っているのが伝わってきました。インタビューなんかを見ても、キラキラしながらハキハキしゃべっていたので、状態が良いんだろうなって感じていました。碧衣ちゃんは今年、気持ちがなかなか上がらないようなことを言っていましたが、やっぱり碧衣ちゃんが強い方がガールズケイリンはより一層盛り上がりますし、これをきっかけにしてほしいなと思いました。今年はサトミナもGIは全部出場するようですから、直接対決も何度かあるはずです。大きな注目を集める中で何回も何回も対戦するのは大変だと思うんですけど、見ている方としてはサトミナと碧衣ちゃんの戦いを楽しみにしています。
ーーナショナル組VSガールズ組の熱いバトルが今後のGI戦線でも展開されそうですね。
碧衣ちゃんはガールズケイリンを引っ張ってきた1人ですし、もちろん他の選手にも言えることですが“ナショナル組に負けられない”みたいな意地はあると思います。逆にナショナル組も“競技者として負けられない”みたいな気持ちもあるはずです。競技で国を背負って戦うことも、国内のガールズケイリンを走り続けることも、どちらも素晴らしいことだと思います。その思いが良い方に作用して切磋琢磨することによって、よりガールズケイリンがレベルアップしていってくれたらなと願っています。
ーー続いては日本選手権競輪の話題に移りたいと思います。真備さんは決勝戦の予想を当サイトで載せていましたが、見事に的中させていました。おめでとうございます! 多くの方からもメッセージが届いていましたよ。
いやいやいや(照)。ありがとうございます。私は関東勢と単騎の古性優作選手、あとは北ラインの3番手だった阿部力也選手に注目していました。その辺りを絡めて狙っていたのですが、それがうまくいって良かったです。
ーーこれぞダービーという熱いレースが6日間、繰り広げられました。見ていてどうでしたか。
どのレースも動きや出入りがすごく激しい展開で、見ていてとにかくおもしろかったです。特に勝ち上がりの権利が狭き門だったので、いつも以上にシビアだったり、狭いコースに突っ込んでいったりする迫力のあるレースが多く感じました。現役の頃は、勝ち上がりが厳しい概定番組はやっぱり大変だったんですけど、今こうやって車券を買う側になって、こういうシビアなレースっておもしろいんだなって強く感じました。
ーー真備さんは最終日に名古屋競輪場に行っていたのですね。
はい、最終日に現地へ行かせていただきました。隣接する中村公園のイベントスペースで「わんにゃんフェスティバル」をさせていただいたのですが、競輪場の熱気が伝わってきてすごい盛り上がりでした。あと中村公園内に映像を映せるトラックが入ってきていて、そのトラックの側面でずっとスピードチャンネルの放送が流れていたんです。公園内にいてもレースが観られるようになっていてすごいなって感動しました。公園には犬のお散歩のために来たような、競輪に関係ない人たち、競輪を見たことない人たちも結構いたんですが、そういった方たちも「なんだろう」みたいな感じで足を止めていて。こういったことをきっかけにして、競輪に興味を持つ方が1人でも増えてくればうれしいなって思いました。
ーーでは最後に、真備さんの今後の活動予定を教えてください。
はい。全プロ記念競輪最終日の5月25日に青森競輪場で、31日には高松競輪場でそれぞれ「わんにゃんフェスティバル」を行います。実は四国は殺処分が多い地域なので、何度かイベントの実施をお願いしたことはあったんですけどなかなか難しくて、今まで実現しませんでした。ですが今回は高松さんの方から「ぜひやりましょう」と声をかけていただけたので、すごくうれしかったです。地元の保護団体さんと力を合わせて開催させていただきます。あと、6月1日にはサテライト宮城さんで保護猫譲渡会も行いますので、お時間のある方、興味のある方はぜひ足を運んでください。皆様にお会いできることを楽しみにしております。
高木真備
Takagi Makibi
元ガールズケイリン選手(106期)。2014年に奈良競輪場でデビューし、玉野競輪場で初優勝する。2016年のガールズケイリンコレクションでファン投票1位を獲得して、優勝。同年末にガールズグランプリ初出場を果たす。2020年には、特別競輪ガールズケイリンフェスティバル(いわき平)で完全優勝し、同年のガールズケイリンコレクション(伊東)も優勝した。ガールズケイリングランプリ2021で悲願の優勝を果たし、2022年4月に引退。現在は動物保護活動をしている。