2025/05/01 (木) 12:00 22
先月10日にコラムが公開され、そこまで間隔を空けることなく新ネタを投下してきた中川誠一郎。理由にはあまり巧妙ではない計算と下心があった模様で…。今月は筆者の我がままが丸出しであるため、あまり競輪の魅力は紐解きません。【構成=塩次洋太(九州スポーツ)】
当コラムを御覧いただいておりますファンの皆様、いつもありがとうございます。このコラムが発表されるころ、ワタクシは玉野のFIシリーズを走っていることでしょう。
ーー唐突にどうしましたか。通常は毎月レースを終えてからコラムを更新するじゃないですか。それに、いつも締め切りは遅れますし。
何日に掲載とか決まっていないから、掲載の間隔が空くと飲み屋で会った競輪ファンから、このコラムが打ち切りになったんじゃないかとかよく心配されます。
ーー先月のコラムは後輩選手へのゲキという名の公開パワハラがメインと後味が悪かったです。何か反響はありましたか。
近い選手たちにはあらかじめ話をしていたのでそこまで。合志(正臣)さんから「赤いユニフォームが内からきてビビっただろ〜」とか言われたぐらいで。それよりも新聞記者からの反応の方が多かったです。
ーー意外ですね。
「『早かったよね』って見出しで小倉の決勝だと一発でわかったよ」とか、「さすが、公開パワハラ。まるで、かつての〇〇選手のレース後みたい」とか。あの、記者に町田さんっているじゃないですか。
ーーnetkeirinでも原稿を書いている方ですね、現場でよく選手から怒られている。
そうです、そうです。「町田さん、盛っちゃダメだよ〜」とか(佐藤)慎太郎さんに。
ーー町田記者がどうしたのですか。
柳詰(正宏)のときと比べたらまだ愛を感じた、って言うんですよ(笑)。
ーー柳詰選手の話題は以前にありました。共に九州の後輩で戦法は追込寄りですね。
柳詰のときはちょっと本気の感情をむき出しにしていたけど、(中本)匠栄の話は怒っている感じを出しつつも冗談っぽく見えたからよかった、と。
ーー柳詰選手、忘れたころに流れ弾が飛んできましたね。
ニュアンスが伝わって良かったです。いずれも遺恨を残したいわけじゃないですから。オレは話を盛って書かないし、別に柳詰も怒らないでしょう。これじゃあ、町田さんに流れ弾ですね。
ーー追込選手にもタイプがあります。中本選手や柳詰選手の競走スタイルに似通うものはありますか。
どうだろう。2人ともタテ脚があるから4角を回ったらぜんぶ交しちゃうとかですかね。自力からすると絶対に食われる、と。ラインとして機能しているからいいんですけど、自力選手だって1着がいいですから。荒井(崇博)さんとか絶対にズボ踏みじゃないですか。
ーー話の流れでその選手の名前が出ると思いました。
全部、根こそぎ皿ごと行くタイプ。それでいて食べたあと、まずい!って苦情が入る、みたいな(笑)。
ーー最近、こちらで話題が出なかっただけに久々にお名前が出てホッとしました。
こっちの戦うステージが違うから会えておらずに話題が無いだけで。ダービーじゃ会えませんが、5月の全プロのとき、やっと一緒ですね。
ーー荒井選手といえば4月の久留米FIでは初日特選と決勝を自力で戦っていました。初日は藤井侑吾選手を完封しました。
あれ、面白かったですよね。面白かったけど、本当は出したがりだったのかもしれませんよ。初日は奇襲だから決まったけど、決勝はもろに警戒されていました。
ーー決勝は後輩3人が付いてライン4車の先頭と、まるで若手選手みたいでした。
決勝も行きたかったのかもしれないですよ。ネット記事で「しゃんなか自力」、いわゆる仕方なしに自力でやるよってコメントを出していたと読みましたが、タテ脚を出したかったと思うんですよ。ただ、相手が強すぎたのが誤算だっただけで。
ーー全プロでの話題探し、楽しみにしています。
たぶん全プロ競輪の終わった日、競技大会の前日には街に魚を食いにいくでしょう。ただ日曜日なんですよね。青森市内で日曜日も空いている、もしくは開けてあげるよっていう魚のうまい店とかスナックがありましたら、下記のメール欄よりご一報ください。荒井御大と共に駆けつけるかもしれません。
ーー4月は川崎記念を走りました。
そうそう、スナックの話といえば、川崎記念のあと小橋(秀幸)さんの奥さんがやっているカラオケバーに行ってきました。
ーー小橋選手は同期ですよね。
そうです。あとは同期の(對馬)太陽さんと近所に住んでいる山田(和巧)さんと。奥さんがこのコラムの読者で、けっこう毒舌で。
ーー盛り上がりましたか。
出る話題ってやっぱり競輪学校の話で。ウチらの期の秩序違反ってなると、そりゃあ……。
ーー何か、危ない方向へずれてきましたので川崎記念の話に戻ります。友人の脇本選手と一緒でしたね。
まあ、いつもながら、とりとめのない話をしていました。前回の誕生日会の話の振り返りとか。
ーー麻雀プロの人たちとの宴でしたね。
プロの皆さんがワッキー用にと特注の麻雀牌セットをプレゼントしたんです。すごい、凝ったいいやつなんだけど、全自動卓に仕込むには2セットないといけないから、もう一個作るとかなんかとか話していました。
ーー脇本選手の自宅には全自動卓があると聞きました。福井まで遊びにいく予定はあるのですか。
9月に福井で共同通信社杯があるでしょう。その最終日の翌日にグランプリスラムの祝賀会があるんです。
ーーそれはいいですね。
ワッキーからは「セイちゃんは何が何でも絶対に来い。欠場は認めない」と念を押されています。なんか知らないけど祝勝会の役員だかにもなっているみたいなので。
ーー脇本選手は中川選手の500勝祝いのパーティの際に熊本まで駆けつけてくれました。そのお返しですね。
だけん、わかりましたって言うしか無かったです。ただ、まだ共同の出場権を取れていないんです。
ーー選考期間は1〜6月いっぱいの6か月です。
選考方法はいろいろあるのですが、FIシリーズで1回優勝すればほぼ権利は得られるんです。そこが一番の近道。
ーーと、いうことは…。
そうです、あの小倉ですよ。本来なら優勝して9月にはワッキーとの楽しい宴が確定していたのに、あの謀反によって台無しです。
ーーそういう理由もあって、ねちっこく突っついていたのですね。
あの3番車の赤い彗星のおかげでオレの共同行きは黄色信号。どっかのFIでツモれれば心のにごりも無くなるけど、取れなかったらもう1回言おうかなって心構えです。
ーーまた、ネチネチが始まりましたか。
だって、出場できなかったら福井まで身銭で行かねばならないのですよ。往復8トンに、飲み代、会費、ホテル代と払ったら一気に10何トン飛びますよ。
ーー親友の晴れ舞台になのに、なんかしみったれた話ですね。
早めに優勝して残りの選考期間を穏やかに過ごすのと、6月のギリギリまで取れずに焦るのとでは気の持ちようが違いますから。心は穏やかにはなりません。
ーー確かに小倉で取っておけば気持ちは楽でしたね。
こうなると、次に決勝乗ってチャンスが巡ってきたとき、焦るあまりに冷静な判断ができなくなるんです。
ーーどういうことでしょう。
つまり、3角で内へ…。オレもやってしまうかもしれないってことですよ。
ーーまた、上田(尭弥)選手が青ざめるのでしょうか。
どっかの決勝でガルちゃん(上田)の前に誰か目標がいて。ガルがもたもたしているうちにオレが3番手、3角から内です。悪魔のささやきですよ、これは。レース後にガルから「言っていることとやってることが違う」とか怒られるんです。
ーー何はともあれ、無事にFI優勝することを願っています。
頑張ります。匠栄も2か月続けてコスられたら、うれしいでしょう。
ーーまたまた、川崎記念の話に戻ります。
ワッキーが2日目にバンクレコードを出したでしょ。何かバンクレコードを出して当然、みたいな感じでしたが、あの日はなかなかすごかったんです。
ーー何かありましたか。
川崎って1着を取るとスタンドのファンの前でインタビューを受けるんです。お立ち台みたく。そこで、めちゃくちゃヤジられたみたいで帰ってきてかなり不機嫌でしたよ。
ーーヤジですか。
しかも目の前で罵声(笑)。オレみたく昔の熊本競輪で育ったものとしては何てことはないけど刺さりますよ。地元の選手とかに聞いたら、有名な人みたいで。飲んだらすごい過激になるけど飲まないとメッチャおとなしいそうです。
ーーバンクレコードといえば中川選手ですね。
そうですよ。ワッキーは2つ目だそうですが、それならまだまだオレの方が格上だなと。
ーー中川選手はいくつ持っているのですか。
言わせますか(笑)。前橋と宇都宮、そして佐世保の3つです。佐世保は自分の記録を自分で塗り替えたから、実質4つ持っているようなものです。
ーードヤ顔で酒を飲まないでください。
ワッキーは前橋でタイ記録を出したらしいけど、オレの方が先だから更新されなかった。そこは威張れるところで、珍しくワッキーにマウントを取れます。
ーーレースでは同県の松本秀之慎選手、そして東矢圭吾選手とは2回連係しました。
秀之慎は初連係でしたが介護されず、潔い共倒れでした。
ーー判断が難しかったようにも見えました。
あれはしょうがない。黒沢(征治)が突っ張って、大バックを入れたところで内に踏んづまって、みんなドンドンと行って一番後ろになっちゃうって。オレでも同じことをするでしょうし。次、一緒のときは体を拭いてほしいです。それよりも、ですよ。
ーー何かありましたか。
オレは9番車だったんですけど、発走機に立ちお客さんの方にふと目をやったら、思わぬ人がいて目を疑ったんです。
ーー誰ですか。
集中していたから定かでは無いのですが、西川(親幸)さんとおぼしき人が会心の笑顔で手を振っていたんです。熊本ならまだしも川崎で。もちろん笑えないし、返事もできないし大変でした。あんなの罠ですよ(笑)。
ーー2日目と最終日には東矢選手と連係しました。
2日目の1着は圭吾のおかげ。最終日は落車をしてしまい残念でしたが、幸いにして大事には至らなかったようです。介護士がどんどん登場してありがたいですね。
ーー2日目は脇本選手のようにお立ち台に呼ばれたのですか。
行ってきましたよ。オールスターのファン投票へ向けて猛アピールしてきました。唯一の宣伝の場ですから。
ーー効果はありそうですか。
指紋がすり減るほど握手をしてきました。もう、選挙に出るのかってぐらい。知り合いの人が見にきていて、開催後に「さすが、ファンサ、神クラス」とかいって現地の動画を送ってくれましたが自分でもすごいな、と呆れました。
ーー現地にいたファンの方から「ハートマークを作って、ずっと笑っていた」との報告もありました。
ああ、しました。中継でもその場面がアップで抜かれたらしく、後日いろんな人から言われました。
ーーそこまでして。
あれは目の前にいたオジちゃんが、ずーっとハートマークを作ってニコニコしながらオレを見ていたんです(笑)。こっちもさすがに返さなきゃとハートマークで応えたんですよ。中継を見た人には、オレが勝手にハートマークを作って愛想を振りまいている不思議な光景に映ったことでしょう。
ーーそれも下心ですか。
そうですよ、清き一票のためです。
ーー開き直らないでください。
オジちゃんに、一票をお願いしますと心の中で念じながらハートマークを返していました。控え室に戻ったらワッキーにも「セイちゃん、ハートマークしていたね」って言われました。
ーーみんなが見ていたんですね。
だから、「そりゃするさ。オールスターに出るためには何でもやるよ」ってキリっと返してやりました。でも、ワッキーの一言で我に返りました。
ーー何と言われたのでしょう。
「いやいや、セイちゃんさ、いつ投票が始まったと思っているの?熱心なファンはもうとっくに投票しているから」って。ああ、たしかにそうだな、と。
ーーあっ、ようやくわかりました。普段、締め切りを守らないのに、今月だけこれだけ前のめりにコラムを更新したのはファン投票の締め切り(5月11日)を意識してのことですね。
今さらですか。当たり前でしょう。かつては応募者の中から抽選で2000名様にクオカードをプレゼントとか、選挙前のバラまきのようなことを企てていましたが、もう財政難でそれも無理ですから。
ーーそれは買収じゃないですか。おカネに余裕があっても絶対に上から怒られます。
と、いうことで、ファンの皆さん、どうにかワタクシに函館の夜景を見せてあげてください。ワッキーはどうせドリームに乗れるし、余った300票ぐらいオレにくれないかな…。
【大募集】
中川誠一郎選手が、読者の皆さんのお悩みを解決します!「仕事がうまくいかない」「お酒がやめられない」「オフの日の過ごし方は?」……など皆さんからのお悩み&質問を中川誠一郎選手へお届けします!
中川誠一郎
Seiichiro Nakagawa
中川誠一郎(ナカガワセイイチロウ)。熊本県熊本市出身。日本競輪学校第85期卒業。日本競輪選手会熊本支部所属。師匠は従兄の瀬口慶一郎。 実妹の中川諒子は女子競輪選手、義弟の吉成晃一も競輪選手。2000年8月15日、ホームバンクの熊本競輪場でデビューし1着。後2日間も勝利し、デビュー場所で完全優勝。2016年日本選手権競輪(静岡)、2019年読売新聞社杯全日本選抜競輪(別府)、高松宮記念杯競輪(岸和田)を優勝している。好きな食べ物は寿司。