2021/08/29 (日) 12:00 2
小田原競輪場で開催されている「北条早雲杯争奪戦(GIII)」の決勝レース展望をお届け! 決勝は本日16時30分発走予定。
北条早雲杯争奪戦の初日午前中、旧友から電話があった。こんな時の電話は、あまり良い電話ではないんだが…と恐る恐る出てみたが、いきなり「見てる?」ときた! ナニナニ?? と聞けば、パラリンピックのトラック自転車競技のこと!
1000mTTを見終わり「スゲ〜!」と感心していたところだから、話が盛り上がる。新田祐大が2020全日本自転車競技大会で1分01秒551のタイムを出し、ゴール後に「鉄パイプで殴られ続けているようだった」と名言? を吐いていた。
パラリンピック男子1000mTT(運動機能障害C4、5)でアルフォンソ・カベリョリャマス選手(スペイン)が1分01秒557の世界新記録で優勝し、新田祐大の記録に肉薄するタイムを出した! これで盛り上がらないはずがない! しかし傍らで耳をそばだてていたカミサンに「アンタらもグダグダせずに努力をしな!」と一喝を食らっちまった…(>_<)!
松戸記念では松浦悠士が貫禄のV。しかし同じ33バンクでも小田原はまた勝手が違う! オレの中で妄想の虫がざわつく。いつものように準決勝にヒントがないか、あきらめ半分で観戦した。9Rはいつも通りに松井宏佑が前受けから7番手まで引いて巻き返し、守澤太志が差して人気の決着だった。
ところが10Rで波乱が起きた。眞杉匠が前受けに出て北日本を分断しにかかる。そこにすかさず鈴木陸来が出て主導権奪取。これに乗った佐々木豪が捲っていくという目まぐるしいレースになった。平原康多は危険と承知で突っ込み落車…、SS班の責任を背負った走りと見たが…。11Rも小原佑太が深谷知広を突っ張り、下げた深谷が落車…。単騎の石塚輪太郎が捲っていき、これに乗った清水裕友が抜け出した。
妄想しがいのある細切れ戦だ。細切れ戦だが実質的には東と西の戦いとも取れるよね。まず初手は①松井宏佑-④田中晴基の南関タッグに②守澤太志-⑤佐藤友和の北日本が続き、単騎の⑥石塚輪太郎がこのあたり、⑨清水裕友-③柏野智典の中国勢に⑦佐々木豪-⑧久米良の四国コンビといった並びだろう。(⇐①④・②⑤・⑥・⑨③・⑦⑧)
これなら清水が切り、佐々木を受けて佐々木-久米-清水-柏野で中四国4車が並び、このまま決まる。佐々木の気持ち次第だが、ブンガケありきで清水が抜け出しV。柏野の流れ込み⑨=③か、守澤が力勝負を持ち掛けて守澤の逆転②=⑨まであるかもね。
さて、守澤の出方を考えてみる。世話になった松井に恩義を感じるなら、松井ラインのかましに乗るしかないよ! 松井-田中-守澤-佐藤で並べば松井はダッシュを生かし出れるだろう。しかも松井は仕掛けが早い。尚更タテ脚の切れ味良い守澤の完全Vが見えるってもんよ。やはり人気は守澤になるのかな? だとしたら守澤のアタマから松井-田中-佐藤の2着争いになるのか?
いやいやそれでは妄想は成立しない。それにこのレース、そう易々といかない雰囲気があるぞ。毎度言ってるが『競輪は番手』なのよ。だからこの展開がある! 鍵を握るのは田中晴基と読む。
田中は追い込み屋に転向宣言をしたとの情報を耳にした! しかも地味に動きが良いときている。となれば、④-①の南関決着に守澤が絡むか、あるいは田中はヨコも厳しくできるし、守澤を止めるかもしれない。すると佐藤の突っ込みが見えてくる。番手番手の車券も侮れず! この展開はごちゃつく可能性もあるし、④田中で夢を見るなら手広く行くことをオススメする!
吉井秀仁
Yoshii Hidehito
千葉県茂原市出身。日本競輪学校第38期卒。選手時代はその逃げるスピードの速さから「2週半逃げ切る男」と称され人気を集める。1978年競輪祭新人王戦を制し、翌年も小倉競輪祭の頂点に立つ。1980年の日本選手権は完全優勝、1984年オールスター競輪でも覇者となり、選手としての一時代を築き上げた。現役引退後はTV解説者やレポーターとして活躍、競輪場での予想会イベントやYoutubeのライブ配信なども精力的におこなっている。ファンからは「競輪客のような解説者」と親しまれており、独特のひらめきによる車券戦術を数多く披露している。