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鈴木誠のハイブリッド展望

【春日賞争覇戦予想】決勝は古性VS郡司のSS班対決! 道場の突っ張り先行の3番手から抜け出した郡司が、3大会連続での記念競輪制覇を決める!/鈴木誠の展望

2025/02/11 (火) 12:00 3

現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は奈良競輪場で開催されている「春日賞争覇戦」の決勝レース展望です。

初日の特選では南関東の分断を図った古性だが、ここは捲りに切り替える?

「春日賞争覇戦」は脇本選手の欠場こそあったものの、古性選手、郡司選手、平原選手とSS班3名が参戦してきました。

 その古性選手と郡司選手は決勝進出を果たした一方で、平原選手は2日目の二次予選で5着に敗れただけでなく、ゴール後には落車もしています。

 昨年から平原選手は落車が多くなっており、成績を見ても「落車」「失格」「欠場」の文字が並んでいます。選手の視点からすると、決まり手に「数字」では無く、「漢字」が並ぶのはあまり良いことではありません。

 前回の「東日本発祥倉茂記念杯」でも、平原選手は落車に巻き込まれています。落車に次ぐ落車で、身体のコンディションはかなり悪いはすです。

 それでも大会に出場すれば、誰もがSS班としてのレースを期待してしまいます。二次予選での落車も、全盛期の平原選手ならば皿屋選手へのけん制をした後に、そこから一気に伸びていたはずでした。

 落車からのコンディション不良と、今の平原選手は悪循環に陥ってしまっています。また、いい頃のイメージでレースに臨んでいても、思うように自転車が進んでいかないと思っているはずです。

 SS班だけに焦りもあるとは思いますが、ここはしっかりとコンディションを戻した上で、決まり手に「漢字」では無く、数の少ない「数字」を並べてもらいたいと思います。

 一方で古性選手、郡司選手はこれまでの記念競輪での成績が物語るように好調をキープし続いています。

 互いに意識するところもあるのでしょうが、それが初日の特選における、古性選手の走り(松井選手の番手を郡司選手から奪う)にも表れていました。

 レースは佐々木選手の一気の捲りに乗っていった、小林選手の勝利となりましたが、早いタイミングで横と縦の脚を使っていきながら、2着に残した古性選手。そして、一次は後方7番手に置かれながらも、3着まで追い込んできた郡司選手と、2人はさすがSS班という走りを見せてくれました。

 決勝もその2人が3車のライン同士でぶつかり合う並びとなりました。近畿ラインが①古性選手-⑨三谷選手-④山本選手。南関東ラインが⑥道場選手-⑤松井選手-②郡司選手。

 東日本ラインでの連係が③佐々木選手-⑦山崎選手で、⑧皿屋選手は単騎戦となります。

 近畿ラインと南関東ラインを並べた時に、機動力で上なのが南関東ラインです。しかも、道場選手をラインの先頭に置けることで、突っ張り先行も選択肢に入ってきています。

 一方、古性選手は地元の奈良の2人が付いてくれたと言えども、昨年のグランプリ王者としては、自分が勝つレースにこだわる必要が出てきます。そうなれば1番車を引いたからと言えども、突っ張り先行はしてこないと見ています。

 古性選手は特選のように、南関東ラインの番手を奪う作戦もありますが、それだと特選のように、後方にいる佐々木選手に捲る隙を与えてしまいます。むしろ優勝に近いポジションは、先行した南関東ラインの4番手と言えるでしょう。

 古性選手はスタートを郡司選手に取らせたとしても、車番的にはその後ろから隊列を作っていけます。後方となった佐々木選手が、道場選手を抑えにいきますが、そこで突っ張られた佐々木選手が後方に下がっていったのを見計らって、古性選手は捲りに入っていくと見ています。

 松井選手は古性選手が動き出すよりも先に、番手捲りを繰り出していくはずです。展開次第では短い直線を生かしての押し切りも可能でしょうが、ハイスピードで逃げている道場選手を追走していたぶん、ゴール前で脚を無くしてしまうかもしれません。

 むしろ、3番手で脚を溜めている郡司選手の方が、優勝に近い存在と言えます。また古性選手は無理に道場選手を捲りに行かなくとも、一本棒の4番手をキープしていたのならば、郡司選手とのゴール板勝負に持ち込めるはずです。

 穴は古性選手の後ろで、虎視眈々と勝機を狙っている三谷選手です。古性選手の仕掛け次第では、3連単の頭までも考えられます。また、単騎の皿屋選手も切れ目からの一発が怖い存在となってきます。

 印としては◎②郡司選手、〇①古性選手、△⑨三谷選手、×⑧皿屋選手とします。準決勝は全て万車券となるなど、小回りの333バンクらしい荒れる大会ですが、決勝はSS班が力の違いを見せつける形で、堅い決着になっているのかもしれません。

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鈴木誠

千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。

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