2024/12/15 (日) 16:30 20
12月30日、静岡競輪場で開催される『KEIRINグランプリ2024』。今年競輪界で活躍を収めた選ばれし9名だけが出場権を有し、優勝賞金は1億4000万円! まさに競輪界に“カネの雨が降る”1日で、「この日だけは車券を買う」という方も多い。今回は元競輪選手でプロレスラーの川上真吾さんをお迎えし、“プロレス好き”ならではの視点でグランプリの楽しみ方を伺った。
netkeirin読者の皆さん、お久しぶりです! 2月に競輪選手を引退し、今は地元で『相原プロレス』を主宰しプロレスラーとして活動している川上真吾です。
現役時代は3年ほど競輪選手兼プロレスラーの“二刀流レーサー”をやっていました。自分の競輪選手としてのピークを知ってからは、競輪界にとって『プラスアルファの役割』を果たしたいと思い試行錯誤していました。今はプロレスラーと京王閣競輪の解説者、中学校の数学教師の“三刀流プロレスラー”として頑張っています。
さて、今回は競輪界が一番盛り上がる「KEIRINグランプリ」をたくさんの人に楽しんでもらえるように、この“最上級のタイトルマッチ”を盛り上げたいと思います!
まず競輪とプロレスはズバリ似ています! 両方が好きな方はきっとおわかりでしょう。どちらもドラマが生まれ『点と点が線になった瞬間』が一番の魅力、そして“沼”じゃないでしょうか。
競輪もプロレスも“選手同士の絆”が感動を呼びます。そして勝ち負け以上と言えるほど「勝ち方、負け方」に大きな意味があって「しょっぱい勝ち」もあれば「男を上げる負け」もある。この試合、このレースにはどんな意味がある? どういう理由でこの動きをした? と、見ている側が点と点をつないでいく楽しさが共通しています。
競輪独特の文化である「ライン戦」の概念も、プロレスの「ユニット抗争」と置き換えて考えてみると面白いかもしれません。
競輪では近い地区で結束して、それぞれの“役割”を果たしタッグマッチのように戦っています。そして最終4コーナーを回ったら全員が敵になって、1着を目指します。グランプリで言えば一発勝負ですから、スリーカウント(=1着)を取った人が1億円ゲット、というわけです。
連係も、長く組んでいれば“阿吽の呼吸”で仕掛けられるけれど、即席だと思わぬ“誤爆”に繋がったり…。逆に3人でラインを組んでいる敵を、1人でやっつけることもできるわけです。『猪木vs国際軍団』みたいで気持ちよくないですか?
競輪もプロレスも「この相手には絶対負けたくないだろう」「あのとき勝てなかったからここで勝てたんだ」とか、自分の感情と重ね合わせながら紡がれるドラマを余白ごと楽しめる“大人のスポーツ”ですね。
競輪選手やOBにもプロレス好きな人はとても多いです! 現役時代に豊橋記念でプロレスをやった時には、山口幸二さんがやってきて、リングアナを務めてくれました。
そこで今回は敬意をこめて「KEIRINグランプリ2024」に出場する選手のみなさんを、プロレスラーに当てはめて考えてみたいと思います!
平原康多(42歳・埼玉=87期)
…棚橋弘至(新日本プロレス・本隊)
2010年代、競輪界が苦しかった時期に常にトップで頑張っていた平原選手は、新日本プロレスの“冬の時代”を支え続けた棚橋選手と重なります。落車してケガをしてもレースに出続ける平原選手と満身創痍ながら国内外で試合に出続ける棚橋選手、ハードワークを厭わない姿勢も共通していますね。ルックスのさわやかさ、ソフトなかっこよさも似ていませんか?
眞杉匠(25歳・栃木=113期)
…オカダ・カズチカ(新日本プロレス→AEW)
その平原選手とタッグを組むであろう眞杉選手。若くてセンセーショナルな活躍を見せているところがオカダ選手とかぶって見えます。先行でやってきたけれど今はもう本当にいろんなことができる。オカダ選手は今年AEWに挑戦して、眞杉選手もS班として自身のスタイルを築きました。おしゃれな雰囲気で人気があるところも共通点かもしれません。
脇本雄太(35歳・福井=94期)
…“ミスター・プロレス” 天龍源一郎
ちょっと時代が変わりますが、脇本選手は“もはやレジェンド”ということで天龍さんにしました。脇本選手の必殺技・ロングカマシ先行と天龍さんの『パワーボム』のダイナミックさが重なります。やや大味にも見えますが、すさまじい破壊力には間違いない。福井県出身というのも共通点です。
古性優作(33歳・大阪=100期)
…“四次元殺法” 初代タイガーマスク
古性選手はまさに“競輪界の四次元殺法”! 動きが読めない、何をやってくるかわからない、何をしても強い。古性選手も初代タイガーマスクも体はそこまで大きくないですが、ストイックな姿勢でトップにのし上がったまさに“努力の人”。そのテクニックと驚異の身体能力でこれからも歴史を作っていくでしょう。
郡司浩平(34歳・神奈川=99期)
…内藤哲也(新日本プロレス/L・I・J)
南関勢の司令塔・郡司選手。今や群雄割拠の南関の第一人者で、苦労ののち安定感ある位置を得た内藤選手と重なります。郡司選手は先行捲りから自在脚まで何でもあるのに、時には北井選手の前で駆けたりと自分を犠牲にできるところも似ています。内藤選手の必殺技は『デスティーノ』が有名ですが、ここ一番で『スターダストプレス』を繰り出すなどさらにすごい“隠し玉”を持っている。まだやれることを隠しているんじゃないか? 郡司選手がグランプリで何をしてくるか楽しみです。
北井佑季(34歳・神奈川=119期)
…鷹木信悟(新日本プロレス/L・I・J)
北井選手はまさに“遅咲きのスーパースター”。Jリーガー時代は苦労して、31歳で競輪界へ飛び込んできました。鷹木選手も新日本プロレスに参戦したのは37歳の時で、今では巡り巡って新日のトップレスラー。苦労があって、今がある二人です。その強さは言うまでもなく、北井選手の先行力と鷹木選手の必殺技『ラスト・オブ・ザ・ドラゴン』の破壊力が重なります。
岩本俊介(40歳・千葉=94期)
…SANADA(新日本プロレス/BULLET CLUB)
岩本選手はこれまでグランプリには届かないところでずっと頑張ってきた選手。これまでは隠れがちでしたが、しっかり実力があり努力が実を結んでグランプリに乗ってきました。SANADA選手は過去所属していたユニット『L・I・J』で二番手的なポジションでしたが、一枚格が落ちるようなところから主役級にのし上がった選手で、IWGPも獲っています。40歳でグランプリ初出場というのは本当にすごいこと。グランプリで神奈川勢と連係するのか? 別線になる可能性含みで『L・I・J』から出ていったSANADA選手と重ねてみました。
新山響平(31歳・青森=107期)
…ウィル・オスプレイ(AEW)
“徹底先行”を貫いてきた新山選手が単騎になるかもしれないというのは興味深いですね。北日本ひとりで“孤軍奮闘”する姿はウィル・オスプレイ選手のようです。見た目のクールさもですが、おしゃれな動きでカッコいいところも重なりますね。新山選手はS班になってからなかなか優勝が遠かったですが、あの戦法でグランプリ3年連続出場は並大抵のことではありません。闘う姿で勇気を与えるオスプレイ選手、走りで勇気を与える新山選手。グランプリでの勇姿に期待です。
清水裕友(30歳・山口=105期)
…“革命戦士” 長州力
常に強さを誇示しながらも、渋い競走もできる清水選手。まさに長州力さんの“ストロングスタイル”のようだと思います。長州力さんはダイナミックなラリアットもできるけど、サソリ固めのようなクラシカルな技もある。清水選手は豪快さと職人芸を兼ね備えた“競輪界のストロングスタイル”! 同じ山口県出身で、寡黙な雰囲気も似ているなと感じます。
ここまで僕の独断で今年のグランプリレーサーを紹介させていただきました。個性豊かなトップ選手が出場するKEIRINグランプリ、楽しみになってきましたか?
感情を乗せた“人間”が戦うからこその面白さがある競輪とプロレス。自分の人生と歴史を重ね合わせて感動したり、熱狂したりできるのが魅力だと思います。
グランプリは年に一度の“最上級タイトルマッチ”ですから、展開予想するも良し、気になる選手や車番で車券を買ってみるのも良し、自由に楽しむのが一番! 何が起こるかわからないハラハラドキドキの“一発勝負”、歴史が刻まれる瞬間をこの目に焼き付けましょう!
年末のグランプリが終わったら、年明けの1月3日に僕が主催する『相原プロレス』のVol.5となる大会を開催します!
『相原プロレス』では地域貢献を目的として、お客様からはお金をいただかず企業協賛、個人協賛で興行をおこなっています。もちろん遠方からのご来場も大歓迎。入場無料で2試合をお届けしますので、ご都合のつく方はぜひ会場にいらしてください!
『相原プロレス Vol.5』 ※雨天中止
日時:2025年1月3日(金) 13時開場、14時開始
会場:フォレストリング相原(町田市相原町1689-3 木のカフェ向かい駐車場)
詳細はシンゴ・相原 公式X※外部サイトに遷移します
netkeirin取材スタッフ
Interview staff
netkeirin取材スタッフがお届けするエンタメコーナー。競輪の面白さをお伝えするため、既成概念を打ち破るコンテンツをお届けします。
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