2024/11/24 (日) 12:00 2
GI開催特別コラム「山田裕仁の一発逆転!波乱注意報」。KEIRINグランプリを三度制した帝王・山田裕仁が、開催前半〜中盤までの選手の調子をチェックし、展開から"買えるヨーロッパ(468)"を紹介。元選手ならではの視点から、狙い目の2レースをお届けします。▶山田裕仁の見解と買い目はこちら
ヨーロッパ(468)とは?
競輪では各レースにおける「能力的にやや見劣る選手」「競走得点の低い選手」が、4番、6番、8番に入ることが多いことから、ひとくくりにしてこのように呼ばれています。とはいえ、展開やデキ次第では上位への食い込みが十分に可能。その場合には高配当も期待できます。そんなヨーロッパの中から、とくに好走&激走が期待できそうな選手と推奨理由について解説します。
【予想レース①】
小倉7R 競輪祭(GI)S級特選
①山田英明(89期=佐賀・41歳)
②三谷将太(92期=奈良・39歳)
③佐々木悠葵(115期=群馬・29歳)
④和田圭(92期=宮城・38歳)
⑤窓場千加頼(100期=京都・33歳)
⑥東口善朋(85期=和歌山・45歳)
⑦諸橋愛(79期=新潟・47歳)
⑧小松崎大地(99期=福島・42歳)
⑨小岩大介(90期=大分・40歳)
【初手・並び予想】
←⑤②⑥(近畿)①⑨(九州)③⑦(関東)⑧④(北日本)
【注目のヨーロッパ】
⑧小松崎大地
④和田圭
四分戦となった第7レース。ここで人気を集めるのはおそらく、⑤窓場千が先頭の近畿ラインだろう。残念ながら決勝進出を逃した⑤窓場千だが、負け戦で唯一の3車ラインならば今度は大丈夫ーーと、多くの人が考えることだろう。しかし昨日もこのコラムで述べたように、このシリーズでの⑤窓場千のデキはけっしてよくはない。ここの評価を割り引きつつ、「ヨーロッパ」を絡めて美味しい配当を狙っていきたい。
3車ラインの“数の利"を生かすためにも、ここは近畿勢がスタートを取って前受け。車番的に後ろ攻めとなるのは、⑧小松崎が先頭の北日本ラインだろう。4日目から補充で出場となった⑧小松崎だが、その“格"はここに入ってもまったく見劣らず、実際に2着、2着と結果も出している。主導権を奪って逃げる積極的な走りもみせており、デキも上々の様子である。
⑧小松崎が前を斬りにきても⑤窓場千は突っ張ることはなく、続いて③佐々木悠が前を斬って先頭に。関東ラインの先頭を任された③佐々木悠は、デキのよさがとくに目立っている選手の1人だ。最終日だけに関東ラインの積極策もあるはずで、⑧小松崎はその直後3番手につけられれば理想的。⑤窓場千が5番手、①山田英が8番手という隊列からの勝負になれば、勝てる可能性は十分ある。
九州ライン先頭①山田英は、位置は取れるも自力が不足しているので、ヒモ候補という扱いが適切。③⑦⑧④⑤②⑥といった隊列からの「⑧→③④⑦→①③④⑤⑦」や「③⑦→⑧→①③④⑤⑦」といった決着を積極的に狙っていきたい。⑧小松崎の番手を回る④和田圭とのスジ決着でも、ここならば悪くない配当となるはずだ。デキのいい選手を狙うという、競輪の基本に忠実な「ヨーロッパ狙い」である。
【予想レース②】
小倉10R 競輪祭(GI)S級特秀
①新山響平(107期=青森・31歳)
②平原康多(87期=埼玉・42歳)
③松本貴治(111期=愛媛・30歳)
④岩本俊介(94期=千葉・40歳)
⑤森田優弥(113期=埼玉・26歳)
⑥中釜章成(113期=大阪・27歳)
⑦永澤剛(91期=青森・39歳)
⑧雨谷一樹(96期=栃木・34歳)
⑨太田海也(121期=岡山・25歳)
【初手・並び予想】
←①⑦(北日本)⑥(単騎)⑤②⑧(関東)⑨③(中四国)④(単騎)
【注目のヨーロッパ】
⑥中釜章成
④岩本俊介
ラインが3つに単騎が2名というメンバー構成となった、第10レース。北日本ラインの先頭を務める①新山響と、ナショナルチーム仕込みの卓越したスピードを誇る、中四国ライン先頭の⑨太田海が激突する。中団でうまく立ち回れそうな⑤森田優が展開有利と考える人が多いだろうが、期するものが大きいはずの④岩本俊や、デキが非常にいい⑥中釜章も侮れない。かなりの混戦模様で、マギレもありそうな印象を受ける。
ライン先頭の調子がいい一戦でもあるので、ここは「展開読み」の勝負に。初手での前受けは車番に恵まれた①新山響で、スタートの速い⑥中釜章は、その直後を取りにいきそう。中団に関東勢で、⑨太田海は後ろ攻めから動かずに、自分のタイミングで仕掛けていくだろう。その後ろの最後尾が④岩本俊というのが、初手の想定である。ここから、①新山響と⑨太田海がバッチバチにやり合う展開となりそうだ。
戦いの主役は①新山響と⑨太田海という輪界でもトップクラスのスピードの持ち主で、この両者がプライドや意地をかけてぶつかり合うのだから、やはり「潰し合い」となる可能性が非常に高い。ならば展開利のある⑤森田優を--となるところだが、サラ脚で回ってこられるというのは、単騎の⑥中釜章と④岩本俊もまったく同じ。ならばここは、人気のない2名の単騎勢を狙ったほうが面白い。
①新山響と⑨太田海が潰し合ってからの⑥④の突っ込みなので、ここを3着でも2着でもなく「1着固定」で狙うという、徹底した高配当シフトを推奨。能力が能力だけに①⑨も押さえるべきなのだろうが、展開を考えると共倒れになっている可能性が高いので、2着に①⑨を取らない、アグレッシブな買い目をオススメしたい。高配当は確実なので、3連単にはこだわらず「⑥④→①⑨以外」という2車単での勝負もあり。ここから流す3連単ならば、場外ホームラン級の配当まで期待できるはずだ。
山田裕仁
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校第61期卒。KEIRINグランプリ97年、2002年、2003年を制覇するなど、競輪界を代表する選手として圧倒的な存在感を示す。2002年には年間獲得賞金額2憶4434万8500円を記録し、最高記録を達成。2018年に三谷竜生選手に破られるまで、長らく最高記録を保持した。年間賞金王2回、通算成績2110戦612勝。netkeirinでは当コラムのほかに、グレードレースを総括する「山田裕仁のスゴいレース回顧」も担当。