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佐藤慎太郎“101%のチカラ”

【佐藤慎太郎の近況報告】“人生を張るだけ” 南4局で逆転を狙う以上は弱気になるヒマもない

2024/10/24 (木) 18:00 33

弥彦GI・寛仁親王牌を戦った佐藤慎太郎(撮影:北山宏一)

 全国300万人の慎太郎ファン、netkeirin読者のみなさん、いよいよ衆院選ですね、佐藤慎太郎です。選挙が近くなるタイミングで慌てて猛アピールしている政治家を見ては、レース本番で慌てないように準備する大切さを思い返して気を引き締めています。

 どんな演説よりもどんな選挙パフォーマンスよりも『日々、何を考えて何を行動してきたのか』ーー。それらがすべてであり、本番が近くなって慌てて動き出してもダm、、、おっと競輪選手コラムではなく、政治コラムになるとこだったな! それはまたいつかにするよ、ガハハ!

競輪選手と並行して愛国者でもある(撮影:北山宏一)

引き続き“いつも通りに”

「誰よりも命懸けで追い込んだ」という自信を持ってオレは寛仁親王牌へ行く。あきらめるのはすべての結果が下されたときだけだ。GIタイトルを目指す気持ちに何ら変わりはない。いつも通りに行こう。(佐藤慎太郎コラム9月号より)

 この文章は寛仁親王牌へ向かう毎日の中、前回のコラムで書いたこと。言葉通り、しっかりと納得いくまで自分を追い込み、弥彦競輪へ入った。タイトル獲得はならず、白星も挙げることはできなかった。しかし、体の状態は申し分なく、戦う準備は万端にして臨んだ。それでも結果をつかみ取ることはできなかった。この現実からは逃げることも悲観することもなく、すべてを受け止めて進むほかない。

 親王牌からの帰り道には言い訳もなく、落胆に削がれる気持ちなども微塵もなかった。これから向かう京王閣記念、四日市記念、競輪祭を集中して走るつもりだ。弥彦のヤマが終わりなお繰り返しになるが、『あきらめるのはすべての結果が下されたときだけだ』をリピートしておく。『GIタイトルを目指す気持ちに何ら変わりはない。いつも通りに行こう』も淡々とリピートしておく。

 ファンのみなさんの声援も届いている。競輪場でも、SNSでも。「がんばれ慎太郎」の言葉をパワーに変えているよ、サンキュー。たまに「グランプリあきらめるな、慎太郎」と温かい激励を受けるが、オレ自身がいたってフツーにあきらめていないので、戸惑ったりしている。『あれ?オレからあきらめの雰囲気が出ていたのかな?それで投げかけられた言葉なのかな?』ってね(笑)。

 こんなにたくさんの応援を届けてもらい、10度目のグランプリ出場をかけて走っている今年、あきらめるはずもない。まあ、“10度目”とか数的な節目には何の興味もねえんだけど、ひたすら一生懸命になる理由があるってことだね。

ファンに声をかけられ応じる一幕、声援に背中を押されるという(撮影:北山宏一)

勝てていない事実が示すものはひとつだけ

 競輪のレースは『展開が向く・向かない』が大いに勝敗に影響する。みなさんご存知のところだろう。身体のコンディションが良い時でも展開が向かず、結果が出ないことは多々ある。うまくいかなかったレースの直後に「展開が向かなかった」のニュアンスでコメントすることは実際にある。

 だが、レース後でもなく、トレーニング中でもなく、冷静になって書くこのコラムではハッキリと綴っておくが、「展開が向かなかったから負けた」というのはGIタイトルを獲得したいならば、完全に誤り。そんなことはない。しっかりとその時代のレーススタイルに順応して、脚と技術と気力を持ち合わせていれば敗北は回避できるということ。勝利を手繰り寄せられるということ。

「雨風も関係ない。強いか弱いかだけ」と言い切る(撮影:北山宏一)

 レース中に起こる難しい選択を判断していく中で、自分にとって最善の判断を連続させていけば、マイナスの展開でも打開できる。寛仁親王牌の決勝はわかりやすくそのことが証明されている気もする。

 勝ててない事実が示すものはひとつだけ、「弱いから」です。脚も技術も精神力もまだまだ甘い、及んでいないということ。このことを肝に銘じて妥協せずに鍛えるしかない。なかなか走行テクニックや追走技術だけではカバーしきれない競輪になってきているのは事実。一戦一戦の気づきを大切にして、ストイックに最短距離で強くなっていくしかない。

4車横並びでの3着争いとなった弥彦GI準決勝ゴール直前(撮影:北山宏一)

時間を戻せない以上“その時”が1番若い

 そんな風に考えを巡らせている時、「オレの歳でここからどんだけ上積みを求められるか問題」に遭遇する。ふとした時に「20代の頃からこの気持ちを持って取り組んでいたらなあ」とか「あの地点に戻れないかなあ」なんて一瞬だけファンタジーな慎太郎になったりもする(笑)。みなさんもそんなことあるでしょ? 戻れたらなあってやつ。

 でもリアルな慎太郎は知っている。みなさんも知っているでしょう。過去に戻れるなんてことはありやしない。そんなファンタジーはありえない。じゃあ、どうするか。気づいた時に最善を尽くし切ることなんじゃないかなと思う。その気持ちに気がついた“その時”がきっと一番若い。自分って人間は“今”が一番若い。

「あの時こうすれば良かった」みたいな気持ちにだけはならぬように、今やるべきことをやる。今に必死になる。それはずっと先にも繋がる心構えにもなるだろう。オレの競輪人生は南4局・オーラスってわけでもない。いや、仮にオーラスだとしても、その半荘が終われば、また次の半荘で東1局が来る。「今日はもうこの半荘で終わりにしよう」って時間じゃない。そんな感じのタイミングではない。

 佐藤慎太郎が本番で慌てることなく、日々どういう打ち方を示すのか。対戦相手の脅威になり、お客さんから見れば走りで沸かせられる選手として戦うために、どの牌を残して、どの牌を切るのか。自分の在り方と向き合い、次の京王閣から四日市、その先の競輪祭まで突っ走ろうと思う。もっとも今年の権利争いは南場に入っているわけで、オレからすれば「南4局で逆転」を狙ってんだから、弱気になっているヒマはねえ。

先にしか道はないからこそ、後ろに悔いを残さない(撮影:北山宏一)

地区プロで目撃した新田祐大の存在感

 オレの近況報告は十分できたので、最後に北日本の地区プロの話を記しておこう。地区プロは選手のタイプによって多少異なるものの、基本的には競輪開催のような緊張感ではなく、リラックスした雰囲気の中で行われる。普段顔を合わせない選手とも会える場だし、楽しみがある。注目されているルーキー中石湊の走りも見れたよ。ダイナミックな走りをする選手だという印象を持ったかな。

125期注目の中石湊

 それにしても、これから京王閣でも一緒になる新田祐大だ。福島の誇るグランドスラマー。地区プロでもスプリントと1kmを力で圧倒して勝利していた。改めて迫力、凄み、存在感、どれをとっても新田はやばい。こういう“先輩”が壁のように立ちはだかっている環境は若手選手にとってもすごく良いことだよな、と見ていた。

「新田を超えていく」そんな気概で励めば素晴らしい成長に繋がると思う。さすがにグランドスラマーを超えていくというのは並大抵のものではないのだけど。身近に大目標にできる先輩がいるわけだから、ストイックにさまざまなことを吸収できる。有望な北日本の若手選手たちよ、がんばれ!

 さて、今月はそろそろ筆を置こう。新田や響平をはじめ、北日本のエース格と京王閣に乗り込んでいく。気合を入れて戦ってくるので、引き続きみなさんの応援をお願いできたら!行くぜ!

2023年京王閣記念は新田祐大優勝・佐藤慎太郎準優勝の結果、今年のバトルは果たして(撮影:北山宏一)

【公式HP・SNSはコチラ】
佐藤慎太郎公式ホームページ
佐藤慎太郎X(旧Twitter)

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佐藤慎太郎

Shintaro Sato

福島県東白川郡塙町出身。日本競輪学校第78期卒。1996年8月いわき平競輪場でレースデビュー、初勝利を飾る。2003年の全日本選抜競輪で優勝し、2004年開催のすべてのGIレースで決勝に進出している。選手生命に関わる怪我を経験するも、克服し、現在に至るまで長期に渡り、競輪界最高峰の場で活躍し続けている。2019年には立川競輪場で開催されたKEIRINグランプリ2019で優勝。新田祐大の番手から直線強襲し、右手を空に掲げた。2020年7月には弥彦競輪場で400勝を達成。絶対強者でありながら、親しみやすいコメントが多く、ユーモラスな表現でファンを楽しませている。SNSでの発信では語尾に「ガハハ!」の決まり文句を使用することが多く、ファンの間で愛されている。

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