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伝説ヤマコウ 炎のレース展望

【KEIRINグランプリ2020展望】脇本・平原ライン登場でレースはどうなる!?

2020/12/28 (月) 12:00 16

 12月22日、KEIRINグランプリ2020(以下GP)の共同記者会見が、グランドニッコー東京台場で行われました。この記者会見は、関東地区1人となった平原康多(87期・埼玉)が、近畿地区1人となった脇本雄太(94期・福井)の番手に行くかどうかが 最大の焦点でした。

 競輪ファンのSNSには「平原には脇本の番手を回ってGP初優勝を決めて欲しい」と言った声がほとんどでした。GIの優勝は7回あっても、過去10回走ったGPの優勝はまだありません。平原にとってもGP優勝は悲願と言っていいでしょう。

 今のGIは脇本を中心に回っています。脇本を攻略することがGI制覇に繋がるからです。ただ、脇本の後ろを回ることが勝利への一番の近道でもあります。今回、平原は「脇本の後ろを回る」という選択をしました。そこには色々な葛藤があったと思いますが、「優勝をする為にラインがある」と私は思うので、彼の英断を支持します。

悲願のGP制覇を狙う平原(左)は脇本(右)の番手につくことを選択した (公財)JKA提供

KEIRINグランプリ2020を制するのは…?

 平原が脇本の後ろを回ることでライン戦となりました。

⑧新田祐大-⑨佐藤慎太郎-⑥守澤太志
①郡司浩平-④和田健太郎
③松浦悠士-⑤清水裕友
②脇本雄太-⑦平原康多

 となります。

 誰が前受けするのか? まずはここを考えなくてはいけません。

 今のレース形態は、逃げ切れる選手以外は先行ラインの後ろを取って捲るのがベスト。先手を取るのは多分脇本なので、最終ホームにこの後ろを回っているのはどのラインか。新田、松浦、郡司のベストな位置は3番手です。

 脇本は打鐘付近で一気にかますのがスタイルなので、先行覚悟で踏まなければ飛びつけない。それができる選手を探します。

 前受けすると他のラインに叩かれて一旦7、8番手になる可能性は高いので誰もしたくない。消去法で探していくと前受けは新田がすると思います。新田は松浦や郡司と比較すると位置取りが甘いので、一か八か前受けからレースを進めると思います。

 脇本は落車明けで混戦は嫌なので、中段から攻めるより後ろ攻めから一気に主導権を狙うと思います。

 新田が前受け、脇本が後ろ攻めと想定すると、1番車の郡司はどこに陣取りたいでしょうか。脇本ラインの前を取ると、郡司が新田を叩いて脇本を迎え入れることができるため、ここを狙うと思います。松浦は3番車なので潔く新田ラインの後ろになるでしょう。

初手 ⑧⑨⑥③⑤①④②⑦

 残り2周、まず郡司が動いて脇本を出させる動きをするでしょう。あまり遅いと新田に突っ張られるかもしれないので、郡司は2周過ぎの1角で前に出ます。ここで脇本が郡司に乗って前に出れば、郡司が最終ホーム3番手となり優勝も視野に入るでしょう。

 ただ、脇本がまだ前に出るのが早いと思えば、一旦待ちます。その時、郡司を叩いて先行含みで戦うのは松浦でしょう。

 松浦と清水が並びを決めるまで、今回はかなり時間が掛かったようです。その中で、松浦が前を回るということは先行も考えた走りをすると思います。

 松浦が優勝した名古屋オールスター競輪は、原田研太朗(98期・徳島)が発進して、番手の松浦が脇本とのもがき合いを制して優勝しました。この勝ち方で優勝した松浦は、勝負処で躊躇しないと思います。

     ←②⑦
打鐘 ←③⑤①④⑧⑨⑥


 もがき合って主導権を取るのは脇本。

最終H ←②⑦ ①④⑧⑨⑥
     ③⑤


           ⑧⑨⑥
最終B ←②⑦ ⑤①④
           ③


 優勝は脇本の番手、平原が近いと思います。あえて脇本の番手を回って、退路を断った平原の執念の優勝!

⑦ー⑤=①⑧、⑦ー①ー④、⑦ー①=⑧を狙います。


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山口幸二

Yamaguchi Kouji

岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。

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