2024/09/28 (土) 12:00 35
2016年4月に起きた熊本地震。熊本競輪場は約8年の休場を余儀なくされ、やっと今年7月に再開を果たした。10月3〜6日には周年記念も本場に帰ってくる。久留米競輪場で代替開催されてきた記念が、熊本の地で…。
深谷知広(34歳・静岡=96期)も出場予定だ。「成田(和也)さんが優勝したダービー以来かな」。決勝に勝ち上がり、5着。まだ22歳の時。爆発的な加速、スピード、粘りに熊本の地は燃え盛った。
熊本が地震に襲われた後、深谷は「熊本応援プロジェクト」を企画して、選手仲間や、つながっている人たちと手を取り合い、現地でのイベントやチャリティーオークションなど、様々な支援活動を行った。「継続していかないと」と単発ではなく、常に心に被災地を留め置いて活動を続けていた。
2016年の12月には金子貴志(49歳・愛知=75期)と一緒に熊本競輪場に訪れ、自転車愛好家や子どもたちとバンク走行を楽しんだ。忘れられていない、と熊本が泣いた1日もあった。
浅井康太(40歳・三重=90期)や近藤龍徳(33歳・愛知=100期)たちと力を合わせたり、またある時は世界選手権でチャンピオンのサインをごっそり集め、イベントでファンにプレゼントしたりした。ありえないレベルの逸品を心で作り上げて、被災地への力に、そして復興再開への力にしていった。藤木裕(40歳・京都=89期)もトークショーで現地のファンの心を温めてくれた。
そういえばオークションの時に近藤が「出したら困る状況なんですが…、ハハハ」と言いながらもフレームを快く出品していたように記憶している。A級の時には熊本バンクで宮本龍一(38歳・福岡=92期)とやり合っていたような…。
近藤が、いや“夜王”が新生熊本バンクを走る姿も見ないと、だ。
10月3〜6日、万障繰り合わせの上、1日でもいいので熊本競輪場へ行っていただきたい。大きな声援を選手たちに送っていただきたい。“地元選手に”はもちろんだが、やはり深谷にも…の思いがある。
現地で直接、かなわない時は、今ではネット配信などもあるので、そのコメント欄でも応援メッセージを送ってほしい。
世の中は進んで、配信やSNSなどで非難の言葉を書くこともできる。でも、本当のあり方は違うんじゃないか。直接はできないことでも、どんなに遠くにいてでも、思いを伝えられて、誰かの力になれることが、本来のあり方ではないか。今回の熊本記念を機に、そういう流れが沸き起こってほしい。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。