2021/06/16 (水) 12:00 3
6月17〜20日の4日間、リニューアルをした岸和田競輪場で「高松宮記念杯競輪(GI)」が開催される。昨年は岸和田が改修中だったため和歌山で行われ、脇本雄太(32歳・福井=94期)の完全優勝。その圧倒的な走りは、無観客の中、ド級の迫力を世界に伝えた。ゴールした瞬間、3着だった松浦悠士(30歳・広島=98期)が「クソーっ! 」と叫んだシーンが、今もよみがえる。
東京五輪への準備を進めている脇本や新田祐大(35歳・福島=90期)の参加は今回もない。また直前に練習の落車で左ヒジを骨折した平原康多(39歳・埼玉=87期)もいない。古性優作(30歳・大阪=100期)の昨年大会は一次予選で逃げて3着。近畿ライン3人で決める好レースだった。
今回の主役は古性。どう、戦う?
一次予選をライン決着でクリアした古性だが、何かリズムはおかしかったか…。5月全プロ記念決勝、古性は逃げている。優勝は松浦で、古性の個人上がりタイムは11秒5。松浦は11秒0。
広島バンクはあまりタイムが出る方ではないので、7着だったが逃げて好タイム。でも、リズムは…と何か引っかかる。
古性は究極の競輪選手だと思う。
競輪は9人の極限のせめぎ合い。誰がどうしてこうして、ここにいて、あそこにいて…。
もちろんレース前にある程度のことは想定し、勝てる流れを作っていく。しかし、“うまくいくことがない時にどうするか”が底力だ。そして勝利だけではない何かも追い求める。
気持ちよくタイムを出してレースを支配するのは、古性のスタイルではない。
位置を取って、まくる。これは基本形だが、古性の良さかといわれればそうではない。がむしゃらに敵と戦い、無我夢中で仕掛けるのが神髄だ。“虎将”と呼ばれる由縁もそこにある。
全プロ記念の初日は吉田拓矢(26歳・茨城=107期)の番手を平原康多(29歳・埼玉=87期)から強奪し、南関勢が出切った後、直線抜け出して勝利を得た。平原の状態が良くなかったことを差し引いても、古性らしかった。流れの中で、攻めていた。
6月17日の初日、西の特選は古性、稲川翔(36歳・大阪=90期)の地元大阪コンビに、村上博幸(42歳・京都=86期)と東口善朋(41歳・和歌山=85期)。どう並ぶか、4人並ぶのか、または別の空いている選手に誰か、行くのか…。
当面の相手は松浦、清水裕友(26歳・山口=105期)になる。小倉竜二(45歳・徳島=77期)までいる。山田英明(38歳・佐賀=89期)と浅井康太(36歳・三重=90期)と顔が揃った。
優勝へのリズム、このレースで古性が見せる姿とは…。
最終バックで『2番手』だと思う。
これは内でも外でもの意味。勝つためにもラインを生かすためにも、前にいることが必要。位置を内から取ってもいいし、そうでなければ最終バックでは、まくりにいって前の方にいないといけない。その戦いぶりを期待したい。優勝への意志を示してほしい。(近畿4車並んで先行の場合は、稲川が後続をすべて止めて、主役となるか)
東の特選は平原の欠場で岩本俊介(37歳・千葉=94期)が繰り上がる。郡司浩平(30歳・神奈川=99期)、深谷知広(31歳・静岡=96期)、和田健太郎(40歳・千葉=87期)と4人。
守澤太志(35歳・秋田=96期)、佐藤慎太郎(44歳・福島=78期)、新山響平(27歳・青森=107期)の北3人で、関東は吉田拓矢(26歳・茨城=107期)と諸橋愛(43歳・新潟=79期)の2人だ。
南関は4車並ぶ意思を表明するのか。勝ち上がりということで、単純に神奈川と千葉で別れるのか。深谷は人の後ろを回るのか…。前検日、並びが判明するところから、ファンのみんなの心が沸く、そんなシリーズが始まる。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。