2024/07/24 (水) 12:00 33
7月20日、ついに熊本競輪が再開を果たし、福井記念(不死鳥杯)や全国の競輪も真っ盛り。競輪の夏、が燃えている。この夏をさらに焦がしていくのは古性優作(33歳・大阪=100期)だろう。松戸競輪「サマーナイトフェスティバル(GII)」の決勝はまた衝撃だった。
好プレーで取り上げたいレベルだったが、古性としては普通。3月取手「ウィナーズカップ(GII)」の決勝もだが、ラインの中でどれだけの仕事、貢献ができるか、を見ると古性のそれは圧倒的だ。
令和6年能登半島地震復興支援「開設74周年記念 オランダ王国友好杯(GIII)」が7月25〜28日にナイターで開催される。古性に嫉妬の眼差しを向けているのか…は松浦悠士(33歳・広島=98期)だ。“嫉妬”と書くのはグランプリ王者に失礼ではあるものの、自分も競輪の中で目立ちたい、という無邪気な衝動は松浦の持ち味。万全なら俺も…の気持ちは沸騰する。
松浦は昨年12月の別府記念決勝で落車している。グランプリを前にして、「大丈夫か!」と誰もが肝を冷やした。松浦はそれをわかっていて、立ち上がると手を上げて、『大丈夫』と伝えていた。なかなかできることではない。
自分の存在を、その立場を知っていて、おろそかにしない。行動に表せる力がグランプリ制覇につながったと思う。昨年来、大きなケガも続き、状態そのものがいいとは言えない時期がずっと続いている。もどかしいばかりでも、そろそろ…だ。別府は元々、得意にしているバンク。見たいのは、古性とともにラインの先頭で戦って…というレースだ。ファンがそれを見ていて、ヒロトがそれを見ている。
松戸サマーナイトフェスティバル準決のことだ。脇本雄太(35歳・福井=94期)に付けえて昨年の函館大会を制したこともあり、番組は脇本マークの様相だった。だが、付けなかった。清水裕友(29歳・山口=105期)の前をもう一度、走る。その決意を示すものだった。
グランプリを勝ちつつも、またイチから出直して…ということ。何という健気。松浦悠士は可愛い、と言っていい。
ヒロト!その時は、来るよね!
近年の競輪界をけん引する古性と松浦の存在は大きい。S班1年生の山口拳矢(28歳・岐阜=117期)もそこを目指している。同じS班だが、やはり彼らはひとつ上の存在だ。そこにたどり着ける素質は誰も疑わない。着実に、迫ってほしいと思う。
地元記念初制覇を狙う阿部将大(28歳・大分=117期)にしてもそう。優しい表情が特徴的だが“豊後の鬼”になれる男。いや、なるべき男。九州再建を果たすために、中心選手としての役割が求められる。
記念前のコラムでよく書いていることだが、地元記念で活躍できることは、ビッグレースでの活躍に直結する。ムードが変わる。九州一丸となり、今回は阿部を真ん中に据えて戦えるのか、大きな注目を集める。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。