2021/06/08 (火) 12:00 3
別府競輪場で開催されている「オランダ王国友好杯(GIII)」の決勝レース展望をお届け! 決勝は本日16時30分発走予定。
町のあちらこちらで立ち登る湯けむりを眺めていると、日本一の湯量を誇る別府温泉なら「足下を掘ってみたら温泉が湧き出たりして」とあらぬ妄想まで沸いてくる。
しばらく前になるが、別府の地を同期会で訪れたことがあった。したたか呑んで酔っぱらい、ふとした話しの中で『食い潰れたら、ここでホームレスになる』という声が。「何で?」と聞けば『地べたが温かいから風邪をひかね〜』と、たわ言を言っていたっけ(笑)。「なるほど! ここならできるかも」と変に納得していたのを覚えている。日本一の温泉を背に繰り広げられるレースは、温泉に負けず劣らず熱いぞ!! ここも旅打ちで行きたいよな〜
決勝予想に役立てるべく、いつものように準決勝を振り返る。10Rは自力型が揃い、細切れ戦は展開ひとつで流れが変わる。人気は新山響平を目標にする守澤太志だ。先行意欲は岩谷拓磨か? とみたが拍子抜けするぐらいあっさり新山が叩き逃げた。この展開なら「守澤で磐石、勝負あった」…じゃなかった。
守澤が新山を庇うこの隙を後方からコースを突く村上博幸が突き抜けた! おおお! ベテラン健在いぶし銀! 3連勝だ! 村上の走りは脚に余裕があり、それ以上にレースを読む力が備わっていて、その読みを実践することができる。村上にばかり目を向けてしまったが、中本匠栄のタテ脚も侮れない。決勝戦が面白くなるかも…!
11Rは南潤が前受けで北津留翼が押さえ先行、これに郡司浩平が4番手確保からまくってこちらも3連勝。逃げ粘った北津留も好調だ。12Rはダービー王・松浦悠士に挑む山口拳矢に大注目の一戦だった。チャレンジャーの山口が逃げ、松浦が中団に追い上げ外並走からまくる展開になった! 山口の掛かりがよく松浦が手こずる。山口マークの大槻が追い込むだけの内容だったが、(山口にとって)松浦にまくられなかったことは今後に繋がる大きな財産になるのでは。
それでは決勝戦の妄想予想にいこうか。初手の並びは枠なりで②北津留翼-④園田匠-⑥中本匠栄の九州勢が前受け、ここに①松浦悠士-⑦大槻寛徳、③郡司浩平-⑨守澤太志のSSコンビ、⑤山口拳矢-⑧村上博幸の中近コンビが続く感じ。(⇐②④⑥・①⑦・③⑨・⑤⑧)
準決勝で自信を深めたヤマケン(山口拳矢)の主導権が濃厚だ。勝負どころで郡司が切れば、その上を松浦が切る。松浦は準決勝でヤマケンの強さを実感しているだけに、この位置は譲らね〜だろ! (⇐⑤⑧・①⑦・③⑨・②④⑥)
デキの良さは郡司だし、松浦と競り合ってまで、こだわることはね〜べ!? そんなら松浦にまくってもらって、まくり追い込みで届く作戦に出るだろ! そしたら赤いパンツがこぞってゴール前勝負ってわけだ! ここまではセオリーの考え方、誰でも想定内だ(^^)v でもね、忘れてませんか?「競輪は番手」なんだよね!
上の『準決勝の振り返り』でも書いたように、村上が伸び脚抜群なんだよね! しかも別府は2019年のサマーナイトを優勝してるぐらい相性がいい。前のヤマケンが強ええし、村上の優勝も近くに見える! ここは村上から手広くいく作戦も全然アリだよね!
待てよ? 北津留が準決勝で逃げたよな? ヤマケンが色気を出して緩めたら叩ける…! ②④⑥・⑤⑧で最終ホームを通過しちゃう展開もあるだろうな。これならヤマケンがまくれる。ともすればいよいよ『ヤマケンの初優勝』が見られるぞ。そんときは3番手をまわる中本を絡めねえとダメだから『586ボックス』で勝負するか!
吉井秀仁
Yoshii Hidehito
千葉県茂原市出身。日本競輪学校第38期卒。選手時代はその逃げるスピードの速さから「2週半逃げ切る男」と称され人気を集める。1978年競輪祭新人王戦を制し、翌年も小倉競輪祭の頂点に立つ。1980年の日本選手権は完全優勝、1984年オールスター競輪でも覇者となり、選手としての一時代を築き上げた。現役引退後はTV解説者やレポーターとして活躍、競輪場での予想会イベントやYoutubeのライブ配信なども精力的におこなっている。ファンからは「競輪客のような解説者」と親しまれており、独特のひらめきによる車券戦術を数多く披露している。