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松浦悠士の“真っ向勝負!”

【松浦悠士・復活の狼煙】貴重な収穫あった久留米記念決勝 沈黙しているわけにはいかない後半戦

2024/06/30 (日) 18:00 22

 netkeirinをご覧のみなさん、こんにちは松浦悠士です。今回のコラムは苦しかった「高松宮記念杯」と手応えがあった「久留米記念」の振り返りを中心にお届けします。久留米が終わり、やっと次走以降がすごく楽しみになる感覚になりました。今年後半戦の巻き返しに向けて、しっかりと手応えを掴めました!

苦しい宮記念杯と復調の兆しを感じた久留米記念を振り返る(写真:チャリ・ロト提供)

ファン投票結果3位に感謝

 振り返りの前にまずはオールスター競輪のファン投票結果について。たくさんの投票をいただき本当にありがとうございました。正直、自分の中でずっと戦えてない感覚で過ごしているので、3位に選ばれた事がすごく嬉しかったです。

 今年は“ただのSS”じゃなく、チャンピオンとして見られるべき年なので、ここまでの状態に不甲斐ない気持ちもありますし、もっと良いレースがしたいというもどかしさを非常に感じています。そんな中で3位に選んでもらえたことはとても力になりますし、「まだまだ応援してもらえるんだな」と感じられて本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

 現状はしっかり練習量も確保できているし、何より体も動くようになり体力も戻ってきているところです。痛みがなくなってからは日頃の生活ストレスもなくなり、日に日に上積みを感じられています。これからさらに時間が経てばもっと充実した練習もできるようになりますし、後半戦は応援してくれるファンのみなさんの期待にしっかりと応えていきたいです。

 自分自身もまだまだ今の状態に満足せず、もっと完璧と言える状態になるように準備しようと思います。何はともあれ、苦しい時にも温かく応援していただきありがとうございます!ドリームレース精一杯走ります!

後半戦は応援の声に応えるような成績を残したい(撮影:北山宏一)

宮記念杯は体が思うように使えなかった

 それではレースを振り返っていきます。ちょうど1か月前、5月の最後に全プロ記念競輪がありました。その時はダービーよりかなり良くなっている感覚を得ましたが、最後の伸びとかはまだまだの状態。その後に迎えた宮記念杯ですが、入る時は全プロよりも状態が良いように思えましたし、初日は比較的良い感覚で走れたんですが…。終わってみれば「全然だった」と言わざるを得ないシリーズになりました。

 2走目以降は自分の中でも物足りなさを感じながら走っており、「戻ってきている体の状態ほど動けなかった」というのが正直なところです。「体がうまく使えないこと」がすごくストレスになっていたんですが、宮記念杯はそれらがモロに出てしまった感じです…。痛みが出るところ、固まっているところがあり過ぎて、意識を向けようとも認識できないところまで悪い感じが出てしまいました。

 また、レースに入ると治療ができないので体の状態はどんどん悪くなっていく一方なんですが、負荷が軽いところであればそこまで意識せずとも問題ないのですが、自力で踏んだり、番手戦だとしても自分で踏み上げていく時に全然自転車と上半身が連動せず。5日目は自力でしたが、外に車を持ち出した瞬間に「あれ?」と違和感を感じる始末で、良くないイメージの中で走ることになってしまいました。

ケガによる状態悪化が改善しても好調時と同じように体が動かせるかは別の話だった(撮影:北山宏一)

 それでもレースでは自分の思いついた事をしっかりとやってみてはいるのですが、やっぱり体がついてこなくて動かなかったです。そんな厳しいシリーズの中で迎えた最終日。メンタル的にも前の3走の焦りもあって、普段よりも動いてしまって…。それが久しぶりの失格(※)に繋がってしまった要因だと思います。(※編集部注…松浦選手の失格は2020年競輪祭準決勝以来)

 悔しいですが、体がうまく使えないことには勝負することすらできず、失格もしてしまいましたし、お客さんにも迷惑をかけてしまいました。このGIで復調した姿を見せたかったのですが、叶わず、とても残念でした。

復調気配を感じても立ちふざがる壁に焦りも感じていた(撮影:北山宏一)

潮目が変わった! 嘘みたいに上積みを感じた久留米記念

 そんな宮記念杯が終わってから状態が急激に良くなり、久留米記念に行く前は練習でも体が使えるようになり始めた感覚がありましたし、それまで意識できなかった肩甲骨周りの感覚がすごく戻ってきました。その部分を意識して乗れるようになったのは大きな前進でしたし、久留米記念はシリーズを通して手応えがありましたね。

 宮記念からは中4日でしたが、かなり上積みがあったし、自分でも本当に違う体になったかのように感じました。2日目と3日目は乗っていてもかなり気持ち良くて、「ストレスも感じずにレースができたなぁ」っていう感覚が残りました。次走以降もすごい楽しみだな!って思えたんですよね。ウィナーズカップの落車以降のシリーズでは、一番気持ち良く乗れました。一走一走を振り返れば課題などもありますが、まずはしっかりと戦える感覚になったのが良かったポイントです。

急激に上積みを感じた久留米記念の直前、体の動くレベルが向上した(撮影:北山宏一)

決勝はここ最近で一番の感触、敗因はコンディションではない

 二次予選は雄吾が早めから仕掛けてくれました。雄吾が踏んでいる距離を考えて「苦しくなって来るか?」とタイミングを見ていたのですが、自分の見込みとは違いました。僕自身の余力も十分にありましたが、雄吾の踏み直しがすごく良くて、「差し損じてしまった」というのが正直なところです。雄吾は多くの連係実績がある選手なので、苦しくなってきたポイントはしっかりと感じていたんですが…。自分から買ってくれたお客さんには申し訳ない2着だったと振り返っています。

 そして準決勝。犬伏君とうまく意思疎通ができなかった点に反省があります。九州も4車で並び、僕たちを倒そうという感じで臨んできていました。それでもレース前はしっかり相手を倒して一緒に良いレースをして勝ち上がろうという強い気持ちを持っていました。ですが、向こうもしっかりと隙を突いてくるようなレースをしてきました。僕らに都合の良いレースをさせない運び方が上手でしたね。相手の方が一枚上手だったと認めざるを得ない一戦だったように感じています。

数的優位の九州4車独占を阻み、3着で決勝への駒を進めた(写真:チャリ・ロト提供)

 決勝は想定通りの展開というか「こうなるよなぁ」と思って走っていました。ただ、自分が思った以上にダッシュの部分に余力がなかったので、追い上げようとは思っていたんですが、後方からになってしまいました。もう少しの余力があれば、最後はいい勝負に持ち込めたように思います。

 この決勝戦は体の状態云々ではなくて、ハンドルを替えたのが失敗だったと分析しています。踏み込んでいく時に感じるスピード自体はすごく良かったので、自力をしっかり出した時の感覚に戻りつつあるように感じながら走ることができました。最近の自分で動いたレースの中では一番の感触だったので、結果に繋げることはできませんでしたが、とても収穫のあった一戦になりました。

自力戦でも復調の兆しを認識できる収穫のある決勝になった(写真:チャリ・ロト提供)

終わったことは仕方ない! 絶対巻き返してみせる!

 今書いたように久留米ではハンドルを取り換えて試行錯誤をしながら戦っていました。初日と最終日は宮記念杯で使っていたものとは別のハンドル、2日目と3日目は宮記念杯の時と同じものを使用しました。2日目、3日目の方がかなり良かったので、このあたりの気づきも今後に活かしていくことができそうです。後から映像でフォームを見直してみましたが、宮記念杯と久留米では全然違うフォームでした。特に3日目が一番良くて、だいぶ良い方向に進めている実感がありましたね。

 ここ最近は週に3、4回治療をしてもらいながら、体をしっかりとケアしています。一番良くなってきたのが、肩甲骨とか肋骨周辺で、この部位が動かせるように・動くようになってきたのが大きいです。上半身と下半身がしっかりと連動するようになってきましたし、フォームの良し悪しに影響大の部位なんですよね。僕はもともと上半身を柔らかく乗っているのですが、悪い時は固くなっているし、上体を沈み込ませることできず、浮いたような形になっています。ここに気がつき、そして改善してきているので、やっと明るい兆しを確信することができています。

 今年ここまでは結果的に不甲斐ないことになっていますが、久留米での感触は落車をする前の3月までと比較しても結構良かったように思います。もう終わったことを振り返っても仕方ないしどうすることもできません。後半戦に向けて手応えを掴んだ今、しっかり巻き返せるように精一杯頑張るだけです!

終わったことから学びを得たら、その後は振り返らないのが松浦悠士のスタイル(撮影:北山宏一)

読者の方から寄せられた質問に答えます

 それでは今月も質問に答えていきたいと思います!

今回は3つの読者質問に真っ向勝負!(撮影:北山宏一)

ーーグランプリを制したことで栄光のチャンピオンユニフォームを1年間着るわけですが、「たまには赤を着たい」など思うことはありますか?

 たまには赤を着たい、はありますね(笑)。そのほかにもレース後に各選手がイスに座って呼吸を整えるブレスコントロールというのがあるんですが、今回は1番車が一番奥だったんですよね。レースが終わった直後はシューズだしあまり歩きたくないんですが、そこまで行くのに「あぁ遠いなぁ…」ってなっていました(苦笑)。

ーー1番車で走る中でレースにどのような影響や恩恵があるでしょうか?

 1番車はスタートが難しい部分もありますけど、やりたいレースがしっかりできるメリットがあると思います。自分でやる時も、前に任せる時もラインの選手がやりたいレース、やりたい走りがしやすくなるので、その点はすごく良いと思います。

 基本的に車番に応じて作戦を組むのですが、「こうだったらいいのにな」っていう作戦はなかなかできないんですよ。1番車ではない時って想定したレースパターンのひとつをできることが3割くらいなんですが、1番車だと作戦的にやりたいパターンが5割くらいできる感覚なので、結構な違いがあります。自分でやる時と前を任せている時とでもちろんパーセンテージは違うんですが、メリットが大きいのは間違いないです。

ーー今年前半戦は怪我を含めて体調に苦しんでいると思いますが、好相性のサマーナイトフェスティバルで復活の4連覇を願っています。松戸バンクの印象を教えてください。

 松戸はバンクが綺麗だし、すごく走りやすいイメージを持っています。33の中でもみんなの仕掛けが結構早い印象です。夏場は特に暑くなるので、その辺は気をつけないといけないと思っています。出るからには優勝を狙うのは当然ですが、4連覇に関しては去年ほどの意気込みはなく、3連覇の時点でそこそこ達成感はある感じなんです。でも相性がいいシリーズというのは間違いないですし、そこは楽しみにしています。まずは一戦一戦が大事です。決勝戦に乗った時に「4連覇」をしっかり意識する感じで臨みたいと思っています!

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松浦悠士

Matuura Yuji

広島県広島市出身。日本競輪学校第98期卒。2010年7月熊本競輪場でレースデビュー。2016年の日本選手権競輪でGⅠ初出場、2019年の全日本選抜競輪では初のGⅠ決勝進出を果たす。2019年の競輪祭でGⅠ初優勝を飾り、同年KEIRINグランプリにも出場。2020年のオールスター競輪では脇本雄太との死闘を制し、優勝。自身2つ目のGⅠタイトルを獲得した。ファンの間ではスイーツ好き男子と知られており、SNSでは美味しいスイーツの数々を紹介している。

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