2024/06/09 (日) 15:00 13
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は函館競輪場で開催されている「万博協賛ミリオンナイトカップ(GIII)」12R・決勝のレース展望です。
G3リレー開催として行われている、【大阪・関西万博協賛競輪】と【ミリオンナイトカップ】は、11日から【高松宮記念杯競輪】を控えていることもあって、共にSS班不在の大会となっています。
ただ【大阪・関西万博協賛競輪】と【ミリオンナイトカップ】ともに、決勝で3着以内に入ると、11月19日から小倉競輪場で開催される【競輪祭】の出場権が与えられます。
競走得点上位の選手や、G3の成績から参加選手が選考されていく【競輪祭】ですが、年々、競走得点ののハードルは高くなっています。
今大会は競走点数での【競輪祭】出場が厳しくなっていた選手も多かっただけに、優勝は勿論のこと、決勝に進出して3着以内に入るというも目標も、モチベーションとなっていたはずです。
函館競輪場での大会ということもあってか、決勝に進んできた9名のうち、6名が北日本の選手たちとなりました。
その並びですが、④大川選手-⑨坂本選手-①菊地選手-⑥竹村選手と、③酒井選手-⑦櫻井選手で分かれました。⑤菊池選手の後ろは⑧杉本選手となり、ここは関東ライン。大分の②阿部選手は単騎となっています。
4車と2車で分かれた北日本ですが、1番車に菊地選手が入っただけに、決勝では前受けが濃厚でしょう。ただ、同じ地区であるだけに、大川選手と酒井選手でもがき合うことはしないと思います。そうなれば、車番的に道中は後方からレースを進めていく菊池選手が、大川選手を抑えに行くはずです。
準決勝では橋本選手と野口選手が互いを意識しあったとは言えども、その2人を突っ張って、自らも3着に残した大川選手の走りは見事でした。しかも、この決勝では青森の先輩である坂本選手、地元のエースでもある菊地選手を後ろに付けているだけに、この決勝でも菊池選手を突っ張り切ると思います。
その展開となれば、大川選手の番手から捲っていける坂本選手に勝機が巡ってきます。3番手を回る菊地選手ですが、坂本選手が早めに動き出せば、初のG3優勝を地元で飾るのも夢では無くなってきます。
◎は坂本選手で〇は菊地選手となりますが、展開的に4車の北日本ラインの後ろを回っていそうな△阿部選手が怖い存在です。今大会の阿部選手は初日の特選からスピードに秀でた走りをしており、サラ脚で回ってこれるようだと、捲り一発も充分に考えられます。×の酒井選手も捲りを狙ってくるだけに、2着、3着候補には入れておきたいところです。
話は変わりますが、今大会は二次予選が行われた7日の8レースでは中川選手、10レースでは菊池選手がバースデー勝利を飾っています。
自分が現役だった頃となりますが、千葉所属で誕生日の選手がいた場合、他の千葉の選手たちが宿舎の方にお願いして、夕方の食事の時間に届くように、バースデーケーキを注文していました。
自分も何度かは誕生日が開催日と重なったことがありますが、慣例とは言えども、他の地区の選手が見ている前でケーキが届くのはどこか照れくさく、それでいながらありがたいなとも感じていました。
ただ、自分はバースデー勝利を経験したことはありません。それどころか同じ誕生日の選手が同日に勝利したというのは、かなりのレアケースだと思います。
決勝に勝ち上がってきた菊池選手は、バースデーの後の準決勝も、カマシて押し切ったように勢いもあります。展開的には不利とはなりますが、連勝の勢いもそのままに決勝も優勝して、競輪祭出場というバースデープレゼントを自ら手に入れるのかもしれません。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。