2024/06/04 (火) 12:00 4
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は前橋競輪場で開催されている「三山王冠争奪戦(GIII)」12R・決勝のレース展望です。
【三山王冠争奪戦】は、日本初の全天候型屋内バンクである前橋競輪場で開催されています。当時、現役選手だった自分にとって、雨や風の影響が無いバンクでレースができるのは非常に画期的であり、こけら落とし大会に呼んでもらった時にも、ワクワクしながらレースに臨んでいました。
選手にとっても雨や風の影響を受けずに、レースへ望めるのは有難いだけでなく、競輪場に来られるファンの方も、快適な環境で観戦ができるのはメリットだと思います。
今大会は初日、2日目と予想会に参加させてもらいましたが、場内では名物ともなっている鳥めし弁当の売り場に長い列もできていました。他の売店では地元群馬のグルメが並んでいるのも、前橋競輪場の特徴であるだけに、今日、お越しになる方にはレースだけでなく、グルメも楽しんでください。
二次予選までは堅いレースが続いていた今大会ですが、準決勝では人気を集めていた深谷選手、そして今大会からの復帰を果たした新田選手が敗退しています。
準決勝では仕掛けのタイミングが合わなかった新田選手ですが、休んでいる期間にしっかりとトレーニングを積んできたことは、一次予選や二次予選の走りにも表れていました。今後、レース勘を取り戻していけば、特別競輪でも怖い存在になっていきそうです。
その新田選手が敗れた準決勝の11レースで、立ち回りの上手さが目立っていたのが森田選手です。その森田選手を始めとして、決勝には関東が5車かつ、眞杉選手、森田選手と113期の同期が出場を決めました。
関東の5車の並びですが、①眞杉選手-⑦小林選手-⑧佐々木選手と、⑨森田選手-③平原選手の3番手に⑤佐藤選手が付けて別線を選択。近畿ラインは②窓場選手-⑥村田選手となり、④橋本選手は単騎戦となりました。
決勝まで3連勝で来ているのが小林選手ですが、その前を走る眞杉選手もSS班らしいというのか、落ち着いたレースを見せています。
1番車になったのも眞杉選手ですが、さすがに突っ張り先行は考えていないと思うだけに、スタートは窓場選手に取らせるのかもしれません。そうなれば近畿の2人の後ろは単騎の橋本選手となり、4番手からが眞杉選手、7番手からが森田選手のラインで道中は流れていきます。
後方から窓場選手を抑えにかかった森田選手は、そのまま先行体勢へと入っていきそうですが、眞杉選手のラインもその後ろに付けていることでしょう。
その時に後方に置かれた窓場選手が前を叩いていくようならば、ラインが短くなったのを見計らった眞杉選手が一気に発進。番手となった小林選手には願っても無い展開となります。
ただ、叩いていった窓場選手がそのまま先行していくようだと、4番手となった森田選手の捲りに乗っていける平原選手が怖い存在です。その場合には3番手を回っている佐藤選手とのワンツーもあるでしょう。
印としては◎が小林選手、〇が眞杉選手、△が平原選手で、×は混戦でこそ真価を発揮してきそうな窓場選手に打っておきます。
日本競輪学校の在籍成績は、小林選手が2位で、眞杉選手が19位。森田選手は53位となっています。ただ、選手となってからの実績では眞杉選手が格上となっただけでなく、記念競輪を先に優勝したのも森田選手でした。
小林選手としては同期かつ、同じ関東の3人が揃った地元記念の決勝で、気合も入っているはずです。ここは同期の眞杉選手の後ろから鮮やかに抜け出すレースで、完全優勝が期待できそうです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。