武雄競輪「大阪・関西万博協賛競輪(GIII)」、決勝メンバーが出そろいました。メンバー、ライン構成は以下の通りです。

①山田庸平(佐賀・94期)ー⑦山口敦也(佐賀・113期)
②浅井康太(三重・90期)ー④朝倉佳弘(東京・90期)
③菅田壱道(宮城・91期)
⑨町田太我(広島・117期)ー⑤小倉竜二(徳島・77期)
⑧菅原大也(神奈川・107期)ー⑥仁藤秀(静岡・117期)

　ウィナーズカップ後の協賛競輪なので、ウィナーズに出場していない選手が覇を競います。決勝3着まで入れば競輪祭に出場できる権利、プラス賞金もF1より高額なので、選手の鼻息も荒い大会でもあります。しかし、自分の戦法が確立していない選手もたくさんいるので、レースのイメージが湧きづらいですね。その中で、今節の町田太我の強さは群を抜いています。トップ戦線を張る脚力がありながら、レース運びが淡泊なので上位に定着できません。しかし、今大会は拮抗する先行選手がいないので、ノビノビと自信を持って走っているように感じます。先行一車だった初日の特選レースを逃げ切ったことも大きかったですね。

　競輪選手には、性格的に2種類のタイプがいると考えます。ラインの先頭でプレッシャーを抱えながらも結果を出すタイプと、ラインの圧力が嫌で距離を置くタイプ。町田は今、そのはざまで戦っています。性格的におおらかなので、「こうするべき」と言われるより、自由に走らせた方が力を発揮できると思います。その意味で、今節は先行選手のシリーズリーダーなので本来の魅力を出せていますね。

　レースは⑨町田の3番手を誰が取るかが焦点になりそうです。①山田は「すんなり逃がしては捲れないので考えて」、③浅井は「位置取りシビアに」とコメントしていますが、これは「町田の番手を狙う」ではなく、3番手を取りたいという、町田以外の自力選手へコメントしていると思います。⑤小倉はヨコが強いので、そこで粘ると自身が優勝するチャンスが遠のきます。①山田は「逃げると思わせて町田の3番手を取りたい」。③浅井は「位置取りシビアと思わせてすんなり3番手を取りたい」が本音で、山田は浅井に、浅井は山田に対しての心理戦と言ったところですね。

　突っ張り先行がある⑨町田が前受けしたら①山田が3番手から後ろの動きに合わせて踏むので理想の位置ですね。

S．⑨⑤ ①⑦ ②④ ③ ⑧⑥

⑨町田突張り先行の場合

　　　　←②④ ③
B．⑨⑤ ①⑦ 　　⑧⑥

9ー5＝1
9＝1ー72

　⑨町田が突っ張らなければ①山田の判断は難しくなるでしょう。⑨町田はインで粘って外のラインを動かすことをしないので、⑧菅原に続く②浅井、③菅田を受け入れます。その時①山田はいったん8番手に置かれることになるので、先行もありそうな⑧菅原を叩きに行けるかどうか。それが嫌なら⑧菅原の上昇に合わせて⑨町田を叩くことですが、突っ張り先行もある町田を叩くかどうかは難しい判断ですね。結局、⑧菅原の先行意欲が無ければ⑨町田が本線になるし、⑧菅原が先行策ならば②浅井が3番手を取りそうです。

⑨町田がカマシ先行の場合

　　　　←⑨⑤
Ｈ．⑧⑥ ②④ ③ ①⑦

　この展開になれば②浅井が3番手で有利に運べます。

2ー4＝31
2ー1ー37

　①山田や②浅井は、メンバーが手薄なこの大会は実績を残したいところです。この2人の心理戦が最大の焦点だと思います。(スピードチャンネル専属解説者)