アプリ限定 2024/03/16 (土) 12:00 44
2023年の記念(GIII)の売り上げは、50億円を超えるあたりをウロウロして、年間通して平調、大きく変わらないという感じだった。開催日数の影響や、ミッドナイト、ナイター、モーニングの展開・成長もあって全体の売り上げが伸びている中、グレードレースはどうなんだろう…というのが近年、注目されているところだった。
それが1月末のいわき平記念(いわき金杯争奪戦)で66億円を超えると、2月静岡記念(たちあおい賞争奪戦)は70億円を超えた。静岡は入場者数の多さ、盛り上がりに定評があるので『静岡の力』と目された。だが、久しぶりに見る数字に、驚きがあったのは事実だ。高松記念(玉藻杯争覇戦)61億円、奈良記念(春日賞争覇戦)65億円…。3月に入り玉野記念(瀬戸の王子杯争奪戦)65億円、松山記念(金亀杯争覇戦)64億円と安定して60億円を超えている。
岐阜の「読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)」は103億円とこちらも快調。
何が要因なのか…。話題に上がっているので、考えてみたい。
理由を見つけに行くと、いわき平記念の初日は25日で多くの人たちの給料日だった、と、考えるに行きつく。静岡の場合は、ポイントバックのインパクトデーとして定着している「1日」という理由が見つかる。初日に勢いを生んで、そのままの流れで4日間、シリーズとしてつながった。
全日本選抜(9〜12日)は祝日を含めていわゆる休みの日が3日あった。とはいえ、これはいつものこと。偶数日の15日という、以前は年金支給日という競輪界のインパクトデーの後、高松記念。しかし、大きな衝撃はなく、順調な数字。
奈良初日の22日はその後が3連休で給料日に当たっていた。玉野は「1日」を含む開催で、松山は初日特選が1個レースで4億円を超える盛況なスタートからの進軍となった。超豪華な9人の戦いの初日特選への注目は明らかだった。「1日」はチャンスタイムとして、給料日、というワードが意味するものは…。
ファンの高齢化が指摘され続けてきた競輪界であり、課題は30代40代の働く世代を取り込むことだった。昼間の開催が通常であり、平日に行われても売れていた時代があった。だがやはり、お金を循環させていく流れを考えれば、収入のある世代は平日の夜か、土日祝日の方が競輪に触れやすい。
ミッドナイトが突破口を開き、川崎から始まったナイター記念での世代掘削の動きは、徐々にだがつながっていった。と考えるしか、25日給料日のタイミングを見るしか、現状は思い浮かばない。他の理由なども探り出せれば、と今後も考察しつつ、情勢判断に詳しい方がおられましたら、ぜひご教授お願いいたします。
もちろん、言うまでもないのは選手たちの日々の奮闘。そこに引き込まれる人たちが、壮年世代に広がっている。競輪界全体の好循環が、現在の売り上げにつながっている、と前向きにとらえたい。かつてゲルマン民族が大移動したように、競輪に引き込まれる人たち、潜在的ケイリン民族が移動してきたととらえたい。
そして、ここにとどまってもらえるように…。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。