2024/03/20 (水) 12:00 22
取手競輪の令和6年能登半島地震復興支援競輪「第8回ウィナーズカップ(GII)」が3月21〜24日の日程で開催される。昨年7〜12月の選考期間の成績で『1着が多い、またFⅠの優勝がある』といった独特の条件が必要なため、少し顔ぶれの違うビッグレースになる。
特色の強いシリーズなわけだが、2020年松浦悠士(33歳・広島=98期)、2021、22年を清水裕友(29歳・山口=105期)、また2023年を松浦が優勝しているという中国地区爆裂シリーズだ。昨年決勝の松浦の動きのすごさも記憶に新しい。
松浦が状態を戻し、今年快調の清水とどんな立ち回りを見せるのか。初日特選は別のレース予定なので、ともに勝ち上がって、まずは2日目の「毘沙門天賞」でタッグとなるか。松浦が「自信を持って自力と言える状態ではない」と清水が前を回るのが今年の流れだが、今回はどうなるのか。
初日の特選3個レースには、S班の他、いつもの上位選手ではない“1着が多い”選手がシードされている。『格』としてはS班の選手たちは負けられない立場になるので、プレッシャーとの戦いにもなる。とはいえ2段駆けの相手もいるかもしれないし、楽ではない。
逆に、こうした少ないチャンスからはい上がれるか、をかけた戦う立場の選手からすれば勝負の時。結果を残せなくとも、爪痕を残すことがこれからの選手人生につながる。中でも注目したいのは藤井侑吾(29歳・愛知=115期)で、近況の爆裂な強さは本物。S班相手に先行でどれだけやれるか。初日にまず注目だ。
第1回大会の優勝者・郡司浩平(34歳・神奈川=99期)や平原康多(41歳・埼玉=87期)は昨年S班だったことが、選考基準を満たすのに困難な方に働いた。「サマーナイトフェスティバル(GII)」はFⅠを勝っていなくてもGI・GII・GIII優勝で権利を得られるが、「共同通信社杯競輪(GII)」はFⅠを勝たないと権利を得られないというもの。ちょっと、う〜ん、となるものだがGIIはそれぞれ特色が強い、と書いておく。
今一番の注目選手は北井佑季(34歳・神奈川=119期)に違いない。昨年来の躍進と、2月岐阜競輪「全日本選抜競輪(GI)」の戦いぶりは、ファンの視線を一身に集めている。その陰になっているのが、新山響平(30歳・青森=107期)ーー。
特に直前の松山記念(金亀杯争覇戦)では初日に完封され、準決ではまさかの「仕掛けられもしない」という悪夢に襲われた。取材でも気の落としようは不安なほどだったが、北井と今回どう戦うか、にかけるものもあるだろう。
逆襲の新山なるか…。シリーズ全体を見ながら、地区対地区、ライン対ライン、それに個人対個人の意地のぶつかり合いもある。
単発レースで競われてきたガールズケイリンコレクションは今回で最後となる。選手数が増えてきて、シリーズ化、そしてGI創設にまでつながったので、その役目を終えるという意味合いになる。
10年を越えて支えてきた石井寛子(38歳・東京=104期)や山原さくら(31歳・高知=104期)が締めるのか。「歴史に名を刻みたい」という意欲は誰よりも強い児玉碧衣(28歳・福岡=108期)が勝ち切るのか。児玉は体調を崩し、別府でなんとか復帰した後。まだ万全といかなくとも、執念は最強の武器だ。
Gコレ?ガルコレ?ガケコレ?ガーコレ? 略し方に苦慮した「ガールズケイリンコレクション」だが、数々の激闘が歴史を築いてきた。最後の一戦に、華やかな勝負を期待したい。
X(旧 Twitter)でも競輪のこぼれ話をツイート中
▼前田睦生記者のXはこちら
前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。