2024/03/10 (日) 12:00 33
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
松山競輪開設74周年記念・金亀杯争奪戦、決勝メンバーが決まりました。車番、ライン構成は以下の通りです。
①松本貴治(愛媛・111期)ー⑥橋本強(愛媛・89期)
②古性優作(大阪・100期)ー④和田圭(宮城・92期)
③深谷知広(静岡・96期)ー⑨和田健太郎(千葉・87期)
⑦北井佑季(神奈川・119期)ー⑤和田真久留(神奈川・99期)ー⑧小原太樹(神奈川・95期)
今節は北井の強さに度肝を抜かれて始まりました。嘉永泰斗(熊本・113期)を突っ張り、新山響平(青森・107期)のカマシを堪えて、古性のまくりを許さなかった。全盛期の滝澤正光(競輪選手養成所所長)さんを彷彿とさせる走りでした。
2次予選は、櫻井祐太郎(宮城・117期)を突っ張りますが末脚欠いて3着。バンクコンディションの厳しさに負けたのでしょう。その前のレースでも、新山は打鐘カマシで残れませんでした。犬伏湧也は内に詰まって5着に敗れるなど、波乱ムードが漂う中、深谷知広はさすがでした。先行意欲が高い山口多聞(埼玉・121期)を、打鐘カマシで逃げ切り勝ち。「深谷は違うな…」と思わせるレースでした。1着インタビューに応える姿を見て、初めてカッコいいと思いました(笑)。準決勝でも、脇本雄太相手に前受けからカマして1着。デキの良さに加え躊躇(ちゅうちょ)しない走りが好結果に繋がっています。
決勝は南関が5人決勝に乗って、深谷と北井が分かれて走ります。奈良記念決勝、近畿が7人乗ってライン3つに分かれたレースが、影響していると思います。あれは名勝負と言っていいレースでした。古性は、地元をお膳立てするために脇本と先行争いしたのではなく、己との勝負を貫いて踏み合いになりました。その後の玉野記念初日特選、取鳥雄吾(岡山・107期)と清水裕友(山口・105期)、松浦悠士(広島・98期)が分かれて走ります。選手の中にも響いたことがあったのでしょう。
その流れで、松山記念決勝があります。③深谷は⑦北井を先行選手として受け止めると考えました。前受けからのカマシ先行です。
S. ③⑨ ①⑥ ②④ ⑦⑤⑧
⑦北井が動きます。そこの4番手は①松本や②古性も欲しいはず。①松本は相手が誰であれ気後れしない選手なので、②古性が付いてきても入れることは無いと思います。むしろ②古性の方が③深谷の動きを見ると思います。一度引いた③深谷がカマシ勝負に出ます。
←③ ⑨
H. ⑦⑤⑧ ①⑥ ②④
北井の先行をカマす③深谷なので⑨和田健の追走は厳しいかもしれません。北井の番手は①松本や②古性に奪われることもあると思います。
B. ③ ←②④
⑦⑤⑧ ⑨
①⑥
⑦北井は、岐阜全日本選抜決勝戦で新山響平の番手に入りながらも、バックで仕掛けて優勝のチャンスを逃しました。その反省を生かすなら、番手に入ったとき優勝を狙うことですね。
・狙い目
7ー5ー8162
最後まで③深谷と⑦北井がやり合うのなら…
5ー81ー8162
2人の先行争いの行方を見て仕掛ける①松本と②古性。
1=2ー645
1ー6ー245
サプライズラインより、力と力の激突の方がとても興味深いですね。松山記念決勝が楽しみです。(スピードチャンネル、日刊スポーツ専属解説者)
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。