2024/02/12 (月) 12:00 3
今年、最初のGIとなった【全日本選抜競輪】ですが、決勝進出をかけて行われた準決勝は、どのレースも見ごたえ充分でした。
その中でも12レースを勝利した古性選手の走りには驚かされました。一度、南関東ラインの3人が通過しているにもかかわらず、郡司選手の不意を突くと、インから松井選手の番手を奪い取ります。あの走りはさすがだなとうならされました。
10レースの北井選手も今大会の好調さを証明するかのような走りでした。脇本選手の捲りを突っ張り切れなかったものの、その番手に入るとゴール前では脇本選手を抜き去り、GIでは初めての決勝進出を果たします。
競輪界を代表する自力型が揃った11レースも、後方8番手からインをついてきた浅井選手が勝利して、地元選手としての意地を見せてくれました。
決勝メンバーでサプライズがあったのは、①新山選手-④浅井選手の混成ラインで、これは新山選手の方からラインを作りたいと浅井選手に頼みに行ったようです。
他には②古性選手-⑦南選手の近畿ライン、③清水選手-⑧山田選手の西日本ライン。⑥北井選手-⑨郡司選手-⑤松谷選手の南関東ラインとなります。
スタートを取るのは車番的にも新山選手となりそうです。後方となった北井選手は新山選手を抑えてから、一気に先行体勢に入っていきますが、その展開となれば番手を回っている郡司選手が優勝に近づきます。
ただ、新山選手が北井選手を突っ張りにかかると、その後ろにいる古性選手や清水選手にとっては絶好の捲り頃となります。
清水選手は今大会で1着には来ていませんが、準決勝では突っ張られてからのリカバリーも見事でした。今年に入ってからの調子の良さは、【全日本選抜競輪】でも維持できているようです。
新山選手の番手となった浅井選手ですが、先行選手が踏み出していった時に、車間を空けてしまうことが見受けられます。今回も前を任せているのが他地区の新山選手であり、タイミングが合わない可能性もあります。
その時、脇本選手の番手に入った準決勝と同じように、先行した新山選手の後ろを回っていそうなのが北井選手です。この展開となった時には、GIでは初の決勝からの初優勝も充分に考えられます。
本命は郡司選手、対抗は北井選手としますが、どんな展開となっても大会3連覇を狙う古性選手はゴール争いに加わってくるでしょう。また、清水選手もここを勝って早々とグランプリ出場を決めてしまうだけの状態にはあります。
展開的には不利ですが、地元地区の浅井選手も13年ぶりとなる岐阜でのGI開催であり、地元ファンからの声援も力となっているはずです。その時の【オールスター競輪】では優勝もしているだけに、ファンの期待に応えるような走りを見せてもらいたいです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。