2024/01/21 (日) 12:00 35
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
川崎競輪開設74周年記念桜花賞、決勝メンバーが決まりました。車番、ライン構成は以下の通りです。
⑤清水裕友(山口・105期)ー①松浦悠士(広島・98期)ー⑧恩田淳平(群馬・100期)
⑦深谷知広(静岡・96期)ー②郡司浩平(神奈川・99期)ー⑨松谷秀幸(神奈川・96期)ー⑥堀内俊介(神奈川・107期)ー④福田知也(神奈川・88期)
③稲川翔(大阪・90期)
南関5車が並びます。今節は、S級1班で地元記念を迎える郡司浩平(神奈川・99期)や、昨年グランプリを優勝した松浦悠士(広島・98期)が出走するなど、見どころの多い開催となりました。しかし、なぜ若手が育たないかを考えさせられる番組も多かったですね。
例えば初日5Rの原田亮太(千葉・115期)ー堀内俊介(神奈川・107期)のライン。堀内は普段、先行捲りの自力で走っていますから、無理に目標を付ける必要はなかったと思います。「自力で勝ち上がってください。その代わり戦いやすいメンバーにしますよ」でいいと思います。あの番組だと、原田は地元勢を連れて後手を踏むことは許されない上に、地元で必勝を期す堀内は、番手捲りをしなければ勝てない。番手が追込み選手なら、捲りを止めてくれると期待できますが、自力選手は番手から出ます。それは原田にとって勝てる見込みがない酷な番組だったと言えるでしょう。
準決勝も、松浦が3番手を回る番組がありました。チャンピオンユニホームを着た松浦が3番手を回る番組も疑問ですし、これから上位戦線を狙う東矢圭吾(熊本・121期)も、北井佑季(神奈川・119期)との力勝負になりません。そして、地元の北井も勝ち上がりづらい誰も得をしない番組になっています。車券を買う側も、松浦番手の方が予想しやすかったと思います。勝ち上がった者同士が決勝でラインを組む単純な構図でいいのではないでしょうか。安易な番組は一見買いやすいように見えますが、「番手ごっこ」では面白いレースは生まれません。
レースは、⑤清水が南関ラインを分断するのかどうかですね。私は⑤清水は「分断しない」と考えました。昨年のGI決勝(西武園オールスター競輪)や先日の大宮記念決勝、②清水は自力で優勝を狙いました。GI決勝でしないのに、GIII決勝でやるとは思えません。しかし、3番手の⑨松谷のところなら流れであるかもしれませんね。それは③稲川も同じだと思います。
S.⑤①⑧ ③ ⑦②⑨⑥④
打鐘〜H.⑦②⑨⑥④ ⑤①⑧
←③
←⑤①⑧
B.⑦②⑨ ⑥④
③
・狙い目
2ー795ー7931
大宮記念決勝で関東勢を捲って優勝した⑤清水ですが、今回の南関勢は大宮よりずっと強敵です。ここで分断するレースをしたら、攻める⑤清水を印象付けることができますが、果たしてどう攻めるでしょう。(スピードチャンネル専属解説者)
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。