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60年捧げた競輪への情熱「私は負けません」コンドル武田一康の競輪予想と我が人生

2023/11/21 (火) 19:00 24

そこに競輪がある限りーーー。雨の日も風の日も嵐の日も競輪を予想し続ける武田一康。75歳。モーニングからミッドナイトまで多忙きわめる毎日を送るが、なぜ彼はそこまでして競輪予想に情熱を注ぐのだろうか。今回、コンドル出版社・武田氏にその競輪愛と情熱についての話を伺った。(取材・構成:netkeirin編集部)

競輪予想のはじまり「第一回熊本記念からずっと熊本」

「生まれは長崎県の雲仙小浜温泉で、親父が“コンドル”という名前で新聞を出していて、1950年に熊本競輪が出来てからずっと熊本に住んでいます。私も22歳で結婚し、子どもも出来たから稼がないといけなかった。当時は場外発売がなかったから、熊本、久留米、佐世保。専務(弟の武田圭二氏)と二人で競輪場で新聞を売りに行ってました。よーく売ってましたよ、カバンの紐が切れるんじゃないかってくらい。今と違って情報がないものだから、黒山の人だかりができて。私の話と予想にお客さんが群がってくるんです」と目を輝かせながら当時を振り返った武田。ここから彼は“競輪人生”を突き進む。

競輪予想の秘訣「調子に重きを置く」

 武田の競輪予想の秘訣、それは洞察力である。

「選手の調子、力、その次に並びが来ますね。自分の予想は調子に重きを置いてます。着外であろうと、良い脚をみせてくれていたら狙いますね。最後に展開です」

競輪予想の信念「トリガミだけは嫌」

 武田は続けた。

「(買い)目を出す場合、トリガミはだけは嫌なんですよね。堅いレースと思ったら一点で行きます。当たったり、当たらんかったり、ですがこれがギャンブルですから。人間が走るわけで、調子もあるでしょうし、相手も考えていますから。でもそれを読むのが私たちの仕事。お客さんに納得してもらう予想、自分でも納得のいく予想。私はそれしか提供はしません」。信念とプライドが武田の予想には込められている。

情熱の源「これが私の仕事、責任がある」

 彼の競輪予想へのあくなき情熱の源とは?

「競輪が好きなこともあるけれども、競輪予想が私の仕事ですから。これで生活していますし、家族も養うし、従業員もいますから頑張るしかないです。コンドルの予想を父親から引き受けて60年弱、熊本競輪で新聞を出すうえにおいて、この仕事を一日も休んだことがなかった」と続けた。

 一日ぐらい休みたかったことはないのだろうか?

「一回もないですね。一回も。40度の熱を出しても休まなかったです。やっぱり“責任”があるからですね。私はだいたい10分で予想して文章を書きます。みんな待っててくれて、従業員みんなが私の文章を打ってくれるんです。そういうふうにせんと前の日に新聞が出ないから」と、奥で働く従業員に感謝の視線を送っていた。

ファンへのメッセージ「私は負けません」

 最後にいつも予想を参考にしてくれる競輪ファンに意気込みを語ってくれた。

「私はこの仕事を60年弱やってます。当たる、当たらないは多少の運・不運もありますが、ただやっぱり最終的には腕がある上手な者が勝ちますから。長い目で見てもらったら私は負けないと思います。

 お客さんたちは他の仕事がありますが、私はずっと競輪を見ていますから。私の予想で儲けてもらったら一番良い。この仕事に関しては、誰よりも頑張ったっていう自負はあります。誰よりも予想が上手とは言いませんよ(笑)。誰よりも頑張っています。それだけは間違いないです」

熊本競輪場への思い「10年ぐらい長生きをするんじゃないですか」

 武田氏はさらに、2024年度に再開予定の熊本競輪場についても思いを馳せた。

「私も楽しみにしています。これまでは500mの滑走路と呼ばれていて、4コーナーから直線までにいろんなドラマがあった。予想が難しかったですが、面白かった。で、新しくなって今度は400mバンクになりますが、カントがあって直線が長い。地脚のある選手よりスピードのある強い選手には良いと思いますよ。マクり、追い込みが決まりやすいと思います。

 そしてバックスタンド、3〜4コーナーにあった大スタンドもなくなりましたから、風向きも変わるでしょう。やっぱり競輪は生で見るのが一番です。生で見ながらネットで買っても良いです。なによりも熊本のお客さんは“熱い”ですから、その“熱さ”を見に来てもらいたいですね。

 中川誠一郎じゃあもう厳しいかもしれないですが、熊本には嘉永泰斗がいますから。嘉永を軸にしたら、まだまだ盛り上がってくるんじゃないですか? また忙しくなるけど、これで私も10年ぐらい長生きをするんじゃないですか(笑)」

競輪の魅力「答えがでないこと」

 ズバリ、武田氏にとって競輪の魅力とは?

「答えが出ないこと。結局どれだけ予想をしても難しい。どれだけ予想をしても勉強じゃないですか。反省の連続じゃないですか。あれだけ弱かったのにどうしてこんなに強くなったんだろうか、その逆もまたしかりで、そういう発見ばっかりなんですよ。死ぬまでこうでしょうね。いつまで予想ができるか知らんけど(笑)」

武田氏の60年以上にわたる競輪予想の経験と情熱は、競輪ファンにとって示唆に富むもの。だが、そんな武田氏ですら「答えが出ない」という。それが競輪が面白く、奥深いものだということなのだろう。


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