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ほろ酔い放談 -競輪の因数分解-

【競輪偏差値70の男】「もうラストだから獲らせて」復帰後初V引っ提げ、昨年欠場の地元記念へ ♯29

2023/10/05 (木) 15:00 57

鬼の居ぬ間に洗濯、と言わんばかりに裏開催の9月宇都宮でケガから復帰後、競輪初Vを飾った中川誠一郎。狂い咲きか、はたまた完全復活への序章か!? 今月は大一番を前にやや節制している元、肥後の総大将が競輪の魅力を紐解きます。【構成=塩次洋太(九州スポーツ)】

ーー9月宇都宮FIでは久しぶりの優勝を飾りました。昨年3月の松山FI以来です。

 (伊藤)旭が前で駆けてくれた追い上げ外併走のやつですね。一瞬、抜いて戻って脚を使ったやつ。宇都宮は出鼻からくじかれて、前検日の時点で気持ちが折れていたんです。

ーー何かトラブルにでも見舞われたのですか。

 前検前日に乗った飛行機が雷でなかなか飛ばなくて1時間以上、機内待機をしていたんです。そのあとの予定もあったしボロボロでした。

ーー初日特選はその通りボロボロでしたが、あとは連勝でした。

 アベマ(阿部将大)が前を取って、突っ張って先行してくれて決勝に乗せてもらいました。振り返れば最初から最後まで介護してもらいっぱなしでしたね。

ーー準決では植原(琢也)選手と戦いました。中川選手はファンでしたよね。

 そうです。植原君がSNSをしていたときの投稿が面白くて、世界観が好きだったんです。A級に落ちたりしていたからなかなか会えなかったけど、久しぶりに話をしました。

ーー久しぶりの優勝にどのような気持ちを持ちましたか。

 ああ、これでオレの厄は晴れたなと。本当の厄年のときは何もなくて、よし! 乗り超えたって思っていたけど、43歳で一気に来ましたから。

敬愛する玉袋筋太郎さんと

ーー自分へのご褒美は何か。

 何だろう…。あ、1人で打ち上げをしてきました。スナック玉ちゃんへふらっと。

ーー赤坂にある玉袋筋太郎さんのお店ですね。

 連絡をしたら玉さんが出てきてくださって、サプライズで優勝祝いのシャンパンを入れてもらい祝っていただきました。深夜1時ぐらいまでかなり飲み倒しました。

昨年は痛恨の欠場となった

ーー今月6日から熊本競輪開設73周年記念「火の国杯争奪戦(GIII)」in久留米が開催されます。昨年は落車負傷により欠場しました。走りたくて仕方が無かったのではないですか。

 これまでは、ここだけは譲れないって気持ちが入る大会だったけど、最近は(嘉永)泰斗を中心にみんなしっかりと力を付けてきたし、もう以前のようなオレのワンマンチームじゃない。だから、ゆとりを持って臨めます。

ーーここ数年、あっという間に世代交代しました。

 そうですね。もはや、オレが絶対に優勝しなきゃいけないっていうムードが無い(笑)。それは去年、(嘉永)泰斗がブレイクしたからでしょう。

ーー立場的に達観していますね。

 もう、オレは会長職の座です。聞こえがいいからCEOとかでもいいですが。

ーーまた、意味の分からないことを…。

 2、3年前まではバリバリに仕切って前線で働いていたでしょ。だけど今はもう退いたから「会長」です。今は泰斗社長がバリバリ働いていますから。

ーー完全には退かず、いい位置には留まるのですね。

 もう貯蓄と役員報酬かなんかで食っているようなものですから。これからはオレを中川会長と呼んでください。

ーー「会長」は呼びにくいです。

 近くで会長って呼ばれているの、名輪界の(井上)茂徳さんか、熊本競輪情報協会のコンドルの武田社長ぐらいでしょう(笑)。

ーーたしかに嘉永選手の成長カーブは右肩上がりです。

 泰斗の一昨年の地元記念優勝は(北津留)翼のおかげだったし、あの頃はまだ評価は割引だったけど、去年のブレイクでフロックじゃないって空気になった。未来の熊本の為にも非常に良かったと思います。

ーーカッコよく語っていますが、瓜生(崇智)選手から聞いた話では、中川選手は「もうラストだから記念を獲らせて」とか後輩たちに懇願して回っていたそうですね。

 この「ラストだから」って言うのは競輪界の常套句みたいなものです。昔から「辞める(引退)、辞める詐欺」とか「もう最後のS級だから」とか「最後のGIだから」とか似たような詐欺がたくさんあるんです(笑)。だから、その一環。

ーーそうして泣きを入れて、いい位置を回してもらったり、先行してもらったりするのですね。

 昔からそういう一流の詐欺師たちが各地にいますが、その手の人らって、だいたい辞めないんですよ。ずっといます(笑)。具体名を挙げると、ハレ-ションがあるのでなかなか言えないけど。

ーー中川選手も仲間入りですか。

 そうです。若手たちが騙されて先行してくれるんです、きっと(笑)。だから、たぶん若手たちの間ではこの顔見たら気を付けろみたいな手配書が回っていると思います。でも、まだみんな一目置いてくれるんで。こっちは一発屋みたく過去の栄光で食えている。

オラオラタイプは時として鬼になる必要がある(資料写真)

ーーいやいや、タイトル3本の一流選手ですよ。

 まあ、ワタシはダービーだけなら一発屋だけど三発獲ったからなあ。「一流」って言葉はあまり使いたくないから「三発屋」ですね。

ーー何で「一流」って言葉が嫌なのですか。

 オレは「タイトルホルダーが付くから先行いかんかい」みたいなキャラじゃないでしょ。そんなオラオラキャラ、今はもうめったにいませんけど。

ーー勝手に相手が一流と思ってくれる分にはいいんですね。

 そうです。それは別に否定しないようにしていますけど。一流だけど、三発屋とか呼ばれたい。まだ神山(雄一郎)さんに比べればぺーぺーなんで。

ーー神山選手のGIII99回優勝なんかはとてつもない大記録です。中川選手はGIIIを何本取っているのでしょう。

 それがよくわからなくて。なんちゃってGIIIもあったし5から10本の間ぐらい。その間にGIを3本獲ったことは、辛うじて覚えているんですけど。

ーー本当に嫌らしいキャラクター全開ですよね。

 ああだこうだ話しましたが、結局は「一流」って呼ばれたいんですよ。

2023地元大会に挑む熊本イレブン

ーー熊本記念の話に戻しますと、地元メンバーは11人。相手も豪華ですし見どころも多そうです。

 見どころ? いやいやS班が5人もいるんですよ。二次予選なんか、7つのうち5つにS班がいるって、そんなにいたら勝ち上がりがものすごくきつくなる。まあ、やるだけやりますけど。

ーー地元大会、ひとつでも上のレースを走れるよう願っています。

 一流詐欺師たちを見習って、しっかりといい位置を回っておいしい思いをしたいと思います。

ーー宇都宮の優勝が記憶に新しいですが、9月は向日町記念も走っています。こちらは何と、初日予選9着で途中欠場しています。

 成績が優秀すぎて早期卒業してきました。欠場をして京都を出たあと、スマホにジカで苦情メールが入っていました。

ーーメールを知っているという事は知人とかでしょうか。

 西川(親幸)さんですよ。レース内容について、もはや、もう暴言のような過激なやつ(笑)。苦情がジカにくるシステムはなかなか強烈ですよ。だから、のちほどお詫びの電話を入れて、500勝祝賀会に来て頂けるようお願いしました。

ーー500勝祝賀会が月末に行われます。コラムでファンの皆さんを招待したところ、かなりの応募がありました。

 ありがたいですね。遠くから来て下さる人もけっこういるみたいで。楽しい会にしたいので、来て頂いた方にはぜひともご満足いただきたいです。

大先輩とまさかの邂逅(右、宮路智裕さん)

ーー9月はプライベートで動きはありましたか。

 時間もあったため、ある取材へ行ってきました。

ーー取材とはどういうことでしょうか。

 熊本県内のある温浴施設が好きでよく行くのですが、先日サウナに入ったら熱波師の人がオレを見つけて「誠一郎、何しよっとや?」って言って来たんです。

ーーファンの方だったのですか。

 いやいや、昨年まで選手だった先輩の宮路(智裕)さんだったんですよ。

ーーお互い、驚いたでしょうね。

 はい。「何、しよっとや」って言われて顔を見たら宮路さんですよ。そりゃ驚くじゃないですか(笑)。思わず「こっちのセリフですよ」って返しましたよ。こっちはただ気持ちよく入っていただけなんですから。

ーーロウリュとかしていたんですか。

 ウチワを持ってあおっていました。57歳に中できついぞ、とかぼやきながらも宣伝しといてくれ! って、お元気そうで良かったです。

園田匠(写真右)は「荒井崇博500勝祝賀会」でインスタライブを敢行した

●質問コーナー

ーー今月も質問が来ていますのでお答えください。

Q、祝賀会に参加できないのですが、ライブ配信はありませんか? また記念グッズを売ってもらえませんか?(東京都/50代/男性)

 中継の予定は無いですが、荒井(崇博)さんのときは(園田)匠がインスタライブをしていたしどこかしらか漏れるかもしれませんね。グッズは… どれぐらい配布してどれぐらいが手元に残るかまだわからないので、販売は未定です、ごめんなさい。

Q、以前の質問コーナーで麻雀、合志正臣最強説がありました。合志選手や荒井選手や井上(昌己)選手はどんな打ち方、タイプなのですか?(埼玉県/40代/男性)

 昌己や荒井さんはタイプが違う。荒井さんは見た通りのイケイケ系、昌己は持ってる系、合志さんは勝負センスと技術系。九州競輪界で持っている星の下に生まれたのは昌己というのが定説ですが、勝負強さは合志さんがズバ抜けています。

Q、元、競輪選手です。戦法は引退するまで自力でした。今と昔で「自力選手」と「追込選手」の関係性に変化を感じることはありますか? 私の現役時代は自力の立場が弱かった気がします。(某県/50代/男性)

 立場が弱かったとは言い切れませんが、おっしゃりたいことはわかります。追込は昭和から平成だと自力に付いてあげているんだぞ感が強く、平成後半から令和は自力を立て気味って感じでしょうか…。1着を目指す目的でラインを組むのだから対等であるべきと思うけど、昔は何かしら追込優勢な雰囲気があったかも。もちろんそこには自力は若手、追込はベテランと、年齢による関係性もあったと思いますが。

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中川誠一郎

Seiichiro Nakagawa

中川誠一郎(ナカガワセイイチロウ)。熊本県熊本市出身。日本競輪学校第85期卒業。日本競輪選手会熊本支部所属。師匠は従兄の瀬口慶一郎。 実妹の中川諒子は女子競輪選手、義弟の吉成晃一も競輪選手。2000年8月15日、ホームバンクの熊本競輪場でデビューし1着。後2日間も勝利し、デビュー場所で完全優勝。2016年日本選手権競輪(静岡)、2019年読売新聞社杯全日本選抜競輪(別府)、高松宮記念杯競輪(岸和田)を優勝している。好きな食べ物は寿司。

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