アプリ限定 2023/08/11 (金) 12:00 22
西武園競輪場で8月15日から20日まで開催される「オールスター競輪」。その期間中に行われる「アルテミス賞(2日目)」、「ガールズドリームレース(3日目)」について、レースの見どころや注目選手の近況をデイリースポーツの松本直記者に解説いただきます。
ファン投票で選ばれた14人で争われるガールズケイリンコレクション。1位から7位はガールズドリームレース(優勝賞金380万円・副賞含む)。8位から14位はアルテミス賞(優勝賞金60万円)。年末のガールズグランプリ出場に大きな影響を及ぼす大会だけに、出場メンバーは気合十分だ。
ガールズドリームレースの主役は児玉碧衣。7年連続7回目のファン投票1位はさすがのひと言。昨年末のガールズグランプリで落車。1月久留米で復帰するも、なかなか1着が取れず低空飛行が続いたが、3月小田原から7場所連続で完全優勝と勢いを取り戻した。ガールズケイリン初のG1・パールカップ(6月13日から15日・岸和田)も3連勝の完全優勝。レース内容も3日間最終バックを先頭で通過する積極策を披露。児玉碧衣らしさ全開のレースでG1初優勝。ガールズグランプリ(12月29日・立川)の出場権を手にした。
ガールズドリームレースは2018年8月(いわき平)に初優勝。2021年8月(いわき平)でも優勝と相性のいい大会だ。昨年は準優勝で終わっているだけに今年こその思いは強そうだ。
脚力上位の存在は佐藤水菜。2020年夏からナショナルチームに加入。伊豆に拠点を移して練習に打ち込むと、ポテンシャルに磨きがかかった。世界選手権のケイリンでは2年連続銀メダルを獲得。2024年に行われるパリ五輪での活躍が期待されている。ガールズケイリン参加は5月小倉以来。今年はここまで10走して全て1着。3月のコレクション(別府)は打鐘過ぎから先頭に出て逃げ切り1着と圧倒的な脚力を見せた。ガールズドリームレースの直前までイギリスで行われる世界選手権に参加しているだけに、調整面が課題になるが、力を発揮できれば児玉碧衣との2強対決になりそうだ。
久米詩は5月コレクション(平塚)、7月フェスティバル(函館)で優勝。賞金ランキング1位を独走している。このままでもグランプリ出場はほぼ確定しているが、今年2個目のコレクション制覇を虎視眈々(たんたん)と狙っている。
昨年のグランプリ覇者・柳原真緒も見逃せない。年頭から業界の代表として責任感満点のレースを続いて安定した成績を残してきた。春先に体調を崩してしまい、柳原らしさが見られない場面もあったが、徐々に復調。7月富山、8月福井と連続優勝。勢いに乗ってきただけに侮れない存在。
山原さくらは2019年以来4年ぶりのガールズドリームレースへの選出。今年は5月コレクション当日の朝練習で落車。股関節周辺を痛めてしまい、約1カ月レースを欠場したが、パールカップから復帰するときっちり結果を残している。今年は欠場期間もあり賞金ランキングで出遅れているだけに、巻き返しにぴったりの舞台だ。
太田りゆは前記の佐藤水菜と同様に世界選手権からの転戦。心配ごとは調整面だけで、実力を発揮できれば、スピードはこのメンバーでも十分通用する。昨年のガールズドリームレースでは最終ホームからカマシ先行で見せ場を作った。(4着)。埼玉県上尾市出身で西武園は地元バンク。昨年12月の開催で西武園初優勝もようやく達成しただけに、侮れない1人だ。
小林優香は状態が気になるところ。腰の状態が良くないため、6月パールカップ終了後は欠場が続いている。状態さえ整っていれば一撃の魅力は秘めている。前検日のコメントで判断したい。
アルテミス賞は石井寛子が中心となる。今年もハイペースで1着を稼いでいるがビッグレースには縁がない。今年からガールズケイリンにG1レースが3個新設されたため、賞金ランキング4位以内にいることが必須。(6月パールカップ優勝は児玉碧衣、10月オールガールスクラシック、11月競輪祭女子王座戦)。賞金ランキング5位と11年連続のグランプリ出場へ黄信号が点滅しているだけに、このアルテミス賞の優勝は喉から手が出るくらい欲しいレースだ。
小林莉子は安定感が光っている。6月パールカップ決勝で落車をしたが、すぐに戦列へ復帰。7月高松、8月玉野と2場所連続完全優勝とムードは上昇。今年のガールズグランプリ開催場はホームバンクの立川。昨年末の平塚ガールズグランプリは自身4回目の補欠と悔しい結果で終わっている。今年こそグランプリ出場の思いが強いだけに、このアルテミス賞は強い気持ちで勝ちにいく。昨年に続くアルテミス賞連覇で賞金の上積みを狙う。
奥井迪も立川がホームバンク。立川でのガールズグランプリ出場への気持ちは強い。今回のメンバー構成だと先行選手は奥井だけ。自分のタイミングで仕掛けることができれば優勝も見えてくる。
日野未来は近況精彩を欠いている。自力を出してもゴール前で差される場面が増えていて、優勝も3月前橋の1回だけだ。しかしポテンシャルの高さは見逃せない。西武園に向けて状態の上積みが作れれば一撃の魅力は秘めている。
梅川風子はナショナルチームの一員として世界選手権に参戦。強行日程での参加となる。今年は国内の競輪に3場所しか参加できていないが、9走して1着が8回。4月松戸、5月立川と連続完全優勝中。昨年のアルテミス賞は準優勝だったので今年は優勝だけを狙っていく。
石井貴子(106期)は練習中の落車で3カ月半欠場した。7月28日初日の前橋から復帰すると6走して1着1回。前橋、高知と連続で決勝進出を決めた。ファン投票で選ばれたアルテミス賞で完全復活をアピールしたい。
荒川ひかりは状態が気がかり。今年は5月立川、7月前橋と落車が続いている。復帰戦がアルテミス賞で厳しい面もあるが、2年ぶりのビッグレース参加。昨年のオールスターはファン投票4位であったが失格2回のペナルティで出場できなかった。今年に懸ける思いは強く出場する以上、荒川らしい追走技術を発揮して1つでも上位の着順を目指してくるはずだ。
松本直
千葉県出身。2008年日刊プロスポーツ新聞社に入社。競輪専門紙「赤競」の記者となり、主に京王閣開催を担当。2014年からデイリースポーツへ。現在は関東、南関東を主戦場に現場を徹底取材し、選手の魅力とともに競輪の面白さを発信し続けている。