2023/06/18 (日) 08:00 4
GI開催特別コラム「山田裕仁の一発逆転!波乱注意報」。帝王・山田裕仁が、開催前半〜中盤までの選手の調子をチェックし、展開から"買えるヨーロッパ(468)"を紹介。元選手ならではの視点から狙い目の2レースをお届けします。▶山田裕仁の見解と買い目はこちら
ヨーロッパ(468)とは?
競輪では各レースにおける「能力的にやや見劣る選手」「競走得点の低い選手」が、4番、6番、8番に入ることが多いことから、ひとくくりにしてこのように呼ばれています。とはいえ、展開やデキ次第では上位への食い込みが十分に可能。その場合には高配当も期待できます。そんなヨーロッパの中から、とくに好走&激走が期待できそうな選手と推奨理由について解説します。
【予想レース①】
岸和田1R 高松宮記念杯競輪(GI)一般
①松岡辰泰(117期=熊本・26歳)
②阿部力也(100期=宮城・35歳)
③大石剣士(109期=静岡・27歳)
④石塚輪太郎(105期=和歌山・29歳)
⑤園田匠(87期=福岡・41歳)
⑥川村晃司(85期=京都・47歳)
⑦小原太樹(95期=神奈川・34歳)
⑧山本伸一(101期=奈良・40歳)
⑨坂本健太郎(86期=福岡・42歳)
【並び予想】
←①⑤⑨(九州)③⑦②(混成)④⑧⑥(近畿)
【注目のヨーロッパ】
⑧山本伸一
⑥川村晃司
④石塚輪太郎
ここは三分戦で、②阿部力が南関東勢の後ろを回ると決めたことで、いずれも3車ラインとなった。どのラインの先頭も機動力があるが甲乙はつけがたく、デキについても低いレベルで横並び。最終日の第1レースを走っているのだから、調子がいい選手などここにはいないというのが実際の話である。
人気を集めるのは九州勢の先頭である①松岡辰で、その番手を回る⑤園田匠との折り返しが、おそらく2車単の1番人気。とはいえ、前受けからの突っ張り先行で最後まで粘り通せるようなデキとは思えず、他のラインが前を斬りにくるならばいったん下げて、中団や後方から捲るレースで勝負したいと考えそうだ。
ならば、バック回数がもっとも多い③大石剣が主導権を奪いにくるかといえば、そうでもなさそうだ。徹底先行タイプというわけではなく、しかもデキがイマイチとなると、こちらもカマシ捲りで勝負したいと考えそう。つまり、①松岡辰と③大石剣のいずれも、積極的に先行したいという意志に欠ける。
そこで注目すべきが、「ヨーロッパ」が並んだ近畿勢。残念ながらこのシリーズでは結果を出せなかったが、近畿地区でのGI最終日だけに、他地区には負けられないという気持ちの入った走りを見せてくれるはず。①松岡辰や③大石剣が他の出方をうかがってペースが緩んだところを、④石塚輪が一気にカマシて主導権。番手の⑧山本伸と3番手の⑥川村晃はいずれもタテ脚があるので、二段駆けも大アリである。
さすがに④石塚輪は最後に苦しくなるかもしれないので、番手から捲った⑧山本伸が抜け出して⑥川村晃が続く⑧→⑥が、このシナリオにおける大本線。スジ車券といえども、もっとも人気がなさそうなラインで「ヨーロッパ決着」となれば、満足のいく配当になりそうだ。2車単④⑥⑧の組み合わせを、資金配分に強弱をつけつつ買うカタチを推奨する。
【予想レース⓶】
岸和田10R 高松宮記念杯競輪(GI)特秀
①坂井洋(115期=栃木・28歳)
②村上博幸(86期=京都・44歳)
③犬伏湧也(119期=徳島・27歳)
④桑原大志(80期=山口・47歳)
⑤渡部幸訓(89期=福島・39歳)
⑥南修二(88期=大阪・41歳)
⑦成田和也(88期=福島・44歳)
⑧渡邉一成(88期=福島・39歳)
⑨香川雄介(76期=香川・48歳)
【並び予想】
←③⑨④(中四国)①(単騎)⑥②(近畿)⑧⑦⑤(北日本)
【注目のヨーロッパ】
⑧渡邉一成
⑥南修二
残念ながら決勝戦には勝ち上がれなかったが、このシリーズでも図抜けたスピードやパワーを存分に見せつけた③犬伏湧。最終日は「先行一車」に近いメンバー構成となったのもあって、一本かぶりの人気を集めそうだ。とはいえ、ここは相手もなかなか強力で、③犬伏湧が全力でダッシュすると番手が離れてしまうーーという点も考慮する必要がある。そうそう順当には決まらないだろう。
まずは、地元の意地をみせそうな⑥南修二に注目。性格的にも、中四国ラインがすんなり逃げられるような展開にはさせないはずだ。中四国ライン番手の⑨香川雄をどこかで捌きにいくはずで、その争いがもつれたり⑥南修二が番手を取りきったりするようだと、③犬伏湧は自分のタイミングで踏めなくなる可能性が出てくる。いずれにせよ、③→⑨を素直に買うのは、イメージ以上にリスクがあるはずだ。
そして⑥南修二よりもさらに期待できそうな「ヨーロッパ」が、北日本ライン先頭の⑧渡邉一。勝ち上がりこそ逃したが、デキはまさしく絶好調で、オール福島という結束力の強いラインでもある。⑥南修二が絡むことで③犬伏湧が踏むタイミングが遅れるようならば、こちらが積極的に仕掛けて主導権を奪い、後続の追撃を最後まで封じるような展開となることも十分に考えられる。
また、⑧渡邉一が主導権で③犬伏湧が捲る展開となった場合には、「外から捲ってきた③犬伏湧の番手を内から⑧渡邉一が捌く」というパターンもありそう。さらにいえば、後続が離れて単騎捲りとなった③犬伏湧のハコが、労せずして⑧渡邉一に転がり込むようなケースもありうる。いずれにせよ、ここは⑧渡邉一を狙ってみる価値が大アリの一戦で、③犬伏湧の着順次第では、高配当の使者となるかもしれない。
具体的な買い目としては、北日本ラインを素直に狙う⑧=⑦や、⑧渡邉一が③犬伏湧の番手を得た場合の③=⑧が2連単の本線。⑥南修二が③犬伏湧の番手を捌いて、そのまま突っ込んできた場合の③=⑥も、少々は押さえておきたい。
山田裕仁
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校第61期卒。KEIRINグランプリ97年、2002年、2003年を制覇するなど、競輪界を代表する選手として圧倒的な存在感を示す。2002年には年間獲得賞金額2憶4434万8500円を記録し、最高記録を達成。2018年に三谷竜生選手に破られるまで、長らく最高記録を保持した。年間賞金王2回、通算成績2110戦612勝。netkeirinでは当コラムのほかに、グレードレースを総括する「山田裕仁のスゴいレース回顧」も担当。