2023/06/16 (金) 23:30 16
GI開催特別コラム「山田裕仁の一発逆転!波乱注意報」。帝王・山田裕仁が、開催前半〜中盤までの選手の調子をチェックし、展開から"買えるヨーロッパ(468)"を紹介。元選手ならではの視点から狙い目をお届けします。▶山田裕仁の見解と買い目はこちら
ヨーロッパ(468)とは?
競輪では各レースにおける「能力的にやや見劣る選手」「競走得点の低い選手」が、4番、6番、8番に入ることが多いことから、ひとくくりにしてこのように呼ばれています。とはいえ、展開やデキ次第では上位への食い込みが十分に可能。その場合には高配当も期待できます。そんなヨーロッパの中から、とくに好走&激走が期待できそうな選手と推奨理由について解説します。
【予想レース①】
岸和田3R 高松宮記念杯競輪(GI)一般
①皿屋豊(111期=三重・40歳)
②鈴木裕(92期=千葉・38歳)
③町田太我(117期=広島・22歳)
④大石剣士(109期=静岡・27歳)
⑤坂本健太郎(86期=福岡・42歳)
⑥西岡正一(84期=和歌山・46歳)
⑦松坂洋平(89期=神奈川・40歳)
⑧志田龍星(119期=岐阜・25歳)
⑨原田研太朗(98期=徳島・32歳)
【並び予想】
←⑧①(中部)⑥(単騎)④②⑦(南関東)③⑤(混成)⑨(単騎)
【注目のヨーロッパ】
⑧志田龍星
細切れ戦で、展開的な紛れがあって不思議ではない一戦。人気の中心は、4日目から追加あっせんで出場している③町田太だろう。ここで機動力上位であるのは言うまでもなく、近況のよさからも人気を集めて当然。その番手を回る⑤坂本健との折り返しや、単騎を選ぶもこのラインの後ろにつけそうな⑨原田研がらみの車券が、多くのファンから支持されることになりそうだ。
しかし、その③町田太のデキがどうも思わしくない。4日目の選抜では、前受けから突っ張るも打鐘であっさりと南関東勢に叩かれ、中団から捲るもブロックされて最下位という冴えない結果に終わっている。この1走だけでの判断となるが、圧倒的人気になりそうなだけに危なっかしい。過信は禁物とみて、このラインを思いきって「消し」で勝負するのをオススメしたい。
注目は、③町田太と同じく4日目から追加あっせんで出場している⑧志田龍。岐阜の選手なのでよく知っているのだが、いい結果が出せずにいるのが不思議なほどの強さを、練習ではみせている。4日目のレースでは5着に終わったが、内容自体はなかなかのもので、いいデキにある印象を受けた。前受けから突っ張って主導権を奪い、最後の最後まで粘りきるようなレースができる可能性が、ここは十分にあるとみた。
③町田太や④大石剣が主導権を奪い、⑧志田龍が中団や後方から捲る展開になったとしても、この細切れ戦ならば面白いはず。⑧志田龍の番手を回る①皿屋豊との折り返しを狙うのが基本となるが、単騎の⑥西岡正が中部ラインの後ろについての3連単⑧→①→⑥や①→⑧→⑥で超高配当ーーといったパターンもなくはない。いずれにせよ、そうそう順当には決まらない一戦のはずである。
【予想レース⓶】
岸和田5R 高松宮記念杯競輪(GI)選抜
①佐々木悠葵(115期=群馬・27歳)
②神田紘輔(100期=大阪・37歳)
③吉本卓仁(89期=福岡・39歳)
④久木原洋(97期=埼玉・38歳)
⑤山崎芳仁(88期=福島・44歳)
⑥稲毛健太(97期=和歌山・33歳)
⑦高原仁志(85期=徳島・42歳)
⑧木暮安由(92期=群馬・38歳)
⑨伊藤旭(117期=熊本・23歳)
【並び予想】
←⑥②(近畿)①⑧④(関東)⑨③(九州)⑤(単騎)⑦(単騎)
【注目のヨーロッパ】
⑧木暮安由
④久木原洋
前掲の第3レースとは違って、こちらは「それなりに堅く決まるも悪くない配当が期待できそうなパターン」のヨーロッパ狙い。このメンバー構成だと、主導権を奪うのはおそらく、近畿ライン先頭の⑥稲毛健だろう。しかし、デキがいいという印象はなく、いい捲り脚がある①佐々木悠や、機動力だけでなく自在性もある⑨伊藤旭のほうが、ここは信頼度が高そうだ。
注目は、番手を同県の⑧木暮安が回る①佐々木悠。基本的には中団から捲るレースを想定しているが、相手の出方次第では主導権を「取らされる」カタチとなる可能性もありそうだ。そのどちらにおいても、ここの①佐々木悠はラインから勝者を出す走りをしてくる可能性が高い。⑥稲毛健の主導権ならば、早めから動いてねじ伏せるような捲りを仕掛けてくることだろう。
とはいえ、①佐々木悠のデキは「並程度」という印象なので、強気なレース運びをすればするほど、末を欠いてしまいそう。よって、ここは①佐々木悠をアタマで買うのではなく、⑧木暮安に差されるカタチの⑧→①や、関東ライン3番手の④久木原洋まで突き抜けるカタチの⑧→④を狙ったほうが面白い。スジ車券なので高配当とはならないだろうが、人気の①→⑧を買わないことで回収率をかなり向上させられるはずだ。
山田裕仁
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校第61期卒。KEIRINグランプリ97年、2002年、2003年を制覇するなど、競輪界を代表する選手として圧倒的な存在感を示す。2002年には年間獲得賞金額2憶4434万8500円を記録し、最高記録を達成。2018年に三谷竜生選手に破られるまで、長らく最高記録を保持した。年間賞金王2回、通算成績2110戦612勝。netkeirinでは当コラムのほかに、グレードレースを総括する「山田裕仁のスゴいレース回顧」も担当。