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伏見俊昭のいつだってフロンティア!

【伏見俊昭と選手宿舎】競輪選手だから知っている選手の素顔〜平成でも令和でも怖い先輩はいる〜

2023/06/18 (日) 16:30 38

 netkeirinをご覧の皆さま、こんにちは。伏見俊昭です。
 6月13〜18日まで岸和田競輪で「高松宮記念杯競輪(GI)」が開催されていましたね。今回は選手だから知っている、競走中の選手の素顔や宿舎での過ごし方、そして思い出に残っているエピソードをお話しようと思います。

伏見俊昭(撮影:北山宏一)

山崎芳仁は検車場、佐藤慎太郎は部屋にこもる

 競輪選手は競走参加中、選手宿舎に缶詰になります。その間は、携帯電話はもちろん、通信機器はすべて選手管理に預けます。外部との連絡も取れず、インターネットなども使えません。

検車場で過ごす時間が長い山崎芳仁(photo by Shimajoe)

 宿舎では選手同士が談笑したり、おのおの独自の楽しみ方でリラックスしています。
 同県の山崎芳仁君はとにかく検車場にいる時間が長い。常にセッティングしていたり、人の自転車にまたがったりして、自転車と触れ合ってます。反対に佐藤慎太郎君は部屋にずーっといます。朝ごはんも食べずにずっと寝てます。何かの記事で見たんですけど、大リーガーの大谷翔平選手は一日、10時間以上寝ているみたいで、ラーズ・ヌートバー選手がごはんに誘ったら「寝るから」って理由で断ったって。大谷選手の活躍を見れば「あぁ、睡眠って大事なんだなぁ」と思います。慎太郎君も長い睡眠でしっかり体調管理をしてるんだなぁと改めて思いましたね。

 ちなみに僕は絶対、朝ごはんも食べるし、朝の指定練習にも参加します。ナイターでも絶対、朝ごはんは抜きたくないんですよ。慎太郎君や新田祐大君は、絶対、朝ごはんを食べない。昼と夜の2食になるけど、それでも競走で力が入れば問題ないでしょう。

部屋が一緒になることが多い佐藤慎太郎(撮影:北山宏一)

 そういえば、6月の大垣記念(水都大垣杯)は、慎太郎君と2人部屋。年齢の上から部屋割りするのでよく一緒になります。慎太郎君は常にプロテインとサプリメントを飲んでましたね。こないだ見たら、また何か新しいサプリが増えてる感じでした。自分もプロテインやサプリはもちろん摂取しますが、僕のデビュー当時は競走後にプロテインを飲むような選手はいなかったですね…。

夕食後のリラックスタイム

 昼間開催で夕食、入浴が終わると大体19時くらい。そこから就寝までの過ごし方は選手によってさまざまです。
 一番多いのは、レースダイジェストを見ている選手かな。山崎君を筆頭に福島の選手は、ダイジェストを見るのが好きな人が多い感じがします。ナイターもライブで見つつ、「あーだ、こーだ」話しています。みんなレースが好きなんでしょうね。

お笑い番組オンリーの岩見潤

 僕はこの時間くらいは競輪から解放されたいので、ダイジェストはあまり見ません。一日中、競輪のこと考えていたら頭がおかしくなりそうなので、現実逃避じゃないけどDVDを見ることが多いです。トレーナーさんに「DVDはデッキから出る電磁波が良くない」って言われて一時期やめていたこともあるけど、一番リラックスできるので今は見ていますね。見るのは海外ドラマが多いです。今は「ロック・アップ/スペイン女子刑務所」にハマっています。競走前にレンタル屋さんで借りるんですけど、そこに『メッシ選手も奥さんと大絶賛』ってポップがあって、これは見なくちゃって(笑)。アメリカのドラマなら「マニフェスト」がオススメ。山崎君は韓流ドラマ、新田君はアニメが好きでよく見てますね。三重の岩見潤さんはお笑い番組オンリーで、ベッドの上でゲラゲラ笑ってるらしいです。

コーヒーをご馳走してくれる一人、飯野祐太(写真提供:チャリ・ロト)

 また、最近は開催中にコーヒー豆やグラインダーを持参して食後にコーヒーを楽しむ選手が増えています。福島県では飯野(祐太)君、石井(洋輝)君、板垣(昴)君、関根(崇人)君ら、たくさんの選手がコーヒー用品を持参して、淹れたてのコーヒーをご馳走してくれます。いろんな国のいろんな豆を挽いて入れてくれるコーヒーは喫茶店よりもはるかにおいしくてとても心地よい気分にさせてくれるので彼らとの一緒の参加はひそかに楽しみでもあります。

釣った気分を堪能する佐伯翔

実際に釣るより、、テレビで見ている方が楽しいと話す佐伯翔(photo by Shimajoe)

 少し前に佐伯翔君と2人部屋だったことがあります。佐伯君は釣りが好きなんですよ。気を遣ってくれて一緒に起きている時は見ないんですけど、僕がベッドでDVDを見始めるとテレビで釣り番組を見始めます。現実だと何時間も釣り糸を垂らしても、一匹も釣れないこともあるそうで。でも、テレビだといいとこ取りだから、それを見てると釣れた気になって実際の釣りよりも楽しいって言ってました。

 話が逸れますが、引退した萩原操さんも大の釣り好きで、今は特に仕事はせず、釣りとゴルフ三昧の日々らしいです。あれだけ頑張ってきた方なんで、そういう時間もいいんじゃないかな。僕は趣味らしい趣味はないですね。基本的にじっとしてられないんで、釣りは無理です(笑)。練習して競走に参加してっていう生活リズムを変えることもできないし、休みの日に特にしたいこともないんですよね…。

平成でも令和でもいつの時代も怖い先輩はいる

 若手時代には怖い先輩と同部屋になることもありましたね。一番記憶にあるのは安田久一(61期)さん。まだ僕がデビューして半年くらいの夕食の時のことです。夕食ではご飯は自分たちでよそうんですけど、メイン料理は食堂の人がそれぞれに持ってきてくれます。

 ある日、そのメイン料理がなかなか運ばれてこなくて。そしたら安田さんがすごい怒ってて、持ってきてくれた時に「こんなもん食えるか!」って怒鳴ったんですよ。で、その料理には手をつけない。僕は食べたいけど食べちゃダメなのかな?って恐る恐る安田さんの顔色をうかがいながら食べてました。「オマエも食うな!」って言われるんじゃないかって…。結果的に僕はとばっちりを受けることはなかったけど、福島のテーブルはシーンとして異様な雰囲気でしたね。早く食べ終わって食堂から部屋に帰りたいと思っていました。でも…部屋に戻っても安田さんとは同部屋でしたね(笑)。

いつの時代も怖い先輩はいる(撮影:北山宏一)

 そしたら最近、同じような場面を見たんですよ! 他県のテーブルで。
 たまたまその県のテーブルが福島県の斜め前だったんですけど、やっぱりメイン料理が遅かったらしく「遅かと!」って〇井君が怒鳴ってるんです。持ってきた食堂の人も謝っているんですけど「いらんけん持ってけ!」って突っ返してるんです。この令和の時代にもこういう選手がいるのかってびっくりしました。

 一緒にいた同県の選手はその料理をもちろん食べていたんですけど、その選手に「おいしかったか?」って聞いてて、気になるんだったら食べればいいのにって、選手間でちょっとした話題になってました(笑)。〇井選手は輪界一、喜怒哀楽の激しい選手ですからね(笑)。



 次走は、7月12日〜小田原競輪で出走予定です。しっかり練習して臨みたいと思いますので、応援よろしくお願いします。



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伏見俊昭

フシミトシアキ

福島県出身。1995年4月にデビュー。 デビューした翌年にA級9連勝し、1年でトップクラスのS級1班へ昇格を果たした。 2001年にふるさとダービー(GII)優勝を皮切りに、オールスター競輪・KEIRINグランプリ01‘を優勝し年間賞金王に輝く。2007年にもKEIRINグランプリ07‘を優勝し、2度目の賞金王に輝くなど、競輪業界を代表する選手として活躍し続けている。 自転車競技ではナショナルチームのメンバーとして、アジア選手権・世界選手権で数々のタイトルを獲得し、2004年アテネオリンピック「チームスプリント」で銀メダルを獲得。2008年北京オリンピックも自転車競技「ケイリン」代表として出場。今でもアテネオリンピックの奇跡は競輪の歴史に燦然と名を刻んでいる。

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