2023/06/06 (火) 12:00 11
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は大垣競輪場で開催されている水都大垣杯のレース展望です。
初日は強風がバンク内を吹き荒れていた【水都大垣杯】でしたが、準決勝が行われていた3日目はそこまで風の影響もありませんでした。
大垣バンクは標準的な400バンクではありますが、風が無いと先行した選手のかかりがいいバンクに一変します。準決勝の10レースで、打鐘と共に捲っていった橋本選手が、まさに大垣バンクの特徴を生かした走りでした。
一方、先行有利を問題とせずに捲っていった犬伏選手のスピードは桁違いとも言えます。決勝は119期生のどちらが、レースの主導権を握るかも見どころと言えるでしょう。
決勝の並びは四国と九州で並んだのが犬伏選手ー荒井選手ー園田選手。同じく混成ラインとなった関東と北日本の並びは橋本選手-佐藤選手-菅田選手。南関東ラインは松谷選手が前で、後ろが山賀選手となり、中部地区では唯一、決勝に進んできた浅井選手は単騎となります。
先ほども書いた同期生対決ですが、準決勝のレースを見ても、先行するのは橋本選手で、犬伏選手は後方からの捲りに構えるはずです。
車番的にスタートを取るのは犬伏選手となるでしょう。7番手の橋本選手が抑えに行ったとしても、2車となった松谷選手の先行は無いだけに、犬伏選手が後ろまで下げたのを見てから、橋本選手は一気に仕掛けていくはずです。
今日の天気予報を見ると、風の影響はそれほど無さそうなバンクコンディションとなりそうです。先行した橋本選手がかかりきってしまうと、さすがの犬伏選手とは言えども、そう簡単に捲れないかもしれません。そうなれば準決勝と同じように、橋本選手の後ろを回っている佐藤選手の差しが決まります。
犬伏選手もその展開が分かっているだけに、7番手から早めに動きだす可能性があります。そうなれば、後ろを回る荒井選手の差しが決まる可能性も出てきますが、それも犬伏選手の踏み出していくスピードに付いていくのが、優勝への最低条件となります。
単騎の浅井選手が優勝に近づくには、中団からの先捲りが理想となります。ただ、先行しそうな関東と北日本ラインの後ろを選択しても4番手であり、今大会の浅井選手の出来からすると、その前で橋本選手を交わしにかかる、佐藤選手を差し切るのは難しいかもしれません。
【日本選手権競輪】を優勝しながらも、今回タイの準決勝で落車した山口選手も、浅井選手と同様に捲りを得意としている選手です。2人ともレース勘の良さと、一瞬のスピードに秀でているので、記念大会でも決勝まで進んできますが、地元(中部)に強い先行選手がいないために、決勝では思うようなラインを作れなくなっています。
中部地区からは、山口選手に続いてグランプリの権利を取るような選手が出てきて欲しいところですが、そのためにも強い先行選手が現れてくることを期待せずにはいられません。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。