アプリ限定 2023/05/30 (火) 18:00 32
6月13日から6日間の日程で開催される高松宮記念杯競輪(岸和田・GI)は東日本54名、西日本54名が激突。netkeirinの人気記事「データ分析」では開催の特色である“東西決戦”にちなんで「東西地区別データ分析」をお届けします。今回は北日本・関東・南関東で形成する東日本編。勝ち上がりでは同地区対決も見られる高松宮記念杯を前に今一度、各地区各県の“数字”をチェックしておきましょう。(取材・構成:netkeirin編集部)
※集計データは高松宮記念杯出場選手の日本選手権競輪終了時点の「直近4か月成績」を参照したもの
まずは西日本地区が東日本地区に勝っている数字の中で特徴的な要素を挙げる。
項目 | 西日本 | 東日本 |
---|---|---|
優勝回数 | 32回 | 24回 |
平均勝率 | 22.7% | 22.4% |
決まり手「捲り」回数 | 172回 | 127回 |
東日本編で示したとおり、S級S班在籍数や平均競走得点では東日本よりも低いデータとなっている西日本だが優勝回数で軍配が上がる。FI開催以上の優勝回数は1.3倍多く、GIII以上の開催に限定すると西日本が61.2%の11回、東日本が38.8%の7回。さらにGI・GII開催に絞ると「全日本選抜競輪・古性優作」、「ウィナーズカップ・松浦悠士」、「日本選手権競輪・山口拳矢」と大一番はすべて西日本地区の選手が優勝しており、決勝レースを予想する上で有効なデータと言えるだろう。それでは中部・近畿・中国・四国・九州と地区の特色を解き明かしていく。
中部から高松宮記念杯に出場する選手は浅井康太、坂口晃輔、皿屋豊、谷口遼平、山口拳矢の5名。この数は全国最少となっている。だが日本選手権競輪を制しダービー王となった山口拳矢がGI・GIIIで優勝、浅井康太も地元GIIIで優勝しており、グレードレース優勝回数では他地区に劣らず、単騎あるいは混成ラインでの決勝になろうとも勝ち切ってしまう“勝負強さ”が光る。日本選手権競輪決勝前にもデータ分析記事を公開したが、今一度インパクトある山口拳矢の単騎戦成績を提示しておく。
選手 | 位置別項目 | 勝率 | 2連対率 | 3連対率 |
---|---|---|---|---|
山口拳矢 | 単騎 | 60% | 63.3% | 73.3% |
また、浅井康太は開催地となる岸和田競輪場と同じ400バンクでの勝率が高く、その数値は33.5%を誇る。相性の良さから活躍が期待できる。そのほか中部の平均勝率29.3%は全国トップ。日本選手権競輪で2勝を挙げた谷口遼平や皿屋豊の勝率も30%オーバーを記録しており、谷口に関しては3連対率も61.5%と西日本平均52.4%を大きく上回っている。
選手 | 勝率 | 西日本平均 |
---|---|---|
谷口遼平 | 34.6% | 22.7% |
皿屋豊 | 30.4% | 22.7% |
特選レースがなく、西日本地区のみで争う高松宮記念杯の予選において、「数に頼らず勝ち切れる強さ」は台風の目になる可能性を示唆していると言っても過言ではないだろう。特に“堅い”とされているレースにも風穴を空ける傾向が数字に色濃く表れているので、車券予想の際に中部の選手がいれば、その“立ち回り”は熟考に熟考を重ねたい。
出場選手14名の平均競走得点111.84点は全国1位であり、選手個人は古性優作が1位で脇本雄太が2位。実戦でも見るシーンだが、データ上でもワンツーを決めている。この両選手の圧倒的な成績数値は今一度確認しておくべきだろう。
選手 | 勝率 | 2連対率 | 3連対率 |
---|---|---|---|
古性優作 | 44.4% | 66.6% | 72.2% |
脇本雄太 | 47.6% | 66.6% | 71.4% |
このツートップ以外にも三谷竜生が116.38点で全国9位となっており、好調が継続されていることを表している。
その一方で、「競走得点の高さに優勝回数が比例していない」というデータになっている。出場選手14名で優勝回数5回。1人あたりに換算すれば0.35回と他地区に見劣りする。古性・脇本に限らず、いわゆる“本線”になり警戒されるシーンが多いのか、この数字は全国ワースト2位の値となっている。西日本は優勝回数で東日本をリードするが、近畿は例外。決勝予想で狙う際は立ち止まって考えたくなるデータである。
上記で挙げた選手以外にも近畿には車券貢献性の高い選手がズラリと並んでいるので、西日本全体の平均3連対率52.4%を超えている選手を全員紹介しておきたい。3連単を狙う際にぜひ参考にして欲しい。
選手 | 3連対率 |
---|---|
古性優作 | 72.2% |
脇本雄太 | 71.4% |
三谷竜生 | 65.3% |
神田紘輔 | 64.5% |
東口善朋 | 60% |
南修二 | 58.8% |
山田久徳 | 54.5% |
中国は8名の出場となり、西日本地区で占める割合はそう大きくない。だが優勝回数6回は1人あたり0.75回で、この値は全国2位。しかも6回の内訳はS級S班・松浦悠士、清水裕友、隅田洋介(2回)、大川龍二、桑原大志によるもの。1人が優勝回数を重ねているわけではなく、広島2回、岡山2回、山口2回と県別に見てもバランスが良好。
そんな中で逃げの勝利回数やバック回数、ホーム回数を押し上げているのが取鳥雄吾。西日本で争う予選では地区ラインを左右するキーマンになりそう。取鳥雄吾の勝率も30%オーバーと高く、データは洗っておきたいところ。
選手 | 勝率 | バック 回数 | ホーム 回数 | 決まり手 「逃げ」 |
---|---|---|---|---|
取鳥雄吾 | 30.7% | 11回 | 10回 | 5回 |
そのほか、大垣FIと広島FIをそれぞれ優勝し、3連対率も全国8位と車券貢献性も全国平均を大きく上回っている隅田洋介のデータも紹介したい。
選手 | 勝率 | 連対率 | 3連対率 | 単騎の勝率 |
---|---|---|---|---|
隅田洋介 | 32% | 60% | 68% | 33.3% |
“バランスが良好”の話に戻るが「逃げ・捲り・差し」の決まり手も満遍なく数字が積み上っており、地域性にみる戦法の特徴はとらえられない。バック回数、ホーム回数、スタンディング回数を追ってみても、これもまた突出した傾向はとらえられない。あくまでもデータ上の推測に過ぎないが、レース展開に順応した戦略を立てることに長けており、「そのときそのとき」で変幻自在に立ち回ることのできる選手が多いのではないか。“中国ゴールデンコンビ”と呼ばれている松浦悠士と清水裕友をイメージしてみても「前も後ろもできる万能性」は色濃く出ている。
平均年齢38.9歳は北日本に次ぐ順に位置し、西日本では1番高い。出場選手9名のうち戦法の分布は「逃」が2名、「両」が1名、「追」が6名で、追い込み選手の割合が高い。優勝回数4回は他地区に劣る数字だが、20代の犬伏湧也と松本貴治が1回、40代の香川雄介と小倉竜二が1回となっており、若手もベテランも双方活躍している。また優勝こそないが渡部哲男は3連対率70.5%で全国7位。平塚ダービーでも2勝し、見事な差し脚を披露している。追い込み選手の活躍を切り取れば、東は北日本、西は四国といった様相である。
選手 | 勝率 | 連対率 | 3連対率 | 決まり手 「差し」 |
---|---|---|---|---|
渡部哲男 | 29.4% | 52.9% | 70.5% | 7回 |
平均年齢が高く、追い込み選手の実力者が牽引している四国だが、27歳・犬伏湧也の戦績が突出している。数々のグレードレースで存在感を放ち、日本選手権競輪決勝の走りは記憶に新しい。規格外の強さはデータにも表れており、競走得点115.26点で逃げ切り勝ち10回、バック回数18回と先行選手の中でもトップランカーだろう。
選手 | 勝率 | 連対率 | 3連対率 | 決まり手 「逃げ」 |
---|---|---|---|---|
犬伏湧也 | 39.1% | 56.5% | 65.2% | 10回 |
平均年齢や選手の脚質割合で北日本と似ている四国だが、ラインの役割が明確化している点では南関東と似ている。「若手とベテランがそれぞれの持ち場を守る地区」と言えるだろう。日本選手権競輪決勝に香川雄介と犬伏湧也が進んでいることがデータ以上の証明であり事実。中国と四国で連係することも多いため、前述した「万能性の中国」と「先行と追い込みの役割がハッキリした四国」は攻め幅を広げやすく相性の良さも頷ける。
平均年齢34.4歳は東日本地区・関東と同率で全国比較2番目の若さ。選手の脚質分布や逃げや捲り、差し、マークといった決まり手のバランスも関東に近いデータであり、若手選手の徹底先行型が少ないのが数字的特徴だ。九州は西日本全体の平均勝率・連対率・3連対率を押し上げており、すべにおいて劣る数字は見当たらない。特に嘉永泰斗の3連対率73%は全国3位の数値を叩き出しており、3連単を狙う際には欠かせない存在になっている。
また、山田兄弟(英明・庸平)は勝率で全国トップ10入りしており、決まり手もさまざま、幅広い戦法で1着を作り出すことに成功している。
選手 | 勝率 | 全国順位 | 脚質「両」に 限定 |
---|---|---|---|
山田庸平 | 40.7% | 8位 | 3位 |
山田英明 | 40% | 9位 | 4位 |
ただし、山田兄弟の3連対率は50%台で推移しているため、番組構成や連係するライン構成と位置、レース展開は熟考してから狙うのが賢明か。「このメンバーでこういった展開なら1着になるゴールシーンが見える」といった時には自信を持って軸にしたい。
余談になるが、「勝率は高いが3連対率は地区平均程度にとどまる」はグレード戦線で戦う脚質「両」選手たちのデータ傾向に顕著に出ている。東日本なら菅田壱道や宿口陽一、和田真久留といった選手に表れている傾向だ。もちろん例外もあり。高松宮記念杯に出場する脚質「両」の選手30名のうち3連対率60%オーバーは松浦悠士、守澤太志、古性優作、三谷竜生、隅田洋介の5名のみ。
また、九州地区で最も先行意欲がデータに現れているのが伊藤颯馬。同地区内で争う予選においては対戦相手はもとより連係相手の運命も左右するだろう。キーマンのうちのひとりに挙げておきたい。
選手 | バック 回数 | ホーム 回数 | 3連対率 | 決まり手 「逃げ」 |
---|---|---|---|---|
伊藤颯馬 | 18回 | 15回 | 65.6% | 10回 |
そのほか、九州のデータ分析を進めていくと“データで測れぬ要素”が他地区に比べて多いことに気がつく。特に「20代選手のデータ傾向が読みにくい」という点。レース種目別(勝ち上がり戦なのか敗者戦なのか、決勝戦なのか)で切ってみても、グレード別で切ってみても突出したデータ傾向がなく、バラエティ豊かに戦っている。“その都度その都度で”走り方を選択する大らかさがあり、データ予想はしにくいが「数字で割り切れない魅力」がある。
選手の出すレース前コメントや現地記者によるニュースから「どんな腹づもりか」は、しっかりとヒントが残されているので、車券推理のそもそもの醍醐味「選手の気持ちを読む」に挑戦したい。(※九州の数字を算出する際に「選手数」や「年齢」は北津留翼を入れて算出、「成績系データ」は直近成績がないため北津留翼を入れず算出している。)
東日本よりも西日本の方がデータ特色は薄い傾向にある。単騎でも混戦ラインでも勝ち切る少数精鋭部隊が中部、総合力上位で選手層の厚い近畿、順応性高いクレバーな中国、若手とベテランの結束強い四国、データで測れぬミステリアス九州。近畿のタイトルホルダー脇本雄太と地元・古性優作がデータ上は最有力だが、予選から混戦・激戦の番組が多発するだろう。車券的には“波乱予想”も十分。出走表の「データ分析」や各種記事を参考に流れを掴んで車券を攻略して欲しい。
netkeirinのレース情報ページには「データ分析」という項目が存在する。車券購入の際はササっとデータを確認しながら、レース展開の推理に役立てて欲しい。さまざまな切り口で算出されたデータは眺めているだけでも楽しい…はず!
データ分析項目 | 説明 |
---|---|
レース種目別 | 勝ち上がり戦、敗者戦、決勝戦の成績 |
周長 | 333m、400m、500mの成績 |
見なし直線 | 50m未満、50m以上60m未満、60m以上の成績 |
競輪場別 | 競輪場別の成績 |
位置別 | ラインの先頭、番手、3番手以降、単騎、競りの成績 |
時間帯 | モーニング、デイ、ナイト、ミッドナイトの成績 |
日程 | 初日、中間、最終日の成績 |
グレード別 | GI・GII・GIII・FI・FIIの成績 |
グレード×レース種目 | グレードとレース種目を指定して算出 |
車番別 | 車番の成績 |
同県選手同乗時 | 同県選手と同乗あり・なし時の成績 |
データ分析で推理が固まらない場合、あるいは固まっているがさらに自分の予想に自信を持ちたい時は「ウマい車券のプロ予想」もぜひ活用して欲しい。競輪場の場立ち予想家や競輪専門紙記者、元選手の競輪解説者などが豪腕を振っているほか、最新AIが導き出す予想などさまざま。netkeirinをフルで使い倒し、的中連発を目指してみては!?
netkeirin取材スタッフ
Interview staff
netkeirin取材スタッフがお届けするエンタメコーナー。競輪の面白さをお伝えするため、既成概念を打ち破るコンテンツをお届けします。