アプリ限定 2023/05/15 (月) 12:00 56
全国競輪施行者協議会が2023年度(令和5年度)の事業計画書を発表した。前年度の売り上げが増加し、2014年度(平成26年度)から9年連続で前年度を上回っている。
2021年3月に示された中期基本計画の目標である、2025年度の売り上げ1兆円到達を早めにクリア。民間ポータル各社との関係性の再構築など、現在の競輪界の売り上げを拡大する各社とのつながりについても深く考えられていく。
実質的にコロナの影響と民間ポータル各社の努力によって売り上げは伸びた一面がある。多くの新規ファンをつかみ、キャンペーンなどによって競輪への参加者を増やした形だ。民間企業なので儲かることが前提になるが、競輪の裾野を広げる役割を果たした事実は、「競輪、盛り上がってほしいな〜」としみじみ思っていた者にとっては忘れられないものだ。
その力は爆裂だ。
開催の枠組みは前年度と大きくは変わらず、7車立ても継続され、モーニング、ミッドナイトの開催も前進を試みる。ガールズケイリンについてはGIが今年創設されたことに加え、GII以下のグレードの格付けを見据えていく。
ガールズケイリンが始まってから10年。いつ、どうなるの、今できないの? といった声も上がってきたが、着実な足場を作りつつ、将来へ向かう。
ただし、現場の選手からよく聞かれるのが「ガールズケイリンの選手になりたいという人は増えていない」という危惧だ。入試倍率は伸び切れず、このままでいいのか…と思っている人も多い。賞金の増額は大きな魅力であり、産休制度の確立も“職業”としての価値を生んでいる。
落車の多さや、代謝の問題にも目を向け、現場感を持った施策にも期待したい。ミッドナイトの車番の問題や、産休に入った選手の数、実働選手の負担も考慮するべきだ。
また、本場開催を行っている施行者収益の問題も今後重要になってくるだろう。全体でまとめられた売り上げの伸びと、開催している本場施行者の収益の伸びにはズレもある。
根本的に本場入場者が減っていることも、先々を考えれば不安というか、恐怖しか生まない。無論、現在のファンの多くがインターネットを利用していると思えば、そちらのサービス向上も同時に必要だ。
競輪って何なの?
立ち返る観点も必要だ。この問いに関しては、選手の姿を伝えることがすべてだと思っている。5月上旬からミックスゾーン(※)の導入があり、取材の形は大きく変わっている。スポーツ紙(また専門紙)の記者として何ができるのか、今、多くの記者が私だけでなく考えている。
ファンのために。
この言葉だけは永遠に基軸。考えるだけでなく、道を切り開いて「競輪、盛り上がってきたな〜」と言えるようにしないといけない。現状、売り上げは伸びているが競輪が盛り上がっているとは思えない。新規ファンが定着していけるように、この部分にも力を入れないといけない。
※:記者が競技直後の選手に対して簡単なインタビューをすることができる、スタジアム等のスポーツ競技会場に用意された取材用の場所。
Twitterでも競輪のこぼれ話をツイート中
▼前田睦生記者のTwitterはこちら
前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。