2023/05/17 (水) 12:00 19
宇都宮競輪の「開設74周年記念 宇都宮ワンダーランドカップ(GIII)」が18日に開幕する。今を突っ走る新山響平(29歳・青森=107期)と佐藤慎太郎(46歳・福島=78期)のSSコンビに、もう一度立て直しを図っていく松浦悠士(32歳・広島=98期)とS班は3人。迎え撃つ地元勢は豪華だ。
中でも主役を張るのが坂井洋(28歳・栃木=115期)だ。眞杉匠(24歳・栃木=113期)、長島大介(33歳・栃木=96期)、神山拓弥(36歳・栃木=91期)、そして900勝にリーチを駆けている神山雄一郎(55歳・栃木=61期)とズラリ。
坂井がどう地元勢をまとめていけるか、リーダーシップを発揮できるかがカギを握る。長島や神山拓にもその期待はかかるが、ベテラン、中堅、若手をひとつにする役割はやはり坂井が担う。これは、栃木だけでなく、これからの関東についてもだ。それだけの逸材だが、足踏みが続いている。
坂井は平塚競輪場で開催された「第77回日本選手権競輪(GI)」の4日目(5日)二次予選で落車してしまった。再乗してゴールはしたものの、痛みは相当な様子だった。
しかし、5日目(6日)の特選6Rでは上がりタイム10秒8でまくり追い込んで1着。「息をするのが苦しい。折れているかも…」と右の脇腹を抑えていたものだが、気持ちでカバーしていた。
『強者の条件』が競輪にはあると思う。かつてのスター選手がみなそうだったように“逆境に強い”ことが大事だ。最たる選手は村上義弘さんで、苦しい時こそ、そこで踏ん張って結果を残し、ファンの胸を叩き続けた。
今回、坂井がその姿を見せることができれば、ひと回り大きな選手としての立場を確立できる。まだ痛みも残ると思うが、戦い抜いてほしい。
平塚の時も落車後だったが、「絆創膏もアクセサリーです」と言い切った男だ。
眞杉は昨年3月名古屋、7月小松島と記念を2回勝ち、その地位を揺るぎないものにしている。GIの決勝にも上がっているわけだが、山口拳矢(27歳・岐阜=117期)がひょいっと上に行ってしまった。
若い世代で成し遂げられるタイミングが来ていて、眞杉にその期待は大きくかかっていた。足踏みが続いている今、地元記念でどれだけレースを支配できるか。新山がいようとも、誰にも何もさせないまで…、が求められる。
輪界屈指の負けず嫌いの男が、何を見せてくれるのか。
もちろん、函館記念を衝撃の強さで制した同期の嘉永泰斗(25歳・熊本=113期)の活躍にも触発されたことだろう。嘉永は函館で“GIを勝つ男”に確実に名前を挙げた。若者たちが切磋琢磨する2023年が進んできた。
今、中盤戦。一体、どうなっていくーー。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。