2023/03/07 (火) 12:00 9
現役時代はKEIRINグランプリを優勝するなどトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は大垣競輪場で開催されている水都大垣杯の決勝レース展望です。
【水都大垣杯】の決勝は非常に難解なレースとなっています。
それは決勝の並びにも表れています。ラインが形成されたのは山口選手 - 岡本選手の中部ライン、平原選手 - 久木原選手の関東ライン、岩谷選手 - 井上選手の九州ライン。その一方で古性選手、坂本選手、犬伏選手がいずれも単騎を選択したことで、超細切れ戦となりました。
スタートを取りに行くのは1番車の山口選手だと思いますが、坂本選手と犬伏選手もスタートは速いので、場合によってはこの2人が誘導員の後ろにいる可能性もあります。
ただ、古性選手を含めて単騎選手の先行は無さそうです。また、平原選手と山口選手も勝つレースを考えた場合は捲りを狙ってくるので、後方から前を切りに行った岩谷選手が、そのまま先行すると見ています。
自分が選手としてこの決勝に出ていたのなら、岩谷選手 - 井上選手の後ろを取りに行きます。そして残り1週で捲ってきそうな他のライン、もしくは単騎の選手の動きを警戒していきます。
ただ、岩谷選手は先行したとしても、勝つために早駆けはしないはずです。必然的に後半のタイムが上がっていくので、後方のままでは苦しくなりますが、その時でも前々のいい位置でレースを運んでいるのが、古性選手なのではと思います。
古性選手は2年前の【KEIRINグランプリ】を勝利した時も単騎であり、今大会の初日に行われた特選でも、早めに動き出していきながら2着に入っています。
まさに万能型の選手であるだけでなく、準決勝の上がりタイム(10秒9)にも証明されているように、全日本選抜競輪からの好調を持続させています。
この古性選手にスピードで対抗できそうなのが山口選手と犬伏選手、そして感性やレース勘で対抗できそうなのは平原選手です。
1番車に入った山口選手は位置取り的にも有利であり、今大会では調子の良さも目を引きます。古性選手の後ろから捲れる選手がいるとするなら、それは山口選手でしょう。
一方、準決勝では後方7番手からのレースとなった犬伏選手ですが、そこから巻き返して3着まで来たスピードは目を見張るものがありました。
犬伏選手は残り1週ぐらいからならこのメンバーを相手にしても、先行して押し切れるだけの脚を持っているだけに、道中の位置取りには注目です。
平原選手も古性選手と同じように万能型ですが、感性にも優れています。車番的にも古性選手の後であり、道中もその後ろを付いていきながら、勝負所で一気に捲っていく作戦も、平原選手は考えているはずです。
ただこれも、並びや今大会での選手たちの走りなどを見ての想定であり、自力型で全員動ける単騎の選手たちが、道中でどこを回っているのかが、皆目見当がつきません。
まさに解説者泣かせの決勝戦ですが、それでも、連対を外さない古性選手の安定感は信頼がおけます。三連単の車券も1着、あるいは2着は付けで、3着となりそうな相手を広く買ってみることをおすすめします。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。