アプリ限定 2022/12/10 (土) 12:00 39
2022年度の競輪の売上は順調の様子で、中期計画では2025年度の1兆円達成が目標だったが、早々にたどり着く可能性がある。中央競馬やボートレースも伸びを続けており、3兆円という数字を現わす強さを見せている。
競輪業界としては上方修正して、さらに…というところが求められるわけだが、楽観してはいられない。そして、“売り上げの中身”についても考えないといけない。
本場の入場者数は減る一方。売り上げを伸ばしているのはネットによる参加者のパワーであり、民間サイトの企業努力によるものが大きい。現場の施行者の声を聞くと、全体の伸びと施行者としての利益率の乖離もあり、ただ喜ぶという状況ではないのが現実のようだ。
現在進行形で動いている競輪の活動による売り上げの伸びには限界もあるだろう。無論、それをとどめないような努力が続けられるわけだが、総量が増え続けるとは考えづらい。
ミッドナイトやモーニングの開催日数の増加が大きな役割を果たす中、これもまた増え続けるわけではない。年間の日数が決められている中、広がりをどこに求めるかがカギになってくる。
開催日数と節数、ネットでの広がりがピークアウトすると想定すれば、さらに何かを増やさないといけない。漫然と節数や民間サイトの伸長にゆだねるだけでなく、コロナ禍を超えて、本場の存在意義を増すことで、競輪としての全体体力をつけることが必要だと思う。
2022年11月27日に武雄競輪場で「11BANK(わんわんバンク)」という動物愛護の活動が行われた。
史上初となるバンク内にドッグランを設営し、動物たちと楽しめるイベントもあり、また譲渡会といった保護活動も行われた。
地元の選手会も協力して、競輪ファンだけでなく、地域の家族連れなどが競輪場に来る機会を生み出した。当日は本場のレースはもちろんないのだが、「こんな場所で、こんなことをしているんだ」と知ってもらうだけでも、競輪場との距離は縮まる。
『車券を買う』という行動に関しては各種ポイントサービスもあり、競合する状態。本場で買ってもらうことも強調しつつ、本場では「他の付加価値がある」ことを打ち出さないといけない。
売り上げ増の報を喜びつつ、それでいて今ある問題点や、将来への施策を具体的に考えなければならない。まだ終わろうとしないコロナの時代にどう先を切り開いていくか、本場の入場者数の減退、本場の衰退が影を落としているように思う。
武雄のように動物愛護の人たちとつながる、または地域のスポーツ団体と、もしくは科学実験の団体と、お笑いの活動と、吹奏楽の、音楽団体と…、様々な活動が各競輪場で行われていることが、切り開く可能性を秘めている。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。