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猪突猛進

【清水裕友コラム】 “しびれる”グランプリ争い「地元記念と競輪祭、この2場所で今年が決まる」 #12 猪突猛進

2022/10/29 (土) 18:00 32

寛仁親王牌は準決勝6着で決勝進出ならず。しかし、グランプリ2021のメンバーが激突した初日の「日本競輪選手会理事長杯」で白星を挙げ、2日目の「ローズカップ」も3着ながら大いに見せ場を作った。今回は寛仁親王牌の振り返りを中心に、間近に迫った地元記念、さらには今年最後のGI・競輪祭に向けての思いなどをお届けします。最後はお便りコーナーも。

(撮影:島尻譲)

ーー寛仁親王牌、お疲れ様でした。自転車を替えて臨んだそうですね。

 松阪記念が終わってから、練習での感じが良かったやつで行った。去年くらいに何回か乗ったやつ。

ーー練習では何台くらい試したんですか?

 3台かな。その中で感触の良かったもので。

ーー理事長杯は松浦悠士選手の後ろ回りでした。

 最終的には僕が後ろでいいですか? っていう流れで。吉田(拓矢)君がカカってて強かったですね。松浦さんのおかげで1着が取れて良かった。

(撮影:島尻譲)

ーー2日目のローズカップは松浦選手と並びが逆になりました。

 どうします?ってなって、初日に(前を)行ってもらったし、自分も自力じゃなかったから感触もわかってなかった。それで自力で行ってみようと。

ーー初手は前受けになりました。

 自分が前受けにはならないだろうと思っていたんだけど…。まさか(スタートで)けん制が入るとは。中団を確保したと思ったら、新田(祐大)さんが行って、今度は(単騎の)郡司(浩平)さんに掬われて…。ダメ元でしかけてみようってなった。

ーーライン4車で駆けた新田選手を捲る形になりました(清水は3着で、後ろの松浦が1着)。

 郡司さんに掬われたのが逆に良かったかも。捲り切れているので進みは悪くないけど、まだまだですよ。めちゃめちゃいいわけではないけど、4車を越えられたので悪くはないかな。

“ゴールデンコンビ”松浦悠士(黄)との呼吸はバッチリだ(撮影:島尻譲)

ーー以前に、自転車に乗っている感じが良くないという発言がありました。その辺はどうですか?

 一番悪い頃に比べたら多少は良くなってる。自転車と言うよりは体の面。乗車フォームだったりを良くなるように意識して、練習から取り組んでいる。

ーー準決勝は残念ながら6着。それでも攻める姿勢が伝わりました。

 関東ライン3人を出してしまったら番手捲りされてキツくなる。九州ラインも番手捲りが打てる布陣だったし、前々に攻めないと、と思ってた。結果的に脚を溜める方が良かった展開になってしまった。読み違いもありましたね。

ーーといいますと?

 踏み合ったら内の方が有利だと思ってしまった。外の坂井(洋)君が出切ると思わなくて…。もう少し周りを見る余裕があれば違ったかもしれないけど。難しかった。前も下がってきて、内に詰まって万事休す。

「読み違いもありました」準決勝は痛恨のレースとなった(撮影:島尻譲)

ーー最終日の特別優秀。スイッチした成田和也選手に差されはしましたが、捲りを決めて意地を見せてくれました。

 負けた後の最終日が良くないことが多い。桑原(大志)さんや松浦(悠士)さんからも“負けた後が大事”っていう指摘も受けていたし、なんとか気持ちを切り替えて走れたと思う。

ーーあらためて寛仁親王牌の4日間を振り返ってください。

 前橋が好きというのもあるけど、調子も悪くなかった。今年のGIでは一番動けたと思う。だからこそ準決勝が不完全燃焼に終わって悔しいですね。

ーー光が見えたように感じますが。

 続けばいいですけどね。

「今年のGIでは一番動けた」(撮影:島尻譲)

ーー寛仁親王牌から中1日、玉野競輪場で中国地区プロ選手権があったそうですね。

 今年はスプリント(昨年はケイリンに出場)。2年前の決勝で負けた河端(朋之)さんにリベンジできたけど…。

ーーけど…が気になります。河端選手とは決勝ではなかったのですね。

 河端さんとは準決勝。決勝は移籍してきた隅田(洋介)さんに負けた。

ーースプリント初制覇は持ち越しですね。

 残念。まぁスプリントで6本くらいもがいたので、いい練習になった。

(撮影:島尻譲)

ーーさて、11月3日からはいよいよ地元の防府記念です。5連覇が懸かります。昨年大会後には、来年はいいかなって言葉もありましたが。

 走るからには勝ちたい。5連覇を狙っていきたい。ちょうどキリもいいし。4回出来たんで、5回も出来るでしょ。最低でも山口県以外から優勝者を出さないようにしたい。

ーー5連覇を狙う上で、何かポイントみたいなものはありますか?

 特にはない。気持ちだけ。優勝したいっていう気持ちだけですね。ここだけはっていう思いはあります。

ーー自転車は寛仁親王牌で使用したもので臨む予定ですか?

 基本的にはこの前の自転車で。ただドームは全然違うし、寒くもなってきたのでいろいろと考える。替えるとしてもちょっと違う程度だと思う。

ーー今年もいいメンバーがそろいました。

 それは毎年のことなので。あまり気にしてない。

ーー相手どうこうより、自分自身が、ですね。

 気持ち入れてやるだけです。

5連覇がかかる防府記念「(今年も)気持ち入れてやる」(撮影:島尻譲)

ーー防府記念を最後に、防府競輪場ではしばらく開催がなくなります。

 改修が始まって来年はない。防府競輪場で防府記念はないですからね。

ーーその辺も踏まえて、ファンの方にメッセージをお願いします。

 とりあえず2年くらい防府で競輪がないので、多くのファンに見に来てほしいですね。

ーー地元記念の後は今年最後のGI・競輪祭もあります。賞金ランクは9位になりました。その辺りについてはいかがですか?

 どっちにしても競輪祭で下の選手が取ったらダメ。抜かれる時は抜かれる。こればっかりはどうしようもない。いくら稼ごうが、下がタイトルを取ったらはじかれる。自分が取れるようにやっていくしかない。逆に開き直れる。なるようにしかならない。

ーーまさに、清水選手がよく口にする“なるようにしかならない”ですね。

 もう地元記念と競輪祭。どっちにしてもこの2場所で今年が決まる。なんとか、この2場所を頑張ってみます。なるように頑張ります。

5年連続のグランプリ出場へ、しびれる戦いが続く。内容や動き的には確実に光が差し込んできている。まずは4連覇中の地元記念で結果を残して、最終決戦に向かいたいところだ。

「2年くらい防府で競輪がないので多くのファンに見に来てほしい」(撮影:島尻譲)

読者から届いた質問コーナー

ーー渡邉雄太選手と松阪で同開催でしたね。どんな話をしましたか?

 松阪も親王牌も一緒だったけど、雄太が分宿だったんですよね。なのでご飯や風呂の時間が違って、あまり接点がなかった。同じ宿舎なら一緒に風呂に行ったりもしますが…。防府も競輪祭も一緒なので、またゆっくり話す機会はあると思います。

ーー松浦さんをはじめ色々な方から「裕友」と呼ばれていますよね。ファンである私たちが応援するときも「裕友〜」って声かけしてもいいですか?

 下の名前で呼ばれる方がうれしいので大歓迎です。

ーー昔から下の名前で呼ばれることが多かったんですか?

 半々くらいでしたね。

ーー同級生の大谷翔平選手の年俸43億円はどう思いますか?

 凄すぎて、もはやなんとも思わない。僕がいくら頑張っても稼げる額ではないので。現実じゃないみたい。凄いという額を超えてますね。

(撮影:島尻譲)

ーーいわき平での(佐藤)慎太郎選手との連係はエピソードを知るファンには胸にくるものがありました。連係してみてどうでしたか? また連係する機会があればどんなレースをしたいですか?

 前回は初連係で(気持ちが)上がった分もあってフカしすぎた面もある。次に一緒に走る機会があったら、ラインで決められるように頑張りたいですね。

ーー前人未踏の4連覇から一年、もうすぐ防府記念ですね。もちろん5連覇してくれると信じていますが、今年の出場予定メンバーに佐藤慎太郎さんの名前が。出場予定メンバーを見て清水選手はどう思いましたか?

 特にはないけど…。これまで何度も一緒に走ってますし。慎太郎さんと一緒の配分だからといって、そこまでの意識はない。正直、自分のことで精いっぱい。

 でも、防府で一緒に走ったことはないかも。慎太郎さんのファンはどこに行っても凄いですよね。小さいときに僕が防府で出待ちしていたあの慎太郎さんと防府競輪場で走れるのは感慨深いものがある。

ーーnetkeirinは見ていますか? 選手コラムは見ますか?

 見たり見なかったり。タイミングが合ったりしたら見ますよ。いやー特に何もないけど、みんな頭いいんだろうなって思って見てますね。

(撮影:島尻譲)

(取材・構成=netkeirin編集部)

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清水裕友

Hiroto Shimizu

清水裕友(しみずひろと)。山口県防府市出身。105期。日本競輪選手会山口支部所属。師匠は國村洋。ビックレースはGI「読売新聞社杯全日本選抜競輪」(2020年)、GII「サマーナイトフェスティバル」(2020年)、GII「ウィナーズカップ」(2021年)。

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