ーー決勝に勝ち進んだ小田原記念後に、青森記念に追加参戦。あまり追加で走る記憶がありません。

　A級時代はあったかな。特進(特別昇級)して以外ではS級ではない。S班になってからももちろん初めて。

ーー(追加を)受けたい気持ちがあったんでしょうか？

　直前の練習で使っていた自転車の感じが良くて、共同(通信社杯)で使いたいなぁって思ってて。でもあっせん的にぶっつけ本番になっちゃう。冗談で桑原(大志)さんに“青森記念、追加が入ったらよろしくお願いします”って言ってたら、本当に(追加の)連絡があった。

ーー以前につくってお蔵入りしていた自転車だったと聞きました。

　そう。ちなみに(今年の)オールスターの前にも乗ってみたけどダメだった。そのまま競輪場に置いてて、ふと乗ってみたらマッチしたんでびっくりした。

ーーその自転車で青森記念へ。そして青森では新車でも戦ったそうですね。

　ちょうど新車が来るタイミングだったんで、せっかくならと思って青森に送ってもらった。

ーー青森記念の決勝は、S級S班の郡司(浩平)選手、吉田(拓矢)選手だけでなく、話題のスーパールーキー・中野慎詞選手とも対戦しました。

　あのクラスになるとみんな強いですからね。ただ、あの決勝は思っていた展開と違っちゃって…。

ーーやりづらかったとかありましたか？

　やりづらさとかはない。注目を集めているから、プレッシャーはあるんだろうなと思って見ていた。それにしても凄いよね。負けなしの30連勝。(デビューから)まだ1年も経っていなくて。楽しいでしょうね。

ーー一緒に走った清水選手から見て、中野選手の凄いところはどういったところなのでしょうか？

　共同の二次予選(A)で強引に仕掛けてきて番手にはまれた。永遠に踏めるんだろうなぁとおもって見てたけど、4コーナー勝負じゃ面白くないし、力を出し切ろうと番手から出て行った。レースを見てて強いのは知っていたけど、データがあまりなくて怖かった。タレてくるのか来ないのかとか、データがある選手ならなんとなくわかるんだけど。どちらにしても強いのに変わりはないですね。

ーー2台の自転車ですが、共同通信社杯と向日町記念はどう使い分けましたか？

　共同は以前使っていた自転車で行って、向日町は新車で。(寛仁)親王牌の前に松阪記念(7〜10日)があるので、そこでもいろいろとできる限りのことをやって、親王牌に行きたい。

ーー自転車へのこだわりはどのあたりの部分なのでしょうか？

　乗ったフィーリングですかね。重たいと思ったらダメ。基本はビルダーさんと相談してつくって、ある程度のベースがあって、来てからあわせていく感じですかね。今回の新車は全くの別もの。硬くて重め。興味本位でつくった。

ーー共同通信社杯は残念ながら準決勝敗退。そして向日町記念では初日特選と決勝で脇本雄太選手との対戦もありました。

　(脇本が)強かった。脇本さんと戦って、課題がもろに見えた。レースでより明確にわかった。とプラスにとらえたい。

ーー今年も残すGIはあと二つ(寛仁親王牌、競輪祭)になりました。

　とにかく目の前の一戦一戦に集中していく。見苦しいレースだけはしたくない。最近は動けているとは思うので、あとは脚の問題かな。

ーー先月のコラムでは、自転車にうまく乗れないという悩みがありました。

　ちょっとずつマシにはなってるけど、乗ってる感じはまだまだ。状態が上向いている感じはあるけど、サドルに(うまく)乗れてない感じ。

ーー話題はがらっと変わりますが、応援する中日ドラゴンズの福留孝介選手が引退を表明しました。

　青森記念の時の新聞で読んでショックだった。小学生の時の大スターなので。FAでメジャーリーグに行ったときは泣きそうなくらいショックでした。でも日本球界に戻ってきて、最後はドラゴンズのユニフォームを着てくれて。ファン的には嬉しかった。

ーー福留選手の言葉に感銘を受けたそうですね。

　現役最後の試合に臨んだ後の手記の中で“不確定な未来を憂うことはなかった”というのがあって。あぁそうだな、憂いても仕方ないんだな、と。

ーー(心に)刺さりましたか？

　珍しく人の言葉で刺さった。あまり文章とか見ても頭に残らないけど…。自分の状況にもなんとなくタイムリーな感じで。あの言葉は刺さりましたね。

ーー引退といえば競輪界でも大ニュースが。村上義弘さんが引退を発表しました。

　自分みたいなペーペーが何か言うのはおこがましいので…。福留選手にしても村上さんにしても、小学生の頃から見てた人たちが引退するっていうのは、自分も歳をとったんだなぁって実感する。

ーー以前に、向日町記念での村上義弘選手への声援が凄いって話していたのを思い出します。

　とにかくファンが熱い。ファンの熱が凄かった。あれが好きだった。よその記念であぁいう思いになるのはなかなかない。

ーー村上義弘さんとは話をすることとかもあったんですか？

　何度か、自転車のこととかお話しさせてもらったりしました。僕が村上さんのカラーでもある薄い水色の自転車をつくったこともあって。でもマッチしなくてやめたんだけど。そういう話とかもしたことがあります。そうしたら“清水は赤い自転車のイメージ”みたいに言ってくださったのを覚えてます。結局、白い自転車に乗ってるんですけどね、今は。何度も一緒に走らせてもらったし、いろいろな話もできた。嬉しかったですね。

ーー最後になります。今月は寛仁親王牌、来月には地元記念もあります。ここからの意気込みをお願いします。

　なんとか松阪(記念)で答えを出して、親王牌に行ければ。気合も入ってきて、練習も頑張ってるところなので。頑張ります。応援よろしくお願いします！

【読者から届いた質問コーナー】

ーー清水選手のオススメの防府のおこいさんに行きました。凄く美味しかったです。他に防府に行ったときにオススメのお店があれば教えてください。よろしくお願いします。

『ドルフィン』というラーメン屋です。こってりのとんこつ。美味しいですよ。防府市内にあって、競輪場から車で10分から15分くらいかな。

ーー稽古に来ている取鳥雄吾選手とどんな話をしますか？

　普通に自転車の話とかですかね。服を買いに、一緒に電車で岡山まで行ったりもしました。僕が服に無頓着なので、雄吾に教えてもらって。

ーー犬伏湧也選手と連係が実現しましたね。犬伏選手はどんなタイプの選手ですか?これまでに似たような選手はいましたか？

　ゴリゴリ系ですね。連係はできたけど、初手から(南修二と)競りというのもあって、よくわからない部分もあった。付けきった3コーナーでは失速していたけど、4コーナーからの踏み直しが凄かった。後ろから見ててもわかるくらいに。太田竜馬君とはちょっと違う感じなのかな。

ーー競りのワードが出てきました。ちょうどそれに関する質問が来ています。競りってどうですか？ これまでに競られた思い出がありましたら教えてください。

　初手から競られたのは今回が2回目。1回目は19年の高知記念決勝。(取鳥)雄吾-僕-松浦(悠士)さんで並んで、諸橋(愛)さんに競られた。あまり粘られたこともないですね。

ーー諸橋選手に、南選手ですか。

　なかなか濃いところですね。今回に関しては外にいなきゃいけなかった。山賀(雅仁)さんが上がってくれたから内を行けたけど…。

ーー勝利者インタビューのときに、大胸筋が凄いことになっている、と競輪番組がザワつきました(加藤慎平さんがびっくりしてました)。なにかとてつもないトレーニングとかしているのですか？

　太っただけじゃないですか(笑い)。脂肪だと思う。体重自体は増えてないですけど。今は少し絞ってるところです。

ーー今年はほぼヨコの動きを使っていないと思いますが、なにか理由はありますか？

　うーん。あまり以前もやってた意識はないんだけど。まぁ大事なときまで取っときますわ。たしかに、いろいろな選手から“位置取りが淡泊になってる”と言われたりはしますね。

ーー平原・松浦型か、脇本・深谷型、この先の自分はどちら寄りだと考えていますか？

　オレはオレ。オレ流です。

ーー皆が他地区の記念決勝で石塚輪太郎選手と渡邉雄太選手と3人でラインを組むことになったとします。そのときの並びは？

　非現実的すぎますね(笑い)。うーん、輪太郎を行かせて、雄太にハコ捲りさせますわ。

ーーで、一番オイシイところを持っていく？

　ですね。輪太郎には(残り)2周から突っ張らせます(笑い)。

(取材・構成=netkeirin編集部)