2022/09/11 (日) 12:00 41
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
青森競輪みちのく記念善知鳥杯争奪戦決勝メンバーが出揃いました。
今節は、中野慎詞(岩手・121期)がGレースでどこまで通用するのかが注目されました。結果は、3連勝で決勝進出して連勝記録を30に伸ばしました。レース内容も申し分なく将来性も感じました。
ただ、ここから誰もが経験することですが、トップの選手は新人選手には特に厳しく戦います。そこで揉まれてどこまで強くなるのか、まだまだこれからではありますが素晴らしい逸材が現れました。決勝戦は、新山響平を連れて発進するレースはして欲しくありません。ファンが求めているのは新しいスーパースターです。スーパースターとはファンが期待する以上のレースをする選手です。発進、番手捲りを繰り返して、タイトルを量産する選手はただのスターです。中野浩一さんや滝澤正光さん、吉岡稔真くん達は自分で獲るからこそスーパースターでした。そんな選手になって欲しいですね。
メンバー、ライン構成は以下の通りです。
①中野慎詞(岩手・121期)ー⑤新山響平(青森・107期)ー⑥内藤宣彦(秋田・67期)
②清水裕友(山口・105期)ー④三谷将太(奈良・92期)
⑨郡司浩平(神奈川・99期)ー③和田真久留(神奈川・99期)
⑦吉田拓矢(茨城・107期)ー⑧椎木尾拓哉(和歌山・93期)
①中野以外のラインの先頭選手は全員S級S班です。中野が優勝するくらいなら他の誰か…の気持ちで走るでしょう。①中野は前受けから突っ張る選手なので、②清水、⑨郡司と続いて、後ろ攻めは車番が悪い⑦吉田と考えます。
S.①⑤⑥ ②④ ⑨③ ⑦⑧
のんびり後ろから押さえようとすると①中野は突っ張るので、富山記念決勝の松浦悠士(広島・98期)のように、かまし気味で北日本ラインを叩くと思います。そこに⑨郡司や②清水は切替えて続くでしょう。逆にそうでないと、北日本が主導権を取って新山優勝で終わってしまいます。
打鐘.⑦⑧ ⑨③ ②④
①⑤⑥
←①⑤⑥
H.⑦⑧ ⑨③ ②④
先行態勢に入っている⑦吉田拓矢は、準決勝で①中野にかまされました。しかし、あの踏み方は千切れ待ちだったので、全力ではなかったと思います。①中野はここからS級S班の波を越えられるでしょうか。
←①⑤⑥
←⑨③ ②④
B.⑦⑧
この上を①中野が捲るのはちょっと苦しいかと…。郡司が3番手捲りで優勝に近いと考えました。
・狙い目
9=3ー248
前受けから①中野が突っ張ったら、⑤新山が有利ですね。
・狙い目
5ー6=24
「自力ー自力で並ぶと発進しなければいけない」という謎のルールがスーパースターの出現を阻んでいます。番組も、2次予選、準決勝と新山に若手自力選手を与えました。今の新山に目標がいるでしょうか。かえって番手を狙われてラインとして弱くなっています。地元看板選手を勝ち上がらせたい、S級S班を勝ち上がらせたいから「馬を付ける」という安易な番組作りも、若手選手が活躍しづらい状況を作っています。自力選手なら自力で勝ち上がらせて、決勝で連携させるくらいの放任主義の方がレースは面白くなり、番手捲りばかりのレースが減ると思います。中野にはスーパースターの道に歩んでもらいたいですね。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。