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伝説ヤマコウ 炎のレース展望

【共同通信社杯予想】平原、松浦、郡司…S班自力の中で仕掛けられる選手は!?/ヤマコウ展望

2022/09/19 (月) 12:00 24

記録にも記憶に残る名選手だった、ヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。初心者にもわかりやすい展開予想は必見です。今回は共同通信社杯決勝を取り上げます。

勝負所で躊躇なく仕掛けられる選手は?

 名古屋共同通信社杯決勝メンバーが出揃いました。「若手の登竜門」と呼ばれる所以は、出場資格が「105期以降の各期卒業の選手のうち、平均競走得点上位者から順次25名」という文言があります。若手が活躍するのではなく、若手が出場しやすいということですね。実際、決勝戦は20歳台はゼロ。ベテランの壁を打ち破ることはできませんでした。

 決勝メンバー、ライン構成は以下の通り。通りです。

①平原康多(埼玉・87期)ー⑨武藤龍生(埼玉・98期)ー④神山拓弥(栃木・91期)
②松浦悠士(広島・98期)ー⑥柏野智典(岡山・88期)
③郡司浩平(神奈川・99期)ー⑤和田真久留(神奈川・99期)ー⑧内藤秀久(神奈川・89期)
⑦佐藤慎太郎(福島・78期)

 徹底先行型や、2段掛けのラインがいません。徹底先行型はルールが変わるに従って減りました。そして今主流なのが、捲りをメインに戦い、時に番手もこなし、タイミングが来たら先行もする自在型です。

 競輪の醍醐味は「人間が走る自転車で展開を読む」ことです。世界にルールを寄せた結果が「自力選手はいるけれども誰が先行するのか分からない」という結果になっています。昔の徹底先行型は、今の2段掛けに形を変えてレース展開を支えています。次第に徹底先行型は消えて、昔の価値観で「先行しろ先行しろ」と言われます。ルールの前提が違うのだから、先行でタイトルを勝ち取るには脇本雄太のようなズバ抜けた脚力がない限り難しいでしょう。

 その中で、誰が最終的にバックを先頭で通過するでしょうか。私は②松浦だと考えます。その理由の一つが、近況の②松浦はちゃんと仕掛けるべきタイミングで仕掛けられていることです。

 例えば準決勝、主導権は眞杉匠(栃木・113期)が取りました。インで古性優作(大阪・100期)が粘り隊列が短くなったとはいえ、今の眞杉を叩くのは勇気がいることです。ましてや今年の名古屋記念決勝、松浦は眞杉に合わされました。しかし準決勝は、躊躇する理由がありながらも、ためらうことなくホームから仕掛けました。決勝インタビューでも「自分が勝つことだけ考えたら仕掛けるタイミングを逃すので、その時が来たら迷わず仕掛ける」と明言しています。

 対して枠がいい①平原はどうでしょう。1番車なので、最優先で初手に取り組めることが仇となるのではないかと考えます。逆に「枠が悪い」両者の方が先行するのではないか。③郡司は賞金争いに出遅れ「勝ちたい」との思いが強すぎ、決勝は力を出し惜しんで敗退するシーンが目立ちます。枠が1番悪い③郡司は後ろか前しかありません。ペースがあまり上がらないので、前受けする選手は打鐘過ぎでもう一度先頭に立てると思います。優先的に前を取れるのは①平原です。

       ←③⑤⑧ ⑦
S.①⑨④ ②⑥

          ←①⑨④
打鐘.②⑥ ⑦ ③⑤⑧

H.①⑨④ ⑦ ②⑥ ③⑤⑧

 打鐘4角までレースがスローペースだと、③郡司がかますタイミングになりますが、近況の決勝戦で仕掛けられない所が引っ掛かります。5番手からホーム捲りを敢行するのは「タイミングを逃さない」②松浦ではないでしょうか。

     ←③⑤⑧
B.②⑥ ①⑨④ ⑦

狙い目
②ー⑥=①③⑦
②ー①=③⑨⑦

 自力選手の力が拮抗して難解なレースとなりました。タイミングを逃さない選手は誰かを見極める貴重なレースです。

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山口幸二

Yamaguchi Kouji

岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。

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