2022/07/18 (月) 15:00 24
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
第18回サマーナイトフェスティバルGII、決勝メンバーが出揃いました。
準決勝10Rは吉田有希と町田太我、11Rは眞杉匠と犬伏湧也の先行争いがレースを盛り上げました。ファンの方も、先行選手として「どっちが強いのか」を、車券とは別で楽しめたと思います。
欲を言えば、追い込み選手同士の位置取り争い=競りも見たいですね。「スピード競輪で競りは流行らない」と言いますが、先行争いだって、普通に考えたら勝ち目は薄い。だけど、自分のプライドやラインの為、そして「こいつと先行争いしたら着がないな」と思わせるまで戦う。追い込みだって、目標がなく後ろに後輩や仲間が付いたら、勝負しなければいけない時はあると思います。競輪は人間が走る以上必ず格付けされています。流行らないけれど、対戦相手に怖がらせることはプロとして大切な要素です。そういう意味で、勝ち負けには関係なく、町田と吉田、眞杉と犬伏はよくやったと思います。これからどうなるか楽しみです。
ライン構成は以下の通り。
①新田祐大(福島・90期)ー⑦佐藤慎太郎(福島・78期)
④森田優弥(埼玉・113期)
⑥岩本俊介(千葉・94期)ー③和田健太郎(千葉・87期)
⑧山田英明(佐賀・89期)ー⑤荒井崇博(佐賀・82期)
⑨犬伏湧也(徳島・119期)ー②松浦悠士(広島・98期)
自力選手が5人いますが、⑨犬伏の先行一車と言っていいでしょう。眞杉の上を叩いたのですから大したものです。その前の小松島記念も、決勝には勝ち上がれませんでしたが、レース内容は良かったです。犬伏は、自分で踏み上げるより、スピードをもらってさらにギアアップできるタイプなので、かまし先行になるでしょう。しかし、前受けすると横ができない犬伏は、一旦8番手まで引いて巻き返さなければならないので、勝機を逃すリスクがある。前中団か後中団が理想かと。フタされるリスクが少ない後中団がいいかな。
問題は①新田の位置取りです。確実に犬伏ラインの3番手を取るなら⑨犬伏の前か後ろですが、前受けすると8番手になる可能性があります。それは⑥岩本や⑧山田も同じ。考えた結果、前受けは①新田で考えました。根拠は準決勝の前受けです。あの位置は中川誠一郎に叩かれたら、8番手になるにも関わらず前から進めた。ということは、負傷後でも初手はあまり考えず自分の勘を信じてレースを進めているのでしょう。①新田が前だと⑨犬伏は後中団で、後ろのラインの動きを待ちます。後ろは位置取りが命の⑧山田ラインだと思います。
S.①⑦ ⑥③ ④ ⑨② ⑧⑤
打鐘.⑨②
⑧⑤ ④ ①⑦ ⑥③
←⑥③
B.⑨② ⑧⑤ ④ ①⑦
この態勢になると他のラインの巻き返しは難しいでしょう。3番手の⑧山田も優勝が狙える位置なので、②松浦の動きに懸けると思います。位置が悪くなった①新田の捲りは警戒したいですね。
・狙い目
2ー9ー854
2=1ー7934
②松浦は簡単そうに追走していますが、平原が決勝に乗れなかったのは、松浦が上手かったからです。犬伏が眞杉をバックで捉えた後、平原に当たられても負けないように素早く肩を前に出したり、4角から犬伏の横スレスレを抜きに行って、平原のコースを作らなかったりと地味なテクニックが満載されていました。今年、まだビッグの優勝がないですが、地元中国地区なので確実に優勝を狙いに行くと思います。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。