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前田睦生の感情移入

【全日本選抜競輪】郡司の異名は“ハマのエース”、パリを狙う男たちの異名とは?

2021/02/19 (金) 12:00 4

若かりし北津留翼。世界を驚かせた豪脚を誇る

北津留翼の復活は日本の光

 北津留翼(35歳・福岡=90期)は2008年の北京五輪に出場した。その際に北津留は結果を残せなかったが、永井清史(37歳・岐阜=88期)がケイリンで銅メダルを獲得し、日本中を歓喜で沸かせた。しかし、日本発祥の種目であるケイリン。金メダルこそが悲願だ。今夏、新田祐大(35歳・福島=90期)と脇本雄太(31歳・福井=94期)が挑む。女子では小林優香(26歳・福岡=106期)が挑戦する。

 北津留はナショナルチームを離れてからは、家族でマウンテンバイクなどの大会に出るなど、多岐にわたる自転車活動に注力している。自身のお子さんや面倒を見ている子などが、「将来、五輪に出場するかもしれない」という。写真は北京五輪の4か月前、2008年4の時のものでだいぶ痩せている。23歳の若かりし頃の翼だ。

7車立てが追い風になり、9車立てでも

 コロナ禍にあって、7車立てのレースが増えた。細かい作戦に頼らない北津留なので、シンプルなスピード勝負の方が得意だ。しかし、7車立てで結果を出したことが、9車立てにもリズムを生んでいる。東京五輪2020出場内定選手の新田、脇本がいない大会だが、“そうだ!この男がいた”と、思わせてくれるだろう。

 高校時代にはジュニア世界選手権でケイリンとスプリントの2冠。ナショナルを離れた後、単騎登録でやってきた外国人選手が「Oh,Tsubasa!」と懐かしそうに話しかけていたほどだ。本人曰く「漢字が苦手」ということだが、ふんわりとした英語でやり取りしていた。確かに、ひらがな、カタカナ、漢字と複雑極まりない日本語に比べればアルファベット26文字は効率的だ。

そういえば、エスペラント語ってどうなったのかな…。

パリを狙うオリンピック級の男たち

仏の道は、パリに通ず

 今大会には、東京五輪出場はかなわなかったが、現在まさに2024年のパリ五輪を目指し、ナショナルチームで鍛練を積む選手たちも出場する。新田、脇本超えを狙う存在だ。筆頭は代表リザーブの深谷知広(31歳・静岡=96期)で、松井宏佑(28歳・神奈川=113期)、山崎賢人(28歳・長崎=111期)に、新山響平(27歳・青森=107期)、寺崎浩平(27歳・福井=117期)と多士済々。

 やはり今シリーズ一番の注目は深谷だ。1月静岡に移籍、南関の選手として戦う川崎でのGIだ。あまりにも楽しみだ。豊橋記念を走ったことで、競輪の感覚にも多少なじんだだろう。あの4走が大いに川崎につながるはず。深谷は“怪童”と言われたことは、前のコラムで書いたが、北津留は“怪物くん”と呼ばれていた。
▶︎深谷の“怪童”秘話はこちらの記事からどうぞ

それぞれの異名

 松井は仏教にまつわる男なので“Super Budda”・“速い仏”。山崎はヘアースタイルと異郷趣味ある長崎にちなみ“エキゾチックアフロ”、新山は師匠の坂本勉さん(引退=57期)が1984年ロサンゼルス五輪のスプリントで銅メダルを獲得し、“ロスの超特急”と呼ばれたことから、“みちのくエクスプレス”の名がついている。寺崎は菊池岳仁(20歳・長野=117期)とともに史上初の早期卒業生としてデビュー、強烈な活躍ぶりから“令和の怪物”と称される。

 菊池は今期からS級参戦の身。まだ“信州鬼修験”などの異名はついておらず、愛らしさから“スーパーたけちゃんマン”とか“スーパーたけとくん”と柔らかい表現になっている。これからの走りぶりで、どんな異名を取るのか、楽しみだ。

平原がつけた中川の異名とは

深谷と中川は熊本競輪再興を誓い合う盟友でもある

 ナショナルチームを離れて久しいが、ロンドン、リオ五輪に出場した中川誠一郎(41歳・熊本=85期)が小倉FIで衝撃の復活を遂げていた。決勝の上がりタイムは10秒7。展開もよかったのだが、準決の走りを見れば、脚が戻っていることは間違いない。平原康多(38歳・埼玉=87期)がつけた“肥後の気分屋”の気分が表に出れば、2019年別府以来の当大会制覇も十分ある。

 ちなみに今回の主役・郡司浩平(31歳・神奈川=99期)は“ハマのエース”だ。横浜生まれからくるものだが、非常に頼りになることから、男たちの名車“ハイエース”を思わせていることも忘れてはならない。

 中川や北津留などの元ナショナル戦士が活躍すれば、現役勢はより、燃えるだろう。日本一の選手が世界で戦うことこそが、日本代表の意味。新田、脇本がいない時に、誰が存在感を見せられるかにも注目だ。代表2人がいなくてもナショナル勢が席巻するのか、いや、そうではないのか…。

第10回全日本選抜のウエア。着ているのは引退した59期の関根幸夫さん

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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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