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太田りゆ“ノーメイクな私の本音”

【太田りゆ・パリ五輪への挑戦】すべてを出し切って勝利した“1本”は今までの景色を変えた/2022 UCIネイションズカップ・カナダ大会結果報告

2022/05/31 (火) 18:00 16

ネイションズカップ第2戦に出場した太田りゆ選手(photo by Takenori Wako)

 ネットケイリンの読者のみなさんこんにちは♪♪ 太田りゆです!٩(ˊωˋ*)! 5月はカナダのミルトンでネイションズカップ(ワールドカップ)が開催されました! まずはいつも応援してくれているみなさんへきちんと結果報告からですね。チームスプリント6位、スプリント 8位、ケイリン 17位でした。今回は一番の収穫を得たスプリントを中心に詳しく振り返ってみたいと思います!

スプリントで成果が出てきた

 チームスプリントはまだまだ発展途上という印象。ケイリンの結果はむむむ(´・ω・`)。。。でした。しかし今回は個人スプリントで、とにかく大きな収穫があったので、ポジティブな気持ちで帰国することができました!

 競輪が主流の日本ではスプリントはあまり知られてない競技かもしれませんが『1対1で250mのバンクを3周し、速くゴールした方が勝ち』という種目です。レース直前にくじを引いて、前か後かの位置を決めます。スプリントは力と力の真っ向勝負。スピードとテクニックで勝ち上がって行きます。

 予選は200mのタイム計測から。そこから1番速い人と1番遅い人、2番目に速い人と2番目に遅い人、3番目に速い人と3番目に…という風に組み合わせて行われるトーナメント形式です。なので、タイムが速くなればなるほど、勝負は楽になり、勝ち上がりにも余裕が生まれます。

 私の今回の予選タイムは10秒837で、全体で11位でした。タイムは自己ベストの10秒791を越えることを目標としていたので残念な気持ちもありますが、日本人ではトップのタイムでしたし、自分よりも上のメンバーを見れば今の私にとっては妥当な順位だったように思います。

自己ベスト更新とはならなかったが、メダリストで占めるランキングに名を連ねた(photo by Takenori Wako)

 まずは1人目となる1/16決勝では予選16位のアイルランドの選手と対戦しました。ここは格下との対戦になるので負ける訳には行きません。しっかり順当に勝ち上がりました。

 2人目の1/8決勝では予選6位通過の中国の選手との対戦でした。彼女は東京オリンピックでチームスプリントの金メダリストです。予選のタイム差は約0.1秒。相手は格上ですが「0.1秒差くらいなら勝ちたいと思う気持ちが強いほうが勝つ」と思って勝負に挑めました。そう思える程には練習してきたし、色々なテクニックを携えて戦えると考えていました。

 結果は先行で抑え切っての勝利。たった3周の中ですが、今まで培ってきたテクニックをたくさん詰め込んでの勝利でした。

東京五輪チームスプリントで金メダルを獲得している中国のバオ・シャンジュを力で封じた(photo by Takenori Wako)

 3人目の対戦となる1/4決勝からは2本獲った方の勝ちです。ここでは予選3位通過のカナダの選手との対戦でした。彼女は東京オリンピックのスプリントの銅メダリストで、予選のタイム差も0.2秒以上…。格上の存在です。過去に私は彼女と何度も対戦したことがあり「手も足も出ない選手」という印象を向けていました。

 思い切りよく仕掛けても合わされるし、前に出れない。逃げても差される。今まで何をしても勝つためのプランすら浮かばないような選手です。ですが1本目「ここだ!」というタイミングを見逃さず、今まで走ってきたレースの中でも1番と言っていいほど、思いっ切り踏み込みました。たぶん「ウッウッ!」って声が無意識的に出てきちゃうくらいの渾身の踏み込みです。

 そのまま前に出切って、1周逃げ切って勝つことができました。この1本目の勝利は私の中で大きな意味があります。彼女の前に出切った瞬間の光景は今もハッキリ覚えています。あの瞬間に私のレベルがぐんと上がった気がしました。自分の中で見えているスプリントの世界を大きく変えることになった一戦です。「メダリスト相手にも勝負できる、私は勝つこともできるんだ」という揺るぎない感覚を実感できたレースでした。

“過去イチ”の踏み込み、東京五輪ケイリン銅メダリストのロリアヌ・ジェネに先着した1本目(photo by Takenori Wako)

 2本目は相手にインを取られてしまい、そのまま負け。3本目は前に出切れず負け。(2本先取なので)3本勝負になりましたが、負けてしまいました。

 今回のように強豪ひしめくネイションズカップで1/4決勝まで進出し、負けてはしまったものの「自分の力」で1本取れたこと。1/8決勝では、格上の選手にも強気を押し通して挑めたこと。総合順位は8位という結果ですから、まだまだ倒すべき相手がいますが、順位の数字以上のものが、私の中で得られた大会でした。

メダル争いをするために必要なことが見えた

 そして反省点と課題をしっかりと見つけられたのも大きな収穫です。冷静に振り返れば「最後はもう体力が残っていなかった」と感じています。予選を合わせると1日で6本を120%の力で走りました。

 大舞台でメダル争いをするのなら、ここからまだあと最低でも4本走ることになります。2本で勝負がつかずに3本勝負になってしまえば4本ではなく、6本走ることに。今回、初めて自分の120%を出し切って「こんなに体力と気力が必要なんだ」と身を持って知ることができたのは大きな収穫です。

 もっとタイムが速くなれば勝ち上がりもさらに楽になるだろうし、対策を立てて強くなろうと思います。まずは一段上の景色に狙いを澄まして「ベスト4に進みたい」という気持ちで今後も全力でやっていきたいと思います。

1/16決勝で戦ったオーラ・ウォルシュ(photo by Takenori Wako)

アジア選手権で成長した走りで魅せたい…目指すは「優勝」

 来月18日〜22日にはインドのニューデリーでアジア選手権があります。出場種目の正式発表はまだなのでわかりませんが、スプリントで「優勝」を狙って行きたいです。実はインドは5年前に私が初めて日本代表として派遣された国。嬉しいことも辛いことも本当にたくさんあったけど、一回りも二回りも成長した姿で走ることができそうです。気合い十分に乗り込み頑張ってきます!

 そして! 帰国後すぐ平塚競輪場でガールズケイリンの10周年記念のレースにも出場予定です。突然インドはそちらには難しいかもしれないけど、ぜひ平塚には足を運んで生で応援に来て欲しいです♡ みなさんこれからも応援よろしくお願いします!

6月の激戦を前にオフは美容でリフレッシュ(写真:本人提供)

2022 UCIネイションズカップ第2戦・女子スプリント結果ページ

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太田りゆ“ノーメイクな私の本音”

太田りゆ

Ota Riyu

埼玉県上尾市出身。112期生のガールズケイリン選手。2017年7月、高松競輪場でレースデビューし、初勝利を飾る。同開催では3連勝を果たし、デビュー場所で完全優勝という快挙を成し遂げる。また日本代表・自転車競技選手としても活躍しており、2019年にはワールドカップに出場し、ケイリン種目で銀メダルを獲得。2020年11月には全日本選手権女子スプリントで優勝。国内外のハイレベルな戦いに華麗なダッシュで挑み続けている。趣味はメイクとファッション、パワーの源はコカ・コーラ。

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