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太田りゆ“ノーメイクな私の本音”

【太田りゆの近況報告】弱点克服に挑み続ける毎日! 嬉しかった取手のバンクレコード

2022/04/27 (水) 20:00 11

脚力も目力も強化するのが“りゆスタイル”、今回のテーマはネイションズカップを控える“今”について(撮影:島尻譲)

 ネットケイリンをご覧のみなさん、こんにちは太田りゆです。私は5月12日〜15日開催のネイションズカップに向けて、日々トレーニングをしています。今は昨年出場したチャンピオンズリーグで見つけた課題に取り組んでいる真っ最中で、強くなるために必死の毎日! 今回のコラムは前場所の取手モーニングの優勝報告と海外のライバルたちに向けている気持ちを書いてみたいと思います。

私はとことん頑張らないといけない

 前場所の取手では涙が出るくらい嬉しいことがあったので、ひとつのエピソードから書かせてもらいますね。取手モーニングの前検日に私は自分と同年代くらいの女性記者に声をかけられました。

「新人記者です。あの〜私のこと覚えてますか? りゆ選手が香港ワールドカップで銀メダルを獲得したときに、香港で話しかけて写真を撮ってもらいました。すごく感動して、ずっと応援してました。東京五輪出場がダメになって、すごく悔しかったんですけど、りゆ選手が諦めずにパリ五輪を目指すと話しているのを新聞で読んで、私の中に雷が落ちました。私、競輪の記者になろう! 今のままじゃダメだ! ここで、やらなきゃ女じゃない!って思ったんです! それで記者になって今日ここに来ました」という話をしてくれました。

 私の挑戦を見てくれている女性がいて、その人の仕事・人生にも影響を与えているなんて、すごく光栄な話であり、人の人生を変えちゃうこともあるのか、と考えました。もちろん、香港の空港で女性のファンの方と写真を撮ったことを覚えていました。「わざわざ外国まで応援に来てくれたんだ! イイところを見せられて良かったな〜!」って思ったことを今でも覚えています。

 開催前に熱い思いを受け取れて、本当に力になりました。まわりを巻き込んでの私の再挑戦。「自分だけじゃなく、関わったすべての人を幸せにすること」を選手として改めて考える機会となりました。私はとことん頑張らなきゃいけないなって気合いを入れ直しました!

記者の声かけに気持ちを入れ直しレースに臨んだ(撮影:島尻譲)

取手は完全優勝、これで5場所連続優勝

 そんな嬉しい出来事があった取手モーニングは、①①①の完全優勝で終えることができました。決勝には前回のガールズコレクション優勝者の石井寛子選手がいましたが、今回も完全優勝で決められて良かったです! これで5場所連続優勝、13連勝です⸜((˙꒳˙ ))⸝ワーイワーイ♡

決勝で圧倒的な力を見せつけての優勝(撮影:島尻譲)

 好調の要因はいくつかありますが、自転車競技と競輪を行き来する中で感じていたギア比のギャップ(重い・軽い)が小さくなっていることが挙げられます。自転車が合っていることで感触良く踏み込めているので、力が発揮しやすくなったような感覚もあります。いつも応援してくれるみなさん、なかなか競輪を走る機会が少ない中で、温かく応援していただき、ありがとうございました!

ウイニングランではファンの声援に応えた(撮影:島尻譲)

チャンピオンズリーグで見つけた“弱点”を克服中

 最近、力がついている実感がすごくあります。実はチャンピオンズリーグに参戦した時に海外の選手と自分を比較して、自分の弱い部分に気がつきました。今後の戦いに影響するので詳しい内容は書けないんですけど、自分に足りないパワーや回転数が「数値で見えた」のが大きな収穫でした。

 帰国後、ナショナルチームのジェイソンコーチと相談して、トレーニングを見直し、その「自分に足りていない数値」を改善させるようなトレーニングにシフトしています。追いかけるのが「数値」ですから、目標は単純明快。日々コツコツと目標数値を出せるように取り組み、最近では目指すべきところに届くか届かないか、までにはなってきました。

 海外選手の特定の誰かをライバル視するよりも、海外のトップ選手よりも劣っている部分を見つけ出して、同等かそれ以上にしていくこと。自分と向き合って、前の自分を超える気持ちで頑張っています。

ステファニー・モートン選手のバンクレコードを更新!

取手競輪のバンクレコードを塗り替えた走り(撮影:島尻譲)

 今回の取手2日目のレースでは上がりタイムが11秒5でした。これは2017年にオーストラリアのステファニー・モートン選手が出したバンクレコードを更新する記録でした。

 いつもケイリンを走る時には上がりタイムはぶっちゃけ気にしていません(前が逃げるのが速くて、それをまくればもちろんタイムは出るし)。でも、強くて強くて「ホントにすごい!」と思っていたモートン選手の記録を塗り替えられたことが素直に嬉しく、記録更新を知った時はすごく感慨深い気持ちになりました。

 2017年の頃の私はデビューしたばかりで、モートン選手のことをライバルだなんて言えるレベルでは到底なく、本当に格上の存在でしたからね。今思えば、その時のモートン選手の200mタイムトライアルのタイムと今の私のタイムはそれほど違いがないので、出るべくして出たタイムでもあります。

 モートン選手は引退してしまいましたが、デビューしたばかりの時に「うわぁ(´✪ω✪`)この人強えぇ! すんげぇー!」ってただただ凄さに驚いていたような選手です。私にとって自分の成長を感じられる時は勝った時と同じくらい嬉しいものです。無我夢中ですべての意識をそこに向けている毎日ですから、報われたような気になります。

あの超アスリートも同じ人間、“私でも勝てる”という気持ち

最高峰の選手が集ったチャンピオンズリーグ(photo by UCI)

 以前は海外のレースに行っても、スプリントの予選ギリギリくらいのところで、いつも上位のタイムを出す選手を見ては「速くてすごいなぁ、私もああいう風に走れるようになるのかなぁ」って眺めていました。

 でも今は自分が走っていないネイションズカップのレース結果と「自己ベストタイム」や「今出せると確信しているタイム」を比べる時、見る順位がすごく上位の方になってきました。過去「すごいなぁ」って見上げていた選手もいつの間にか抜いていることもあります。

 特定個人にライバル意識はなくとも、今の私は世界のトップ選手たちにライバル意識を持てるようになりました。「私でも勝てる」と自信を持って言えるようになっているメンタルが、今までの私と大きく変化したところかもしれません。

 チャンピオンズリーグで世界を転戦している時、海外の選手とトレーニングの場で会話をしたり、一緒にご飯を食べたり、遊んだり踊ったり、軽くお酒を飲んだりもしました。コロナ禍じゃなければ、もっとコミュニケーション取れたのに! と悔しく思いますが、いつもレース会場でしか会わない選手たちとコミュニケーションが取れたのは大きな経験でした。いつもレースモードの「選手の顔」しか知らなかったからです。

 海外のトップ選手たちはみんないつも真面目で、常に“超アスリート”かと思い込んでましたけど、全然! 楽しむ時は思いっきり楽しむ人たちでしたし「え? そんな優しい顔して笑えるんだ!」みたいな表情もたくさん見ました。みんなと遊べたことで少しですが、良い意味で見方が変わった気もしています。でも、またレースで会う時は、絶対みんな別人の「選手の顔」をしていることでしょう(笑)。きっと私自身もそうなんだろうなと思います。

 最終的に何が言いたいかって、海外の選手からしたら、私だって“海外の選手”であって、みんな同じ人間ということ。勝てないなんてことはないってこと! 私はパリオリンピックに向けて戦うだけ、後悔のない日々を送るだけ! まずは直近のネイションズカップで、自分の納得できる走りをしようと思います。みなさん、自転車競技の太田りゆもぜひ応援してください(´▽`)/

進む道に迷いなし、発展を止めることなく「選手の顔」でネイションズカップへ乗り込む(photo by the cycling association of Hong Kong China)

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太田りゆ“ノーメイクな私の本音”

太田りゆ

Ota Riyu

埼玉県上尾市出身。112期生のガールズケイリン選手。2017年7月、高松競輪場でレースデビューし、初勝利を飾る。同開催では3連勝を果たし、デビュー場所で完全優勝という快挙を成し遂げる。また日本代表・自転車競技選手としても活躍しており、2019年にはワールドカップに出場し、ケイリン種目で銀メダルを獲得。2020年11月には全日本選手権女子スプリントで優勝。国内外のハイレベルな戦いに華麗なダッシュで挑み続けている。趣味はメイクとファッション、パワーの源はコカ・コーラ。

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