2022/05/22 (日) 12:00 11
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
宇都宮競輪開設73周年記念「宇都宮ワンダーランドカップ争奪戦」決勝メンバーが出揃いました。
③松浦悠士(広島・98期)ー⑦小倉竜二(徳島・77期)
④大槻寛徳(宮城・85期)
⑤眞杉匠(栃木・113期)ー⑧金子幸央(栃木・101期)ー①吉田拓矢(茨城・107期)
⑨中川誠一郎(熊本・85期)ー②中本匠栄(熊本・98期)ー⑥坂本健太郎(福岡・86期)
連日抜群の強さで勝ち上がったのが⑤眞杉です。初日は逃げて2着、2日目は1着、準決も①吉拓に差されたものの2着に粘りました。3日間通して、自力で⑤眞杉に勝る選手はいないと言う事です。特に、初日特選先行は圧巻でした。後ろから押さえて先行、番手の吉拓もかなり気を使って抜きに行きましたが、内がガラ空きだったので、誰か突っ込んで来てもおかしくありませんでした。それでも2着に粘ったのは、500バンクの宇都宮を考えると特筆モノです。決勝戦も⑤眞杉を中心に動くでしょう。
それでは「自力自在」とコメントしている③松浦はどう走るでしょう。普通に考えると、彼が「自在」の2文字を言うときは横の動きも視野に入れる時です。「番手で粘る可能性がある場合はファンにしっかり伝えたい」と彼のこだわりがあるからです。確かに、買う側からするとありがたいですが、それは敵となる対戦選手にもバレるリスクがあります。実際④大槻は「分断は松浦がするでしょう」、⑨中川誠ちゃんは「眞杉君にすんなり駆けられたら捲れないので、優勝するには松浦君とかに分断してもらって混戦が条件」と言っています。対して⑤眞杉は「高校時代から金子さんにはお世話になっているので、なるべく金子さんが競られないように主導権を取りたい」とコメントしています。その作戦とは「前受け〜突っ張り」しか考えられません。
S.⑤⑧① ④ ⑨②⑥ ③⑦
ただ、⑤眞杉ラインが前受けして突っ張ろうとしても、後ろから押さえに来るのは車番が悪い③松浦。⑨誠ちゃんなら、突っ張られて止めることがあっても、③松浦がそうするとは思えません。③松浦が突っ張られたら取る戦法はただ一つ、外競りではないでしょうか?
③⑦
打鐘〜H.⑤⑧① ④ ⑨②⑥
⑧金子は大怪我もして、それを乗り越え地元記念の決勝に辿り着いた事も十分理解していますが、絡まれる可能性もあると考えます。ただ、内競りなので⑧金子もある程度抵抗し、⑨誠ちゃんが望む「混戦」になる可能性は十分あると思います。ただ、競りなら③松浦に利があるでしょう。
←⑨②⑥
B.⑤③⑦
⑧① ④
・買い目
5=39ー7924
穴目は、混戦になるので⑨誠ちゃんの捲りです。
・穴目
9=2ー6531
いずれにしても、⑤眞杉を中心にレースは動きます。昨年の京王閣ダービーを経て、彼はひと回りふた回りも大きくなって、いわき平ダービーの決勝戦を走りました。地元記念優勝は一流の証でもあるので、制覇なるのかどうか注目です。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。