Jプロツアー2024第15戦「南魚沼ロードレース」

2024/09/30(月) 17:00

Jプロツアー第15戦の「南魚沼ロードレース」が9月23日、開催された。
このレースは、Jプロツアーの中で最もステータスの高い経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップとして開催される。レースレーティングは最も高い「プラチナ」に指定され、優勝すると800ポイントが獲得でき、上位選手が優勝すれば、順位が入れ替わる可能性がある。
また、このレースにはJプロツアー内で唯一の団体戦が設定されており、優勝チームには栄誉ある真紅の経済産業大臣旗、通称「輪翔旗」が贈られる。団体のランキングは各チーム上位3名の順位を元に決められるため、チームとしていかに走るか、が重要となる。

南魚沼市の美しい自然の中で開催された「南魚沼ロードレース」

コースは、南魚沼市東部にある三国川ダムのダム湖「しゃくなげ湖」の周囲を廻る12km。スタート地点からの2kmは8%の勾配の登坂が設定されている。しゃくなげ湖沿いに出ると、平坦基調ではあるが、後半はカーブと細かなアップダウンが連続する。コース終盤の残り3km地点からは高低差約100mを一気に下りフィニッシュに向かう。登坂力だけでなく下りの技術を含む選手個人の力量差が如実に表れるコースプロフィールにより、サバイバルレースになることが多い。レースは、このサーキットを12周する計144kmに設定された。

リーダージャージの金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)、寺田吉騎(シマノレーシング)を先頭にラインナップ

スタートライン、最前列に立つのは、リーダージャージを着る個人総合首位の金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)とU23首位の寺田吉騎(シマノレーシング)。
この日も前日に続き、直前に雨が降り始め、雨の中のスタートとなった。
レース開始と同時に集団前方ではアタックが繰り返されるが、すぐに吸収され、抜け出しは決まらず、決定的な動きが生まれない不安定な状態が続いた。

コース前半は細かいアップダウンとカーブが連続する

コースの厳しさと、安定しない展開に消耗された集団後方の選手たちが遅れ始め、レース前半を終えるころ、すでにコース上に残る選手は約3分の2まで絞られていた。
終盤に入る頃、天気は回復し、青空が広がり始めた。9周目に入ると、風間翔眞(シマノレーシング)、Jプロツアーで複数回の優勝経験を持つホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)、かつては欧州のトップレースを走っていたベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)ら6名が先行。すでに疲弊していたメイン集団との差は一気に1分以上まで開いた。
この動きで、メイン集団はバラバラに分裂してしまったが、再度合流して30名ほどの集団が形成された。しかし、追い上げるペースは上がらず、先行した6名との差はさらに開いていく。
残り2周となる11周目、先行した6名の中からダイボールがアタック。佐藤が追従するものの、ダイボールは振り切って単独先行していく。

先行する9名の集団からベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)がアタック、単独で先行する
集団が追うが足並みが揃わず、ペースが上がらない

先頭を快走するダイボールは残り1周半を独走、他の選手を寄せ付けない走りでフィニッシュまで逃げ切り、Jプロツアー初優勝を決め、ヴィクトワール広島に今シーズン2勝目をもたらした。2位の佐藤光(チームサイクラーズスネル)との差は、なんと1分47秒まで開いていた。
ダイボールは800ポイントを獲得。一気に個人総合ランキングを上げている。3位には風間翔眞(シマノレーシング)が入った。

先頭を独走するダイボール
ダイボールは独走のまま、ビッグレースの勝利を手に入れた

出走119名中、完走はわずか34名。今年もサバイバルレースとなった。

優勝したダイボール、2位の佐藤光(チームサイクラーズスネル)、3位の風間翔眞(シマノレーシング)

ダイボールは「コースはとてもきびしかったけれど、よいレースでした。みなさんありがとう」と、はにかんだ笑顔で喜びを語った。

上位勢に大きなポイント加算がなく、この日自ら8位に入り、200ポイントを積み増した金子は、個人総合首位をより強固なものとしている。寺田もU23総合首位を守った。残すレースはあと2戦。金子と次点の石原(シマノレーシング)の差はおよそ570ポイント開いており、クラブチーム所属の金子が個人総合優勝を決める可能性は極めて高まってきていると言えよう。

金子が個人総合首位を、寺田はU23首位を守った

注目のチーム対抗の団体成績は、マトリックスパワータグが1ポイント差で群馬グリフィンレーシングチームを上回り優勝。昨年からの連覇を達成する形となった。

マトリックスパワータグが僅差で団体総合優勝を決め、昨年に引き続き 、輪翔旗を手に入れた

9月末から、おおいたアーバンクラシック、ツール・ド・九州、ジャパンカップと需要な国際レースが続き、Jプロツアーは10月末の石川が最終戦となる。今シーズンもいよいよ最終盤に突入だ。

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【結果】
南魚沼ロードレース(144km)
1位/ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)3時間37分43秒
2位/佐藤光(チームサイクラーズスネル)+1分47秒
3位/風間翔眞(シマノレーシング)+2分18秒
4位/アコスタ・ルーベン(宇都宮ブリッツェン)+2分19秒
5位/林原聖真(群馬グリフィンレーシングチーム)+2分19秒

【Jプロツアーリーダー】
金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)

【U23リーダー】
寺田吉騎(シマノレーシング)

【中間スプリント賞】
該当なし

【敢闘賞】
林原聖真(群馬グリフィンレーシングチーム)

【団体成績】
1位 マトリックスパワータグ 

写真:JBCF 一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟

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(P-Navi編集部)

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