2024/08/25(日) 16:39
JBCFロードシリーズの最高峰リーグ、Jプロツアーの第12戦が7月28日に、前日の第11戦に続き広島県内で開催された。広島連戦の2戦目は、会場を広島市に場所を移し行われる「広島トヨタ 広島クリテリウム」。広島市の中心街から車で15分ほどの場所にある広島市西区商工センター付近の公道に設定されたコースでレースが行われる。このコースを用いたレースがJプロツアーとして開催されるのは、2019年以来5年ぶり。3回目の開催だ。
用いられるのは、T字型の一周1.7kmのコース。アップダウンはなく、完全に平坦であるが、Tの字の3箇所の端部にヘアピンカーブが設定され、酷暑の中、選手たちはこのカーブを越えるたびに減速を強いられ、体力が削られて行くだろう。この日のレースはこのコースを30周する51kmで競われた。
コースはT字型のレイアウトとなりヘアピンカーブが3つ設定される(大会公式サイトより)
この日も、前日と同様好天に恵まれ、暑い1日となった。レースのスタート時刻は、気温がほぼ最高に達する午後1時。厳しい暑さの中、選手がスタートラインについた。
個人総合とU23のリーダーと、ホストチームであるヴィクトワール広島のメンバーを最前列に、選手がラインナップする
個人総合首位を守り、赤いリーダージャージを着るのは、金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)。U23の首位は、白いリーダージャージを着た寺田吉騎(シマノレーシング)が守っている。リーダー2名とホストチームとなるヴィクトワール広島のメンバーが最前列に並び、スタートした。
レースは、スタート直後からリーダージャージを着る金子がペースアップを図り、集団は長く引き延ばされた。集団は1周2分40秒台前半のハイペースで周回を回っていく。1周回に3回やってくるヘアピンカーブの度に選手は減速と加速を強いられるが、集団の後方になるほど、この幅が大きくなり、ダメージも大きくなる。酷暑による消耗もあり、早くも集団の後方では遅れる選手が出始めた。
個人総合首位を走る金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)が自らペースアップし、選手をふるい落としていく
ハイペースの展開が続く
ペースがようやく落ち着いてきた11周目に入ると、数名の先行をきっかけに、12名の集団が先行する体制ができた。
ヘアピンカーブを越えるごとに減速と加速を強いられ、集団の後方には大きなダメージが
メンバーは、リーダージャージを着る金子宗平、昨年の優勝者である中井唯晶と石原悠希、U23首位の寺田吉騎、(以上シマノレーシング)、逃げのスペシャリストである阿部嵩之(ヴェロリアン松山)、2020年の優勝者であるレオネル・キンテロ(ヴィクトワール広島)ら、実力の高いメンバーだ。
実力のある選手を含む12名の先頭集団が形成される
中でも、もっとも多くの選手を送り込んだのは、3名が集団に入ったシマノレーシング。前日の佐木島ロードレースでもレースを主導し、1-2フィニッシュを決めるなど、好調を示しており、この日の最有力チームとなった。集団は好ペースを刻み、後続のメイン集団との差を徐々に広げていく。
17周目になると、差は1.7kmのクリテリウムとしては非常に大きい40秒以上になり、後続集団では、ここに誰も送り込めていないチームサイクラーズスネルが先頭に集まってペースアップを試み始めた。
チームサイクラーズスネルが集団前方に集まり、ペースアップを図る
ベルマーレレーシングチームや、弱虫ペダルサイクリングチームなどが集団の牽引に協力するものの、力のあるメンバーを多く含み、ハイペースを刻み続ける先頭集団との差は、その後も広がり続け、20周目には1分差に。先頭集団の逃げ切りは決定的となった。
ラスト5周を切る頃になると、協調してペースを保ってきた先頭集団の中でも、ゴール勝負を意識し、牽制が始まった。
逃げ切りの可能性が高まり、先頭集団内でもゴール勝負への意識が強くなってくる
ついに最終周回に突入すると、飛び出しを試みる選手も出てきたが、複数のメンバーが集団におり、なんとしても勝ちに行きたいシマノレーシングが捕らえ、12名の集団のまま最終コーナーへ。レースは、スプリント勝負へ託された。
抜け出しは叶わず、集団のままゴール勝負へ向かう
先頭で最終コーナーを回ったのは、中井、その後に石原が続く。菅原聡(アヴニールサイクリング山梨)が飛び出し、これに反応するようにキンテロがスプリントを始めた。
力強く加速して伸びていくキンテロを、寺田が追ったが、及ばず、キンテロはそのままガッツポーズでフィニッシュラインを駆け抜け、ヴィクトワール広島に地元での貴重な優勝をもたらした。2位には寺田、3位には石原が入っている。
レオネル・キンテロ(ヴィクトワール広島)がスプリント勝負を制し、地元広島での勝利をもぎ取った
優勝したキンテロ、2位の寺田吉騎、3位の石原悠希(ともにシマノレーシング)
レース後、キンテロは「ありがとう、みなさん、めっちゃうれしい!」と日本語で喜びを爆発させた。「とても暑かった」と感想を述べるとともに、ラストのスプリントで強さを見せられたことを、嬉しそうに語っていた。「(地元開催という)とても大切なレースで勝つことができて、とても満足している。また、ホームで勝つことができて幸せだ。皆さん本当にありがとう」とコメントし、感謝を伝えた。
U23首位の寺田は2位、個人総合首位の金子は自ら4位に入り、ポイントを積み増し、しっかりとリーダーの座を守った。
個人総合首位の赤ジャージを守った金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)とU23首位のホワイトジャージを守った寺田吉騎
次戦は、9月8日の新城ロードレース。9月には年間で最多ポイントが付与される最重要レースである経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップも予定されている。
シーズンの残りレースは5つとなり、そろそろ首位争いも本格化してくることだろう。
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【結果】
広島クリテリウム(51km)
1位/レオネル・キンテロ(ヴィクトワール広島) 1時間23分22秒
2位/寺田吉騎(シマノレーシング) +0秒
3位/石原悠希(シマノレーシング)
4位/金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)
【Jプロツアーリーダー】
金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)
【U23リーダー】
寺田吉騎(シマノレーシング)
【山陽建設周回賞(6周回完了時)】
黒枝咲哉(スパークルおおいたレーシングチーム)
【阪井養魚場周回賞(12周回完了時)】
宇賀隆貴(さいたま佐渡サンブレイブ)
【良和ハウス周回賞(18周回完了時)】
菅原聡(アヴニールルサイクリング山梨)
【広島トヨタ周回賞(24周回完了時)】
菅原聡(アヴニールルサイクリング山梨)
【広島八谷建設・広島県民賞】
レオネル・キンテロ(ヴィクトワール広島)
写真:JBCF 一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟
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【Jプロツアー2024・開催レポート】
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第11戦・佐木島ロードレース(P-Navi編集部)