2024/04/03(水) 16:59
国内サイクルロードレースの最高峰リーグであるJプロツアーの第3戦「真岡芳賀ロードレース」が3月23日、栃木県真岡市で開催された。このレースは、これまで別リーグの中で開催されており、Jプロツアーとして開催されるのは、今年が初めてだ。
栃木県真岡市の井頭公園をメイン会場に据え、真岡市と芳賀町にまたがる公道コース。1周7.2kmの周回には、スピードに乗せられる長いストレートが設定されているが、通過時にスピードの上げ下げが強いられる複数の直角コーナーや道幅の変化が盛り込まれ、一筋縄ではいかないコースとなった。激しいアップダウンがなく、どちらかといえば平坦基調ではあるが、イージーとは言えず、選手は徐々に消耗されていくことが予想された。今回は、この周回を14周する100.8kmで競われる。
コースは平坦基調でシンプルに見えども、選手はコーナーや道幅の変化で消耗されていくだろう
この日は午前中から雪が舞い、午後には冷たい雨に変わった。路面はウェットで、気温も極めて低い。桜の開花も予想されていた時期の開催であるにも関わらず、真冬の寒さ対策を施した選手たちがスタートラインについた。
個人総合首位として赤いリーダージャージを着るのは、昨年まで宇都宮ブリッツェンに所属し、このレースをホストとして走っていた小野寺玲(ヴィクトワール広島)。U23の首位を示す白ジャージを着るのは、前戦を制した寺田吉騎(シマノレーシングチーム)だ。
雨の中、一斉にスタート。
冷たい雨の中、147名が参戦するレースがスタートした
パレード区間を終え、リアルスタートが宣告されると、距離が長くないこともあり、すぐにペースが上げられ、集団は長く伸びた。岡本隼(愛三工業レーシングチーム)がファーストアタックをかけると、一気に活性化し、アタックの掛け合いが始まった。アタックをかけ、数名が飛び出しても、ほどなく、それを許さない集団に吸収され、ふたたび大きな集団に戻る。
早々に岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が飛び出した
3周目には、多くの選手が巻き込まれ転倒するトラブルが起き、数名の選手がリタイアすることになった。悪天候の中、ハイスピードな展開が続く。減速時のスピードの上げ下げの消耗が厳しくなる集団後方に位置していた選手から疲労が大きくなり、遅れ始める選手も目立ち始める。
雨が止むと、田畑から水蒸気が上がり始めた。天気の変化が目まぐるしい中、周回をこなしていく
活性化した集団はスピードが上がり、長く伸びたままだ
有力チームがペースアップを図り、選手たちがさらにふるい落とされ、人数も絞り込まれていく。疲れが見えてきた6周目、序盤から積極的に動いていた岡本と、全日本チャンピオンのタイトルを持つ入部正太朗(シマノレーシング)の2名が抜け出した。集団はこの動きを容認し、2名は後続との差を一気に30秒以上まで広げ、9周目に1分近い差となって安定した。
岡本と入部正太朗(シマノレーシング)が集団を抜け出した
メイン集団はホストチームとなる宇都宮ブリッツェンが中心となってコントロール。
メイン集団先頭には宇都宮ブリッツェンが集まり、1分程度のタイム差をキープ
終盤が近づくと、集団はじわじわとペースを上げ、12周目にはキナンレーシングチームも前方に上がり、ペースを上げ始めた。タイム差は20秒を切った。
先頭2名とのタイム差が縮まる
残り2周となる13周目。先行していた岡本と入部を吸収すると同時に、カウンターアタックで選手が飛び出したが、ペースアップした集団はこれを許さず、すべての動きを封じ、最終周回へと突入した。
連発する飛び出しを捕らえるために、前方で動いていた選手の消耗が見え始めた隙をつき、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)、石原悠希(シマノレーシング)、渡邉和貴(アヴニールサイクリング山梨)、エヴァー・サウル(レバンテフジ静岡)の4名が先行した。
飛び出した選手を捕らえる隙をつき、4名が飛び出した
集団は追いきれず、10秒前後まで開いた差を残し、4名はラスト1kmへ突入。
このまま4名でのゴール勝負となったが、これまで何度もJプロツアーで総合優勝を飾ってきたトリビオは、ゴールへの駆け引きでは一枚上手だった。最後はトリビオと石原が少し抜け出した形になったが、トリビオが巧みに先行してフィニッシュ、勝利を挙げた。トリビオのJプロツアーの勝利は、2022年のかすみがうらロードレース以来、2年ぶりとなる。
笑顔で両手を上げ、フィニッシュするホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
石原は2位で終わり、3位には渡邉が入った。
優勝したトリビオ、2位の石原悠希(シマノレーシング)、3位の渡邉和貴(アヴニールサイクリング山梨)
トリビオは明るい笑顔で表彰台に立つと「皆さんありがとうございます。優勝できてうれしいです!」と、日本語で喜びと感謝を語った。
Jプロツアーリーダーは、この日2位でフィニッシュした石原の手に移り、U23のリーダーは寺田が守った。
リーダーは石原に移り、U23リーダーは寺田が守った結果、2名のリーダーがともにシマノレーシングの選手となった
翌日は、宇都宮に舞台を移し、クリテリウムレースが開催された。
※宇都宮クリテリウムレポートも近日公開します!
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【結果】
Jプロツアー第3戦
真岡芳賀ロードレース(100.8km)
1位/ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)2時間20分45秒
2位/石原悠希(シマノレーシング)+0秒
3位/渡邉和貴(アヴニールサイクリング山梨)+2秒
4位/エヴァー・サウル(レバンテフジ静岡)+3秒
5位/草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)+8秒
【Jプロツアーリーダー】
石原悠希(シマノレーシング)
【U23リーダー】
寺田吉騎(シマノレーシング)
【中間スプリント賞】
岡本隼(愛三工業レーシングチーム)
【敢闘賞】
岡本隼(愛三工業レーシングチーム)
写真:JBCF(一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟)
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【Jプロツアー2024・開催レポート】
開幕戦!鹿屋・肝付ロードレース
第2戦・志布志クリテリウム(P-Navi編集部)