2024/05/09(木) 12:27
群馬サイクルスポーツセンターを会場に「東日本ロードクラシックDAY2」が4月21日、開催された。
前日開催された「DAY1」と同じ群馬サイクルスポーツセンターの6kmサーキットを使用するが、距離はサーキットを10周する60kmと短い。DAY1の150kmと比べると、およそ3分の1の距離となり、走り方は全く変わってくるだろう。クリテリウムを除き、リーグの中でも最短に分類されるレースとなるが、どのような展開になるのだろうか。
6kmサーキットは前日のDAY1と同じ方向の周回で使用される。前半は下り基調、後半は上り基調となる
個人総合首位の証である赤いプロリーダージャージを着るのは岡本隼(愛三工業レーシングチーム)、U23首位の白いリーダージャージを着るのは寺田吉騎(シマノレーシング)。
スタートすると、ショートレースなこともあり、スタート直後から岡本隼や、前日のDAY1で優勝した地元の金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)らが集団前方で動く。
レーススタートと同時に激しいアタック合戦が繰り広げられた
冒頭からリーダージャージを着る岡本隼(愛三工業レーシングチーム)らが動く
ペースは上がり、1周目から8分10秒を切るハイペースとなり、集団は長く伸びた。
各チームから激しいアタックが仕掛けられるが、決定的な動きは生まれず、激しいアタック合戦が続く中で周回を重ねて行く。
前日のレースを制した金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)も積極的な動きを見せた
マトリックスパワータグが集団前方に集まってコントロールを開始、集団前方に上がろうとする他チームを押さえ込み、集団をコントロール。レースを主導するという気迫を見せた。このマトリックスが蓋(ふた)をした状態をこじ開ける選手は現れず、レースは集団の状態で
推移した。
このまま勝ちに行きたいマトリックスパワータグは、ラスト2周に入ると、小林海(マトリックスパワータグ)を先頭に3名で飛び出し、先行を試みるが、最終周回に入った直後に吸収される。
小林海(マトリックスパワータグ)らが飛び出した
諦めない小林は、フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)と再度抜け出しを図るが、スピードマンが揃い、ゴール勝負に強さを見せるチームブリヂストンサイクリングが集団前方を固め、強力にペースアップ、先行した2名を吸収した。
レースは、集団でゴールに挑む形になった。
チームブリヂストンサイクリングが動き、再び大集団に戻る
スプリンターを抱えるチームが激しい位置取り合戦を繰り広げ、ペースが上がった集団は人数を絞り込み、フィニッシュラインに向かう。
草場啓吾(左 愛三工業レーシングチーム)先頭にホームストレートに入ったが、橋本英也(中央 チームブリヂストンサイクリング)が次元の違う加速を見せ、先頭に躍り出た
草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)を先頭にホームストレートに入るが、今村駿介にアシストされた橋本英也(ともにチームブリヂストンサイクリング)の、この日の爆発的な加速には、誰も太刀打ちすることができなかった。
橋本が誰も寄せ付けない強烈なスプリントで加速、飛び出すと、勝利を確信し、悠々とガッツポーズを見せながらフィニッシュ。Jプロツアーとしては、2021年以来となる優勝を決めた。
橋本は余裕のガッツポーズでフィニッシュ
リーダージャージを着た岡本が2位に入り、3位に今村駿介。チームブリヂストンサイクリングは1―3フィニッシュとなった。
優勝した橋本、2位の岡本、3位の今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)の表彰台
橋本は「距離が短かったので(トラックレースが主戦場の)うちのチームにはすごく有利だと思っていた」と語る。「ラスト5km、チームメイトがすばらしいアシストをしてくれて、ほぼサラアシ(脚が疲労していない)状態でスプリントに臨むことができた」とチームへの感謝も忘れない。ゴールについて問われると「ラスト1周、上り切った時に『これはいけるな』という感覚があった」と語った。「パリ五輪でメダルを持って帰ることが目標であり、メダルをお披露目できるよう、がんばっていきたいと思います!」と笑顔でインタビューを締めた。
トラック、競輪、ロードの3種目で活躍する橋本は、2月のトラックのアジア選手権では金メダルを獲得、昨年はトラック競技の世界大会でリーダージャージを着るなど、まさに世界を戦場に戦っている。パリ五輪まであと100日を切り、「五輪に向けてのトレーニングが、この日のロードレースにも功を奏した」とも語っていた。すばらしい走りと、丁寧ながら自信あふれる笑顔の語りに魅き込まれ、多くのロードファンが、これからの活躍を応援したいと感じたことだろう。
リーダージャージは、この日2位に入った岡本がポイントを積み増し、次点との差を開いた。U23首位も寺田が守っている。
リーダージャージを守った岡本と、U23リーダーを守り続けている寺田吉騎(シマノレーシング)
この次戦は、舞台を兵庫に移して開催される。5月からは重要な国際レースが連続し、6月の全日本選手権が国内でのシーズン前半のヤマ場となる。
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【結果】
Jプロツアー2024第6戦
東日本ロードクラシックDAY2 60km
1位/橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)1時間22分15秒
2位/岡本隼(愛三工業レーシングチーム)+0秒
3位/今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)+0秒
4位/大仲凛功(シマノレーシングチーム)+0秒
5位/草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)+0秒
【Jプロツアーリーダー】
岡本隼(愛三工業レーシングチーム)
【U23リーダー】
寺田吉騎(シマノレーシング)
写真:JBCF 一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟
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【Jプロツアー2024・開催レポート】
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第5戦・東日本ロードクラシックDAY1(P-Navi編集部)